【感想・ネタバレ】みんな蛍を殺したかったのレビュー

あらすじ

――みんな誰かを殺したいほど羨ましい。

美しい少女・蛍が線路に身を投じる。
儚く散った彼女の死は後悔と悲劇を生み出していく――

京都の底辺高校と呼ばれる女子校に通うオタク女子三人、校内でもスクールカースト底辺の扱いを受けてきた。そんなある日、東京から息を呑むほど美しい少女・蛍が転校してきた。生物部とは名ばかりのオタク部に三人は集まり、それぞれの趣味に没頭していると、蛍が入部希望と現れ「私もね、オタクなの」と告白する。次第に友人として絆を深める四人だったが、ある日、蛍が線路に飛び込んで死んでしまう。真相がわからぬまま、やがて年月が経ち、蛍がのこした悲劇の歪みに絡みとられていく――

少女の心を繊細に描く名手による初のミステリ作品。
「女による女のためのR-18文学賞」優秀賞受賞者である著者が、原点に立ち返り、少女たちのこころの中に巣くう澱みを鮮烈な感性で抉り出す。

紺野真弓・装画

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Posted by ブクログ

ネタバレ

しっかり嫌ミス、ちゃんと胸糞。面白くて、キャラクターの深掘りが特に印象的だった。
デュビアなどのヤバい描写も多いけれど、何よりストーリーの謎の仕掛け方が魅力的で「なんで?」と「そういうことか!やられた!」の絶妙な間。うまい。

ストーリーは女子高生4人の群像劇。

舞台は2007年、京都の私立女子校
猫井栞、五十嵐雪、大川桜の3人は生物部に所属している。この3人の目線が交互に綴られ、物語が進んでいく。

生物部とはいっても一匹だけいるアロワナに餌をやるだけで、活動はなし。スクールカーストの底辺にいる3人は、放課後そこで小説を書いたり、漫画を読んだり、ゲームに熱中したり。要は『オタクの巣窟』と化していた。

そこへ東京から転校してきた美しく可憐な少女・七瀬蛍が入部する。

蛍は「私もね、オタクなの」と告白し、三人と心を通じ合わせようと試みる。三人はなんでこんな可愛い子がここに?と戸惑うが、蛍はみんなに優しく、遊びに誘ったりするのだった。

しかしある日、蛍は急に線路に飛び込み亡くなってしまう。彼女に何があったのか、謎を残したまま第1章が終わるのだが、最後に誰の言葉かわからないまま「あの夜、蛍を殺してしまったことを後悔している」と記される。

第二章は、それから13年後の2020年。

「ずっと暗闇にいるから気づけなかった。蛍は暗闇の中では美しいが、光の中ではただの気持ち悪い虫だと——。」

この一文が特に印象的だった。

そしてチレンさんのあとがき、けんごさんの解説も良かった。自分のオタクだった過去も赤裸々に語り、「絶望を吐き出すように本作を書いた」と綴られているように、魂こもった一作を楽しませていただいた。

——あらすじ(公式より)——

――みんな誰かを殺したいほど羨ましい。

美しい少女・蛍が線路に身を投じる。
儚く散った彼女の死は後悔と悲劇を生み出していく――


「女による女のためのR-18文学賞」優秀賞受賞者である著者が、原点に立ち返り、少女たちのこころの中に巣くう澱みを鮮烈な感性で抉り出す。

京都の底辺高校と呼ばれる女子校に通うオタク女子三人、校内でもスクールカースト底辺の扱いを受けてきた。
そんなある日、東京から息を呑むほど美しい少女・蛍が転校してきた。
生物部とは名ばかりのオタク部に三人は集まり、それぞれの趣味に没頭していると、蛍が入部希望と現れ「私もね、オタクなの」と告白する。
次第に友人として絆を深める四人だったが、ある日、蛍が線路に飛び込んで死んでしまう。
真相がわからぬまま、やがて年月が経ち、蛍がのこした悲劇の歪みに絡めとられていく――

少女の心を繊細に描く名手による初のミステリ作品

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2024年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

蛍がシンユウを助けようと、励まそうとしていて優しい反面、どこか奪っていく感じがわかってゾクゾクした。
理由がわかった時のなるほどと思いつつ、怖かったー。
家族関係が絡まってて学校以外にも家族間でも生まれてしまうカーストみたいなものに辛くなった。
憧れの蛍の為に罪を被った栞にびっくり。
栞の奥底に眠る感情の栞なりの蛍への罰だったのかもしれない。

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2025年10月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

平成中期にオタク学生だったので刺さる作品だった。

蛍の復讐心や憎悪は理解できる。
その上で、栞が身代わりになって死んだ意味はまるでわからなかった。
あそこで死ぬ意味あったのか…

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2025年08月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初は3人のオタクの子たちとは外見も何もかも正反対で、とても性格が良いけど実は性格悪くて裏で色々とされたからその逆恨みや嫉妬等で殺してしまったのだと思っていました。
3人の各エピソードと蛍のエピソードを読むにつれて、実は蛍にもとても辛い過去があって蛍にも復讐心があったことにすごく驚きました。
そして冒頭の「永遠の親友」というのが、蛍を殺した3人の皮肉かと思いきや、まさかの蛍として身代わりに自殺した栞が蛍に向けていたのを知って見事に騙されたのと同時に感動しました。
本来ならオタクの3人に対して不憫に思うかもしれないけど、私個人的には蛍に対して不憫だなと強く思ってしまいました。
あと栞と蛍の友情がとても素敵で好きになりました。
個人的にこの小説で感動するとは思わなかったので少々やられたなと感じちゃいました。

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2025年08月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久しぶりにしっかりイヤミスだった。
誰も救われなくて悲しい…でも栞だけは救われたのかな。蛍の妹が物語の全ての元凶だったわけだど、元を辿ると蛍の実の母親が蛍を捨てて栞の父親と結婚したこと、または栞の父親が栞の実の母親の美月を捨てて蛍の母親と結婚したことなのか。
最後、蛍の父親と思われる人がホームレスとして現れるのも良くできすぎていたけど、面白かった。
栞も蛍も生きたまま友達として生きていければよかったね。ヲタクが一概に気持ち悪いというのは違うと思うけど、気持ち悪いと虐げられる人達がヲタクの道へ走る構造みたいなのがなんとなくわかった。(うーんなんか言語化難しいな)

【以下読み返した時に内容思い出せるようにメモ】
栞の父親=ゴーストライター
栞の母親=蛍の実の母親=有名な作家を装う
蛍の両親=血のつながりはない
蛍の妹=両親の実の子供=血の繋がりはない
栞=蛍のゴーストライター
蛍=栞になり変わる生きていく

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2025年03月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ミステリー?すごく平易な文章と場面転換が早いのでサクサク読めました。全体に無理がある気がしましたがまぁライトに読めたからええか。

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2025年09月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

キモオタキモオタと同級生からも家族からも邪険にされるのは不憫ではあるが、なかなかに文章から漂う人間性が気持ち悪い。
ギャルの対応はいかにもな差別で極端だが、冷たく対応してしまう気持ちも分かる。
蛍の駆け引きの話であったが、蛍を殺されてからキモオタの延長人生、そこまでして得たものはあったのか?
美人は美人なりに苦労があるというが、復讐側にもまわって立ち振る舞いしやすいという、やはりメリットが強いではないか。

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2025年01月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終わって、こんなにイヤな気持ちになることはそうそうない。
最後は栞と蛍の美談のように終わっているけれど、私には終始人の悪いところを切り取った小説に感じられました。

コンプレックスに始まって、コンプレックスに終わっている。
結局誰にも救いはないし……元気のない日には読めないですね。

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2024年12月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

東京から京都の高校に転校してきた美女・蛍。
電車への飛び込み事故で蛍が亡くなったシーンから始まる。
彼女は、顔の火傷により喋れない栞、オンラインゲームでのコイビトがいる桜、亡くなった双子の姉の分も食事をさせられる雪、3人のいわゆるオタクが所属している生物部へ入部する。
自身もオタクであると公言しており、3人の部員とそれぞれ仲良くなっていく蛍だが…。

読後感が悪い。
今回も伏線回収は素晴らしかったけど、前回読んだ「神に愛されていた」に対して性的な表現が多くて読み進めるのに気が重くなる部分もしばしば。主に性欲の強い桜のパート。
あとは、オタクと一括りにしてそれぞれの一番大切なものを奪おうとする蛍の偏った考え方も、気が重くなった理由の一つ。

栞以外の誰もが、自分のしてきたことに対する制裁を受けた因果応報エンド。

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2024年09月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

みんなの悩みやドロっとした感情が丁寧に描かれている。蛍が生物部のメンバーに関わっていくうちに、彼女たちの中で満たされる部分があると共に、ジワジワと侵されていく部分もあって、最終的にはマイナスな感情が爆発する様子が、人間らしくて共感した。
蛍の感情は終盤まであまり分かっていなかったけど、生物部のメンバーから嫌がられる部分がちゃんと蛍自身にあって、勘違いがあった訳ではなかったので良かった。
唯一まっすぐに蛍のことを信頼していた主人公が、一番悲しい終わりを迎えたのが、本人が望んだこととはいえ辛かった。

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2024年09月22日

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