あらすじ
鬼才・朝田ねむいが描く本格ゾンビBL…!!【高校教諭×マッドサイエンティスト】真面目で爽やかと同僚や生徒から人気の高校教諭・佐田は、ある日、事件に巻き込まれ命を落とすが、科学者・間宮の手によってゾンビとして生き返る。間宮は科学者として実験成功の名誉を懸け、佐田はたった一人自分の生存を知る相手として共依存のような同居生活をスタートするが……。
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爽やかで性格が良く、生徒や同僚からも信頼の厚い高校教師の佐田。
急用のできた同僚に代わり、放課後の見回りを行っていたある夜、佐田は殺人の現場を目撃してしまう。
口封じのために刺された佐田は意識を失ってしまい、気が付くと見知らぬ研究所に拘束されていた。
説明を求める佐田。
研究所の所長である間宮は、彼が既に死亡していることを告げる―――。
この作品、とにかく読後の余韻の残り方がすごい。
「レビュー書くゾ!」と思って読み始めたものの、読み終わった直後には「なんか、今日はこのまま帰ろう…」という気持ちになっていました。
面白い映画を一本見た後のような心地いい疲労感。
そんな感覚です。
初めて読んだときの感想は「これどうやってBL展開に持っていくんだ…!?」でした。
佐田はゾンビですし、間宮もはじめは彼を研究対象として扱う。
佐田は人間の死体しか食べられない身体になっていて、間宮と朝食をとるシーンでも食べているのは人肉。
ただそれでも、共に生活する二人の間には不思議とリラックスした雰囲気が流れています。
朝食のシーンも空気は柔らかく、優しい印象すらあります。
佐田は常識人のようですが、動く死体となった今、共喰いに割り切った判断ができるくらいには壊れてしまっているのかもしれない。
ゾクッとするような要素だと感じました。
なんと、読み進めていくうちにだんだん間宮も可愛く見えてきます。
彼も一応佐田のことを気にかけていて、やることがなく暇になった佐田のために小説を買ってくるんですよね。
その題名が『くらやみにポメラニアン』なのがなんとも萌えでした。
適当に新しそうなものを選んだようですが、それにしても可愛い。
サルのゾンビを可愛がる佐田を見て(動物が好きなのか)とか思ってるのかも、と考えたらちょっと堪らん愛おしさです。
『くらやみにポメラニアン』書影も可愛いので、是非注目していただきたいポイントです。(?)
そんな間宮の、佐田への執着が見え隠れする瞬間もあり、だんだん彼のことが気になってきます。
間宮の抱える秘密や、二人の過去、そしてこれから…。
読みながら続きが気になってしょうがない!
夢中で読んでしまいました。間違いなく名作です。
是非ご一読ください!
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このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
物語の着地方法といい表現の仕方といい素晴らしいとしか言いようがない。
私は改めてこういう暗い終わり方が好きだなと思った。
佐田先生と女子高生殺した犯人は捕まってないし、佐田先生を生かす為に殺した罪で捕まっていないし、間宮は『天才』を発揮出来ず佐田先生を焼き、処分、挙句に自分も死ぬという、なんの解決も救いもなくて、暗闇に落ちていった最後がとてつもなく好きだった。
創作物としてのハッピーエンドのような美しい物語ももちろん好んで読むけど、そう上手くいかないものだと見せつけてくる作品もまた好きで、この作品はまさに後者に当てはまるものだったなと思った。
最後の間宮が佐田先生に気持ちを何度も伝えるシーンはとても良かった。
キャラクターについては、間宮が、最初自分を馬鹿にした皆を見返したいっていう気持ちで実験をやっていたけど、佐田先生に好感を持つにつれて佐田先生が隠れて暮らさなくてもいいようにって考え方が変わっているのは可愛かったし、みんなゾンビにすればいい!っていうのは極論もまたマッドサイエンティストっぽくて面白かった笑
ゾンビものBLを読んだのは初めてで、新鮮だったしゾンビってBLになれば性欲もあるんだなぁと謎の納得をした。
ダークなはずなのに・・切ない
ゾンビ?BL?と思って読みはじめたけど・・ハマった!なにこれ・・切ない・・いけない事、長続きしなかった、たとえどんなに天才でも!ダークな話しなんだろうけど、そう思わせないストーリーと画力が凄いと思った!いつの間にか二人を応援していた自分にもビックリ!書き下ろしでホッコリできたので良かった♪二人の目線で読める方には超おすすめです!
Posted by ブクログ
人間としての関わりを描いた上での恋愛って本当に好き……
欠けたところを埋めるように、自分を分け与えるように、相手と求めあっていく二人……一人でも生きていけると思っていた個々が二人で生きていく過程……うお~~~~~
永遠であれ……と思ったがそもそも破綻した生き方なのでそんなものが永遠に続くことなど絶対なくて、永遠なんてないことはきっと始めから全部分かっていて、それでもお互いに「君には生きていてほしい」と願っていた
はあ……すごすぎ……大好き……余韻すご……
匿名
救いようがない感じでよかった。バッドエンドが好きな人には堪らんね。
人に勧めたいけどバッドエンド好き?って聞いてからだと結末になっちゃうからどう勧めるか悩むな。
エンディング辺りをもう少し見たかった。
でもあれくらいの方が人の死は(いやゾンビか)あっけない感じが出て良いのかもしれないけど。
ただのBLではない!
さらに2人の過去が解き明かされます。
ただのBLだと思って読み始めたら、ぜんぜんゾンビホラーミステリーで、BLを忘れてワクワク読んでましたが、2人のぎこちないながら深まっていく不思議な関係、そしてBL展開に我に帰る私w
そうだったBLだった!読み終えたら切なくて…間宮が愛らしくて…本当に買って良かったです。
上巻から下巻まで駆け抜けるように読み終えました。
佐田の姿を元同僚に見られ、逃げるように生活拠点を移した二人。モン吉の死とともに二人の生活に終わりが近づきます。
間宮の研究は完成しませんでしたが、死の間際に心を交わせたことが救いです。
Posted by ブクログ
たくさん殺しちゃってるし、綺麗な終わり形はできないだろうと思って覚悟して読んだけれど⋯⋯そんなのってないよ⋯⋯。
間宮のトラウマを話の軸にしているので、自然とBLであることの必然性が生まれていて、整った展開だった。
科学者の間宮が過去の度重なる暴行をトラウマとして抱えていて、相手に体を触られることもできない状態から徐々に解きほぐされていく話と考えると、その相手が茶目っ気と標準的な悪意もある好青年という流れはとても綺麗だし、違和感がなかった。
むしろどちらかが女性だったら違和感が残りそう。
苦しい展開も含めて好きな作品。
「多少のグロとわずかなBL要素に嫌悪感がなく、かつ暗い話が好きな友人」がいたら勧めたい。