【感想・ネタバレ】格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉のレビュー

あらすじ

所得格差、職業格差、男女格差、家庭格差、国籍格差、福祉格差、世代格差……、いま日本社会は「格差」という地雷に埋めつくされています。

著者は、世界と日本の貧困、格差の取材を重ねているノンフィクション作家。これまで、10代から20代前半の学生を対象に、講演を通して「日本における格差」について伝える活動もしています。
その理由は、これ以上格差が大きくなれば、日本社会が取り返しのつかない状況に陥るから。格差は「分断」へ行きつくといいます。

たとえばアメリカでは、「白人/マイノリティー」に留まらず、「都市/地方」「高所得/低所得」といった多数の分断を引き起こしました。選挙が近づくと、国内で双方がお互いを罵ののしりあう姿が見られ、それが衝突にまでつながることもあります。

格差が拡大し、階層の断絶が深まっているからこそ、私たちはいま、「自分とは違う階層」の現実を知る必要があるのです。

そこで本書では、7つの格差構造と、ひき起こされつつある分断を具体的に紹介。

「知っている」と思っている人ほど知らない「日本社会の問題点」と、我々がいま何をすべきかが見えてきます。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

本書では、所得格差、職業格差、男女格差、家庭格差、国籍格差、福祉格差、世代格差という7つの格差がどのように生まれるのか、その格差によってどういうことが起きるのかが書かれている。「16歳からの〜」とあるだけあって、言葉もわかりやすく大人でも頭に入りやすく、幅広い年代におすすめしたく、また幅広い年代が読んで知る必要のある内容に思う。

私自身、犯罪に手を染めてしまうのは自業自得では、と少なからず思ってしまっていたので、そうではなく、周りの環境からそうせざるを得ないこと、そこから脱することができるのはほんの一握りだということがよくわかった。周囲の人たちが、自分たちの行動で犯罪や被害を減らせると理解することが何よりも大切だと感じた。

また、正直、格差があったとして、それが自分に対してデメリットとなるとは思っていなかった(=つまり、他人事)。もちろん、見返りがあるから格差をなくそう、という考え方が良いとは思わないが、格差をなくすことが、現在そして未来に日本に生きる人たちの利益になることがわかれば、動く人も増えるのではないか。


「福祉格差」
特にこの章を読んでいて、二つの別の作品を思い出した。
①『ミステリという勿れ』
シェア金沢という、大きな土地で障害児、高齢者、大学生が一緒に暮らせる街の話を聞いた時、この作品を思い出した。
2巻では、認知症の人だけが暮らせる村(「ホグウェイ」という村がオランダにあるらしく、その村にはスタッフと認知症の方しかいないらしい)が紹介されている。認知症の方の徘徊は社会問題となっているが、村の中にはバスがないバス停があることで、しばらくバス停で待っていることで満足して家に帰っていくそう。『ミステリと〜』を読んで、こんな村は素敵だな、と思っていた。全くの素人知識だが、認知症は記憶障害や見当識障害などを含む(と私は理解している)ので、実際に日本にも似たような街があるとは知らず、素直に驚いた。障害を持った人を限られたコミュニティに閉じ込めるのではなく、高齢者などと交流の場を作ることで、双方にとっていい影響があることは想像に難くない。もっとこのような街が広がっていけば良いと思う。

②『初恋、ざらり』
私にとって苦手な作品ではあった。ただ、本書にもあるような”知的障害のある女性が風俗にむかってしまうプロセス”がわかりやすい作品。今まで表に出てこなかった格差がこのように漫画などの読みやすい媒体で出てきて世間で広まることで理解が進み、それが(私含め)格差を埋める行動につながれば良いと切に願う。

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2023年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分の知らない世界が存在していることを認識するべき。
人生のステージが進むにつれ、自分とは異なる階層にいる人達は少なく(見えにくく)なっている。自分のスタンダードが社会のスタンダードではないということを理解したほうがいい。

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2022年01月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

16歳からの、とあるとおり、若者向けに書かれたもの。斜め読みしちゃったけど、本来はちゃんと読むべき本だろう。正直気の毒な境遇の話が多くて気が滅入る。でもこれが現実とちゃんと理解すべきなんだろうなぁ。虐待とか貧困とかの問題は他の本でも読んでるけど、外国人の子どもが学校に行かなくてもいいとは知らなんだ。選挙に出る人たちはみんなこの本を読んでから発言してほしい。シェア金沢は初めて知った。憧れの場所が実在してたとは。

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2025年09月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昨今のニュースでは、「格差」という言葉がよく聞かれるようになった。「格差社会」に始まり、「所得格差」「学歴格差」「教育格差」など、様々な所で人々が格差を意識するようになったのだろう。
本書は、そんな「格差」をテーマにした一冊である。
しかし、格差社会の底辺にいる人々についての話ではない。通常の日本社会の制度からはこぼれ落ちてしまい、存在を切り捨てられてしまったような人々についての話である。
格差の底辺にいれば救いの手が差し伸べられることもあるだろうが、このような人々は格差社会の外(底ですらない)に追いやられている為、救済の手が伸びることはほとんどない。
日常生活の中で接点がない為、その存在すら気づかれずにいることだろう。
本書は、そのような人々について、そのバッググラウンドから社会制度について色々と教えてくれる。そして、決して他人事ではない問題だと気づかせてくれる。

テーマは難しいが、文章は非常に簡単で分かりやすい。厚みがある本ではあるが、読みやすいのですぐに読み切れるだろう。”16歳からの”とサブタイトルがある通り、中高生にもおすすめの一冊である。
日本社会の表には出てこない社会問題について、10代のうちから関心をもってもらいたい。

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2023年09月14日

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