あらすじ
探偵小説に精神分析を導入する試みの先鞭をつけた作品「疑惑」、ヒロインの訴えるような語り口が印象的で、再三映像化、劇化されている「人でなしの恋」等、大正十四年から十五年にかけて発表された十編を収録。初出時の挿絵全点を付した江戸川乱歩短編集成第三弾。
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Posted by ブクログ
はあ、と思わずため息が出るような作品。
門野が妻によって殺された彼女の轢死体を見た時、彼の心情を考えれば心底可哀想で仕方がない。
誠実ではなかった。ただ、誠実であろうとしていた。
門野は妻が彼女を滅茶苦茶にしたことを知ってるんじゃないかと。
彼女の死と、自分の恋がバレたこと、その恥と耐えきれない悲しみに結局自死(というか心中)を選んだのか。
人でなしの恋。
その結末は悲惨だけど、人でなしは一体妻の方だったのではないか?
嫉妬に駆られて、激情のまま人形を殺めたのだから。
愛しいドールと同じ墓に入りたいと思う時点で私も門野と同じ人でなしなんだろう。
Posted by ブクログ
『幽囚された欲望というものが、どんなに恐ろしい力を持っているかに一驚を喫するだろう。』
読みやすいのがすごいです。やっぱり流れていくような感じで。
Posted by ブクログ
・百面相役者
→最後オチがあっても気持ち悪い
人の顔の皮をはぐとか想像するだけでゾワゾワした
・一人二役
→なんとも言えない、女が賢いと夫婦円満なのか
・疑惑
→人間不信になる話笑
なんか少し赤い部屋のこうしたらこうなるみたいな、
悪意のない犯罪にもなる気がする。
・接吻
→乱歩さん、女嫌いなのか、ずる賢いキャラにするの好きね
・踊る一寸法師
→単純に不気味、下衆、気持ち悪い
・覆面の舞踏者
→昔っぽい、結構下らない
・灰神楽
→やっとミステリっぽくて面白かった
・モノグラム
→オチが面白い、巡り巡ってがっかりするのが最高笑
・人でなしの恋
→これが読みたかったの!
うーん、やっぱり好き、こういうの。
ピグマリオンシンドロームみたいな、
この時代の狂気耽美みたいなの好き。
最後の人間の醜さと、相反する美しい儚さが良い。
最高です。
・木馬は廻る
→昔のパパ活話笑
昔の貧富の差や貧困って切ないなと感じる。
自註自解とか解説も丁寧で有り難い。
乱歩作品全て読みたいけど、基本不気味だったり気持ち悪いの多いんだよね…。
現代の気持ち悪さとは違う、たちの悪い気持ち悪さ。
なんか苦手なんだよね…言葉や描写が陰気というか。
明智小五郎シリーズとかのミステリ全フリも読みたいけど、
まあぼちぼち好きなものから読み進める。
Posted by ブクログ
乱歩の大人向け初期作品群は各社よりまとめ方に工夫をしながら多数でていますが、本編も新潮社の2編とかなりかぶっており、自身は再読のものが多い。題名についつい惹かれて手に取ってしまいます。大正時代の作風にしては本当に奇抜ですね。
既読のものでも繰り返して読みたくなる乱歩作品です。
表題作の「人でなしの恋」の意味は読んで納得、これだけでも価値ある作品です。