あらすじ
会社員、高校生、編集者……面識のない人々が相次いで惨殺された。事件をつなぐのは「アンフェアなのは、誰か」と書かれた本の栞のみ。そんな中、出版社に届けられた原稿には事件の詳細と殺人予告、そして「事件を防ぎたければ、この小説の続きを落札せよ」という要求が書かれていた……FNS系連続ドラマ「アンフェア」原作!
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Posted by ブクログ
「アンフェアなのは、誰か」
立て続けに起こる殺人現場に残された本の栞。
そして出版各社に届けられた“推理小説”なる原稿には犯人のみが知り得る事件の詳細と、殺人予告が書かれていた。
「事件を防ぎたければ、この小説の続きを落札せよ」
無駄に美人な敏腕刑事、雪平夏美と、それに振り回される若手刑事、安藤一之のやり取りが面白い。のはバディ・ムービー最低限のルール。
この小説が更に面白い理由は、物語の視点である主観がコロコロと変わるどころか、雪平の捜査する現実世界と、犯人が書いているであろう小説の内容とが
平行して描かれていくという実験的な手法が用いられているから。
著者は「救命病棟24時」や「天体観測」といったテレビドラマの脚本も手掛ける作家でもあるためか、文体はいわゆる推理小説よりも脚本に近いのかもしれない。本編中に作者の呟きや、登場人物のテレビドラマで言うワンカットの(一方そのころ的な)短い描写が挿入されていて、それが読み手を更に混乱させて謎にハマっていってしまう。
作中の事件は推理小説というものの定理やルールを厳守する犯人が“アンフェアなのは誰か”という問いかけで警察やマスコミ、世間に対して挑発していく劇場型犯罪。
事件を未然に防ぎたければ「推理小説」の続きを落札しろと要求してくる。
警察は犯人に対して要求を飲むことは当然出来ず、出版各社は競い合うように話題騒然、前代未聞のベストセラー争奪戦を繰り広げようとする。
続きが読みたいと煽る世間。更にそれを煽るマスコミ。
買い付けのタイミングを測り、次の殺人予告が完遂されるのを待つ出版社。
事件解決に奔走する警察の努力を他所に、世界は異様な盛り上がりを見せる。
納得のラスト、とまでは行かないが、爽快な気分で本を閉じることが出来た。
劇中劇(小説)と雪平のひた走る現実世界のリンク。犯人の用意周到な計画と才能。不思議な構成で進行する物語。
どれもが新鮮で、少しアンフェアな推理小説。
酔っ払うとタチの悪い雪平が、ある男を「コーヒーを一杯だけ飲んでいけ」と部屋に誘うのだが、出てきたのは焼酎で、「えっ?コーヒーは?」と言うシーンがある。
クライマックス近くで重要なシーンだったのだが、全体の緊張感漂う中にちょいちょい入るこういったやり取りがまたズルくて堪らない。
秦建日子、その他の著書
・HERO
・チェケラッチョ!!
・アンフェアな月 - 刑事 雪平夏見
などなど。
Posted by ブクログ
2016年の初読以来。
瀬崎ィィィィ……!
覚えてなかった。
だから怪しい?、怪しいから怪しくない?、という微妙さのまま読み進めて、終盤で、膝をつく感じ。
彼の冷め切ったフラットな考え方がすきで、共感も出来て、まあ表現はアレなとこあるけれど
そうしたら犯人って、あんな稚拙な主張をする犯人って、
偉そうに鋭利なことを言う人間ってでも結局本人ぜんぜん大したことないよね一番みっともない内面だったりするよね所詮人間だもんね。みたいなかなしさ!!!
なんでだよおー、ギャップすごすぎるよおー。(褒めてない)
世の中の当たり前に対する、特に(べつに結局のところ悪でも何でもないという扱いをされて受け入れられているものもぜんぜん含めた)報道に対する、
え、ちょっとおかしいよね?正義面した要するに悪意だよね?というシニカルさ。
あくまで彼個人の描写です。という雰囲気でもなかったりするから(たぶん)、随分と斜めに攻め入るなーやんちゃだなーと思いつつも
わたしも、好奇心とか優越による安心感とか知識欲とか、まあ総じて結局じぶんの欲望で求めて消費して愉しんでいるでしょ。と思ってしまう性質。
(その需要にきぶんが悪くなるので目に入らないようにしているまあだめなおとな。何でも良いがたたかれそう。)
終盤の糾弾インタビューとか、せつめい的できもちわるい。っていうのがすごくわかる描写……。
だが、だけれど彼は、結局、。もー、説得力がしぬ。うううう……。
じぶんの方が正しいと狂信して行動を起こすと狂人になるのだ。当たり前だけど。でも当人は狂信だなんて思っていなくてそれがもう狂人だ。はあ。
平井の恨み節遺書が的外れも甚だしくてぜんぜんびくともしないの、そりゃそうだ。って思うのに、
でも理屈で考えるひとでも、もやもやはすると思う。
筋が通っていないと思っても害意を向けられているという事実はひとを傷付けるし、家族に理解されない雪平も悲しんでいる訳で。
平然と跳ね飛ばせる瀬崎は、だから犯罪に走ってしまうのかな……。
似たような犯行予告は、わざと平井をベースにしているからか、結構瀬崎の本心なのか、、
人間だもの。?
瀬崎は平井を才能がないとして辛辣だったけれど、じぶんも周囲から似たような扱いをされている印象なのかな。
あらすじを改めて読むと、ただ読んで欲しかっただけとも取れる。その場合はもうクリエイターの業だから、無論方法を肯定はしないが感情を理解は出来てしまう。。
ともあれ、ラストの手紙にはやっぱりすきって引き戻されてしまいそうだった。
祈りで、愛で、あいするひとに殺されるってある意味いちばん幸せなのかも……?
むしろなんなの、彼はそもそも死にたかったの?ああ、作中作でそう言ってるや、、なんだそうか、、相容れなければ孤独だから、そうもなるか。。
ううう、それも、すき寄りになってしまう。いやいや彼はしょせん犯罪者……。アウトすぎる。
雪平みたいなキャラクターが、大すきでして。
ちょろいなあと思いつつも、いわば輪郭的とも言えそうなあっさり描写でも、浅いとはぜったいに思わせないからとても素直にやられてしまう。
相方の安藤がまたバディとしてとてもとても良い具合でして。
「からかわれている訳ではなさそうだ、そういう回路がないのだ」と結論する安藤、服を服をと言われて「前から思ってたんだけどさ。安藤って、つまんない男だね」な雪平。もだもだ。かわいい。無害系男子すきー。
篠原さんと瑛太ってキャスティングがぴったりすぎて恍惚。
ドラマ版未視聴だけれど相変わらずイメージ映像として浮かびまくりであった。
意外とこの話ではそこまで二人ばっかり主役ですと出張っている訳でもないんだなあ。
とはいえ雪平、安藤、瀬崎、が明らかに中心ではあるのだけれども。淡白なのに濃い。しつこくないとこカッコイイ。
でも雪平さん、ちょっと記憶として認識していた以上にだらしがなかった……。
男の人は美人さんのああいうのを隙として好んじゃうのかな。
残念美人は魅力だけど品は欲しい。あとGはやばいのでいっそ安藤さんお掃除してあげて。某のだめのちーさまみたいに。お約束せおりー。
というか続刊でそんな感じだったっけ?
ドラマ版では何だかかなしすぎる展開をしたようだから、軽く想像しただけで抉りすぎるから、(曖昧な記憶なりに、あと情報を見ても)原作小説は違うということがとても嬉しい。
だってこのコンビがすきなんだ。
たとえ美味しくてもかなしいのなんて見たくないくらいすきなんだ。
あと原作安藤はそこまでばかじゃないと思う。(とても一方的な感想)
雪平に殺されたい瀬崎(身勝手)と、雪平にばかり撃たせたくない安藤(撃たせちゃったけど)が、どちらがどうとかいう感じじゃなく天秤が釣り合っている感じがするの、良いな。
雪平さんは苦労するけどどちらも愛だなって思う。