【感想・ネタバレ】『北の国から』黒板五郎の言葉のレビュー

あらすじ

金なんか望むな。倖せだけを見ろ。
そして謙虚に、つつましく生きろ。

我々が生きるべき“座標軸”を示した奇跡のドラマ『北の国から』放送40周年記念。
田中邦衛氏演じる黒板五郎が過ごした20年の日々を、名場面と名セリフで追体験する1冊。
「夜になったら眠るンです」
「人には上下の格なンてない。職業にも格なンてない」
「人を許せないなンて傲慢だよな」
「男が弱音をな――はくもンじゃないがな」
「疲れたらいつでも帰ってこい 息がつまったらいつでも帰ってこい」
「男にはだれだって、何といわれたって、戦わなきゃならん時がある」
「お前の汚れは石鹼で落ちる。けど石鹼で落ちない汚れってもンもある」

黒板五郎は決して饒舌ではない。むしろ無口な男だ。しかし、五郎が発する言葉だけでなく、度々の沈黙の奥にも、語り尽くせない喜び、悲しみ、悔しさ、そして愛情が溢れている。そこに込められた、家族と周囲の人たちに対する熱い気持ちは普遍的なものであり、古びることはない。(「おわりに」より)

1981年10月にスタートして82年3月末に全24話で放送を終えた『北の国から』と、83年~2002年に放送された8本のスペシャル全話からピックアップした、現代人に響く黒板五郎の名セリフ。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

わたしが純と歳が近いせいか、どうしてもこどもの想いで当時の映像は観ていました。この本はわたしが親になったせいか、はじめて父親の五郎の立場で考えることができました。
一番印象的だったのは、純が東京でだれかに危害を与えてしまったことを五郎に伝えるシーン。泥の付いたお札は五郎の血と汗と涙の結晶であり、そんじょそこらのお札とは訳が違う。そのお札を取られたからとは言わなかった純は、知らないあいだに五郎の愛が伝わっていたと思われるシーンです。五郎は理由は聞かなかったが、こんなにも人を愛し愛され、本当の意味で人間らしく生きている姿がここにあるように思われました。高級な住宅、高級な車、贅沢な食事をどんなに手に入れても、手に入れられないものが見えた瞬間でした。カッコよくもなく頭がいいわけでもなくお金があるわけでもなく不器用で短気な黒板五郎が素敵に感じました。人間らしく生きるってなんだ。日本にはいまだに義務教育に哲学がありません。格差社会、貧困、環境問題、多様性、自然破壊、人間中心社会、温暖化なども、40年前、倉本聰はそこに疑問を持ち「人間とは何か」をみんなに伝えたかったのかもしれません。今読んでも新しい思想が詰まった本でした。

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2022年02月24日

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