あらすじ
巨大なアルファベットのオブジェが散在する屋敷『アルファベット荘』。岩手県の美術商が所有するその屋敷には、オブジェの他に『創生の箱』と呼ばれる関わったものは死に至るという箱もあった。雪が舞う12月のある日、そこで開かれるパーティに10人の個性的な面々が集う。しかし主催者は現れず、不穏な空気が漂う中、夜が明けると『創生の箱』に詰められた死体が現れて――。売れない役者、変人にして小劇団の看板女優、そして何も持たない探偵が、奇妙な屋敷の幻想的な事件を解き明かす! 当代きってのトリックメーカー・北山猛邦の、長らく入手困難だった初期長編が待望の復刊!
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Posted by ブクログ
最初の子供時代のお話が何なのかずっと引っかかっていましたが、最後の最後で明かされてびっくりしました。
子供の頃と今と、性格が変わっていて全然分からなかったです。
美久月さんに関しては、性格を上手く装っているのかもしれませんが…。
あとがきに、多少無茶なトリックがあると作者自身も書いておりますが、創生の箱の仕掛けや死体移動のトリックを推理するのはとても楽しかったです。
250ページほどでしたが、最初から最後までとても綺麗にまとめられていると思ったので、星5つをつけさせていただきました。
美久月さんやディが他の事件に遭遇するお話も読んでみたいのですが、おそらくシリーズものではなさそうですよね…。
ちなみに、あくまで個人的にですが…
ディの喋り方などを見ていると、ダンガンロンパの霧切さんを連想されました。
Posted by ブクログ
北山猛邦作品ブームがきているかもしれない。。
オルゴーリェンヌの時に感じた過去と現在を行き来する構成が読後に余韻を残してくれる。何度も、ああもしかして、ああそうだったのか、とページを戻って読み返し、その度霧が晴れるように意味が浸透していくのが心地よい。
以下ネタバレ
箱出現トリック(バラバラ)はなんとなく予測できていたが、頭の方は盲点だった!コートの文章で怪しいとは思っていたけれど、入れ方になるほどと。
文章に自然とヒントが散りばめられていて、読んでいる時に「ここの文怪しいな?」と勘ぐるのが楽しい。
死体移動は恐らく実際やると物音で起きちゃったり、トイレに起きた誰かに目撃されたりするんじゃないのとか思ってしまったけど、他の方の感想で「そこはロマン」とあって気にせず楽しめた。
3人のメインキャラクターが個性的でやり取りが面白かった。
シリーズの続編だった!?と焦ったが違うらしい。続けて欲しいがなんとなくディも美久月千も切ない展開になりそうで読みたいような読みたくないような。
途中まで過去の少年は春井さんだとばかりずっと疑っていた…謎の人たらし春井さん…
Posted by ブクログ
=作者のファンなので、かなり評価の甘い感想になります=
と言いつつも、ミステリとしてトリックが凡庸なのはまぁそうだなとは思う(笑
でも巨大アルファベットを足場やトンネルにしたりというアイデアがいかにも北山先生っぽくて大好き。実現性とかは知ったこっちゃない、ロマンですよ。
あと、創生の箱からの死体出現トリックがすべて別のネタで行われているのが面白いポイント。凝ってる。
んで、本作の魅力の大きなところはは、トリックではなくてキャラクターや読後感。
美久月が最後の最後に正体を現しても違和感のないキャラクター設定とストーリー。このまとめ方こそ本作の面白さの根幹ではないでしょうか。
ずっと読みたかった作品なので、復刊してくれた東京創元社さん本当にありがとう。
そして石球城はいつにりますかね先生……
Posted by ブクログ
【My山荘シリーズ第7弾】
クローズドもいよいよ7冊目。
プロローグの2人が誰に当てはまるのかが楽しみだった。
女性は彼女以外考えられなかったが、男性が難しかった。
トリックはちょっと無理があったが、アルファベットの下を通すのは、感心した。
音の問題を解決できていれば、なかなかだったかもしれない。
ただ動機が今一だったかな。
せっかく集まったちょっと変わった人達について、もっと詳しく知りたかったし、女探偵のバラバラ殺人の話や藤堂の違和感など、もう少し突っ込んで欲しかった。
ディや美久月を中心に、その他の人の後日談なども読みたかった。
シリーズになったらおもしろかっただろうなぁ。
2024/06/28 03:55
Posted by ブクログ
当代きってのトリックメーカー・北山猛邦、幻の長編! の文句につられて手に取った。
雪が舞う岩手県の山奥、アルファベットのオブジェが散らばる『アルファベット荘』に招かれた個性的な面々。探偵・遠笠麗、賞金稼ぎの古池ミノルと泉尾桜子のカップル、大学助手の三条信太郎、文筆家の春井真那、そして変人にして小劇団『ボルカ』の看板女優・美久月美由紀とその連れである売れない役者・橘未衣子、『何も持たない探偵』ディ。家政婦として、大学生アルバイトの破麻崎華奈と藤堂あかねがいる。
パーティといいつつ招待者である岩倉清一は現れないまま、夜は更けていく。そして、惨劇が起きる。
物理トリックは実行に疑問符がつく大技で、当方は当然ながら「そこにあるんだからできたんだろう」ということで推理は放棄。死角をついたほうはなるほど、というより、それしかないよねだけれども。
探偵役も犯人も壊れているが、探偵の壊れっぷりがなかなか面白く、妙な魅力がある。