あらすじ
従来の価値観が崩壊し始めた社会に私達はどう向き合えばいいのか。災害と国際紛争を取材の柱として、長年にわたり「危機の本質」を追求し続けてきたジャーナリストの著者が、政治経済、科学、哲学、歴史など様々な分野の専門家への取材を通して、コロナ禍で可視化された社会問題の根本原因に迫る。社会の限界が露呈される一方、地方自治、働き方、暮らし方への変化が指し示すあらたな可能性についても論考する。大きな犠牲をもたらしたコロナ禍を無駄に終わらせてはならない、と著者は語る。圧倒されるほどの深い考察で、類書とは一線を画す必読の一冊。
●取材にご協力をいただいた方々(登場順/敬称略)
千田忠、大塚隆、山口二郎、上田文雄、森啓、齋藤雅俊、浅井文和、服部桂、村木太郎、渡邊直樹、高橋伸彰、水野和夫、坂東眞理子、香山リカ、高橋哲哉、磯田道史、吉岡桂子、藤原帰一、古矢旬、スラヴォイ・ジジェク、宮本太郎
●著者紹介
外岡秀俊(そとおか・ひでとし)
ジャーナリスト、北海道大学公共政策大学院(HOPS)公共政策学研究センター上席研究員。
1953年生まれ。東京大学法学部在学中に石川啄木をテーマにした『北帰行』(河出書房新社)で文藝賞を受賞。77年、朝日新聞社に入社、ニューヨーク特派員、編集委員、ヨーロッパ総局長などを経て、東京本社編集局長。同社を退職後は震災報道と沖縄報道を主な守備範囲として取材・執筆活動を展開。『地震と社会』『アジアへ』『傍観者からの手紙』(ともにみすず書房)、『3・11複合被災』(岩波新書)、『震災と原発 国家の過ち』(朝日新書)などのジャーナリストとしての著書のほかに、中原清一郎のペンネームで小説『カノン』『人の昏れ方』(ともに河出書房新社)なども発表している。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
コロナ禍の中で多くの人との対話を基に構成された素晴らしい本だ.登場する人が多彩だ.千田忠、フランク・M・スノーデン、大塚隆、山口二郎、齋藤雅俊、浅井文和、服部桂、村木太郎、渡邊直樹、水野和夫、坂東眞理子、香山リカ、高橋哲哉、磯田道史、吉岡桂子、スラヴォイ・ジジェク、宮本太郎.インタビューをどのようにまとめて読者に伝えるかを実践している素晴らしい事例だと感じた.それぞれのトピックは時節にピッタリのものばかりで、非常に有用だった.昨年末逝去された由.残念なことだ.
Posted by ブクログ
食いつきにくい表題と比して内容はすごかった。コロナ危機を順を追って追求し、日本や世界の現状や問題点を明らかにし、パンデミック後の社会のありようまで考察する。多角的で勉強になった。政治家や「専門家」を凌駕する見識に拍手。
毎日読む朝日新聞には外岡さんほどの真剣さが感じられないのが残念だ。
Posted by ブクログ
有数の教養人で有り警世家、世界の地理と歴史を識る逸材。コロナ禍にあって羅針盤となれる希有の方。
さる12月逝去されたのは痛恨の極み。黙祷。
1.災害への取り組みスタンス
①現場に関わる ・・・ 当事者
②地図を整理する・・・ 関係者の相関図
③歴史を整理する・・・ 経緯を記録する
2.社会の劣化・体制の無能力化
権威主義の強まり・学習能力の劣化・体制の硬直化
危機対応能力の喪失=体制の無能化 exコロナ禍
ex 江戸幕府の黒船対応も同じ 体制の権威喪失・崩壊
3.資本主義経済体制の揺らぎ
資本主義の効率性=資本の有効活用
⇒未曾有の世界経済成長の実現
しかし「資本の過剰」は「格差」の社会不公正へ
社会正義の実現のため資本主義体制の克服
cf j.M.Keynes
4.コンピュータのパラダイム転換
①計算機 大型CPU
②情報処理 Mail
③エンタメ 動画
④思考 AI
⑤判断・行動 自動運転
5.世界のキーワード
①Global ②Digital ③SDGs