あらすじ
・大気の状態が不安定とはどういうこと?
・大雨が持続する危険な積乱雲はどんなもの?
・線状降水帯の発生メカニズムとは?
豪雨に備えるために知っておきたい気象の知識
数十年に一度という極端な豪雨は、なぜ頻発するようになったのか。
本書ではまず、直近10年の豪雨災害を振り返り、その発生状況を整理する。
そのうえで、気象のメカニズムをやさしく説き起こし、豪雨をもたらす要因、
線状降水帯や台風と豪雨の関係などまでを解説。
また、しばしば豪雨との関係がささやかれる地球温暖化の現状に加え、
豪雨への影響を評価する、イベント・アトリビューションによる最新研究を紹介する。
気象情報を上手に活用すれば備えができる豪雨。
その付き合い方がわかる1冊。
【まえがきより】
本書をお読みいただければ、豪雨をもたらす積乱雲の発達から地球温暖化と豪雨の関係までを、
ひとつのつながった話として知ることができるでしょう。
災害をもたらす豪雨はたしかに怖いものであり、ときには避難する必要があります。
ただ、地震のように突然起こるものではなく、ある程度は事前に予測することができます。
普段から天気予報に耳を傾け、天気の移り変わりのしくみを知っておくと、
いざ豪雨がきたときにも慌てず、適切な行動をとれるようになるでしょう。
豪雨の正体をつかめば、なぜ地球温暖化で豪雨が威力を増すのかもわかってきます。
【目次】
第1章 21世紀はじめに発生した豪雨を振り返る
第2章 豪雨はなぜ発生するのか?
第3章 豪雨をとらえる
第4章 進む地球温暖化
第5章 近年の豪雨は地球温暖化のせいなのか?
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Posted by ブクログ
極端豪雨はなぜ毎年のように発生するのか: 気象のしくみを理解し、地球温暖化との関係をさぐる。川瀬 宏明先生の著書。海洋研究開発機構、国立環境研究所などを経て、現在、気象庁気象研究所応用気象研究部主任研究官である川瀬 宏明先生。地球温暖化と豪雨の関係は誰もが当然だと考えていることだけれどそれを改めて検証している。地球温暖化による異常気象を止めないと人類の未来は暗い。地球温暖化と豪雨による被害者をこれ以上増やしてはいけない。地球温暖化と豪雨や異常気象の被害を真っ先に受けるのはいつも立場が弱い人たちなのだから。
Posted by ブクログ
この本を読見終わってからしばらく経つが、その間に気象について独学で勉強していた。すると気象というのは、本当にさまざまな要因によって決まるということに気づかされる。気温、気圧、湿度、風速、風向、前線と、素人でもパッと思いつく代表的な概念でさえいくつもあるが、さらに相当温位や潜熱、温度風、渦度など、一つ一つになるほどと唸らされる概念が3次元で複雑に関係し合っている。このようにさも知った風に書いてはいるものの、実のところまだ全然理解できてはいない。
とにかくこのように難しい気象というものを相手に、しかも近年素人からも素朴な疑問として注目されている「地球温暖化と豪雨の関係性」というテーマで書き表そうとすれば、気象学のどこまで詳細に解きほぐして説明するかという問題にぶつかることは間違いない。
この本では、地球温暖化や近年の「極端豪雨」についての最新の分析も踏まえつつ、書名にもある命題について、気象の素人でも無理なくスムーズに迫ることができる。そうした点でしっかりと練られた本なのだろうと、素人ながらに思う。
ただこの本を読んでもなお、地球温暖化と近年の豪雨の関係性について、自分の言葉で説明しようとするとおぼつかない。たぶん気象や地球温暖化についての前提知識よりも、書いてある日本語の意味を、捻じ曲げることなく正しく理解する力こそが読者には求められる。
いずれにせよ自分にとっては学びの多い本だった。