【感想・ネタバレ】女神のデパート (1)小学生・結羽、社長になる。のレビュー

あらすじ

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不景気にあえぐ21世紀。東北の宝市にある老舗デパート・弁天堂。金なし・客なし・やる気なしの日々を送っていた弁天堂に、ある日緊急事態発生! 大ピンチの弁天堂をいとなむ小澤家の人々は、なんと11歳の結羽を社長にすることに!? そんな大混乱の様子を、空から見つめる人物が7人。彼らこそ、弁天堂と宝市を見守ってきた七福神なのだが・・・。逆境にたちむかう家族と神さまたちの、あついお仕事ストーリーがはじまります!

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Posted by ブクログ

「女神のデパート 1」
ちょっと何、この本、めっちゃ面白い。
めっちゃ面白いです。大人向けで出せばいいよ。あ、でもポプラ社か…。児童書のみなんかな。

以前、「和パティシエール」のマリエちゃん編が収録されているということで、「キラキラ」と、いうポプラ社アンソロジーを借りたのだけど、そのときに出会った話。

アンソロジーでは、弁天堂百貨店のルーツであるさらの話やったのだけど、冒頭にもその話がちらっと出てた。

小学生が社長になるっちゅうトンデモ設定なので、軽い感じのドタバタコメディかと思ったら、侮るなかれ。

侮るなかれ。(二度いう)

重い。重すぎた、この話は!!

諸事情が重なって弁天堂百貨店の社長に、小学生の結羽ちゃんが就任するのはタイトル通り。
ほしたら山あり谷ありで乗り越えていくのかといえば、確かにそうなんやけど、就任したというだけでこの巻は終わっちゃった。

紳士服売り場で手腕を振るっているイケメンの叔父さんがサポートしてくれるというのはあるとはいえ、もちろん重役たちはいくら社長の娘といえど小学生が社長なんて何をふざけたことを、と、なるよなあ。

さらに、「客寄せパンダ」と、自他ともに認めて地方紙の取材を受けたらその受け答えがズタボロ。
ほんで、その地方紙を目にした同級生たちからはやっかみや好奇の目にさらされて、何もせんうちから
「やめたい」
と、なってしまう結羽が、重いわ。めちゃくちゃ重い!

ちゅうか、そら、そうなるわ!!

せやけど、そこで出会ったはるかに触発されて、
「もう少しやろう」
と、なったものの、売り場に出てみたら何もできずにオロオロするばっかりで、お客さんには怒られるわで、またもやどん底に・・・。

そら、そう、なるわ!!


そこからの盛り返しはややファンタスティックなので(そらそのぐらいの脚色がないと児童書にはできん)、気持ちよくこの巻は終わったよ。
もちろん、続編も読みたい。
と、いうか、著者は大人向けの小説も書いてはるよね。


この本を読んだ日、私は去年の年末からずーーーっと気に病んでいた案件をひとつサッパリと終わらせた日でもあった。
前述のとおり、
「思い出は美化」
な、タイプやし、そのうえ、基本的に物事のええ面ばっかりを見るので、終わってみれば、しんどかったしつらかったけれど、なんとかここまでこれたのは周囲の方が支えてくれたからやな、有難いな、と、思える。

ほんで、有難いなと思う気持ちは何かで返したいな、と、なって、よし、もう少しがんばらねばな、と、なってしまうのがふつうの人間なんやろうけれど、残念ながら私にはそうならなかった。

受けた恩を返さないい不義理以上に、この業務に対しての熱意がない。
仕事だけど、ボランティア並みの話なんやから、熱量がないととてもできんわ。そもそも熱量がすべてを支えている。


期間限定の社長をやる、と、決めた結羽に桔平がまず言うたことは
「七割の人間には嫌われると思え」
と、いうことやった。

んもう、ずがーんときたよ。

新しいこと、人と違うことをやろうと思ったら、それくらい抵抗があるのだそうだ。

ああ、そうだ。そうやろうなあ。私はそこが甘かった。
ほんとうに私は七割の人間に嫌われて、今日までこの業務を続けることに、初めてのことや知らないことに対面して失敗したり、
「〇〇じゃなくて、△△でやらなければあかんよ」
と、いわれたりすることは、すみません、気をつけますと頭を下げて心にメモはするけれど、少しも苦じゃなかった。

「うわー」
って恥ずかしい失敗もようけしたけれど、それが苦痛かといえばそうでもない。
次は、せんとこ
って思って終わるので。

でも、何が重かったかって、ほんまに、

「あれこれ他人に言われること」

やった。
勢いだけで受けて、その結果あれこれ他人に言われることがつらかった。
ほんまに七割の人やったのかもしれなくても、残りの三割は何も言わなくても、世界中の人に嫌われてる気になっていた。

悪く言われることなんて慣れてると思っていたけど、それでも、つらかったなあ。そんなこと、慣れてなんか、いなかったなあ。

面と向かって私に好意的なことを言うてくれる人もいたし、無関心な人もいた。
それも、当たり前。
ほんで、あれこれ他人に言われても、私が誠実にやっていればそのうちに根も葉もない話は消えていくだろうとも思う。
そうして得られた信頼は揺るがない。ほんで、それこそが私の財産になる。

辛くても、イヤでも、苦しくても、やると決めたのなら三年はやるべきだと思うのは私が昭和育ちやからかもな(笑)。
三年やったら、やめようと思う気持ちはなくなってるかもしれない。
そう思うけれど、今の時点で、もう、続けたいという熱量がないねんな。
それでもやらなければ、と、思う責任感すら、ない。


結羽は、さらに憧れて、はるかに憧れて、また、がんばろうと思ったのなら、それは一番最高の動機やと思う。
先代や現社長が療養中やからという後付けの理由よりも、やりたい、と、自分が思える何かが、一番自分を動かすよね。

好きでやっても、それでもつらい。
もしかして好きやからこそ切り離せなくてつらいのかもしれへんけど、切り離せないからこそたどり着く先がある。

ここを重ねるのはバカみたいな話かもしれへんけど(笑)、私は、おりる。
逃げるけれど、諦めるけれど、結羽ちゃんは諦めないで、ひとつずつステップを登って行ってほしい。

「出る杭は打たれ強い」って結羽ちゃんも言えるように、なってほしいな。

そんな気持ちにすら、なったよ~。(;^ω^)

読書ってタイミングやからね。
去年の今頃のように、わりとのほほんとしてすごしているときにこの本を読んでも
「ふうん、なるほどなあ」
と、くらいにしか思えなかったかもしれない(もちろん、好みなので面白いとは絶賛するやろうけど)。

そのときの自分の環境で、読書の深みって変わってくる…。
出会うべくして出会うんだよね~。不思議な話です。

私は私の気重業務を放り投げるけれど、今回こうやって感じたことそのものは(違うところで)私の財産にできるかもしれない。
出る杭は打たれ強くなれるように、この先、私も、がんばろ。




実は挿絵が結構好み。
桔平さんがイケメンすぎる。笑

ほんで、舞台は東北で「だいたいこのあたりなのかな」と、いう設定はあるんやろうけど、フィクションやと思う。
でも、東北地方は全然土地鑑もないのでようわからんけど、なにか買い物をするために仙台まで出るらしいのはさておき

往復で交通費二千円ってすごいな…!

イヤ結構びっくりした。

あー、でも、ここらから京都までJRで行ったら片道千五百円ぐらいか…。
そんなもんなんかな…。JRでは行かんけどな…。

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2020年03月13日

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