後藤致人のレビュー一覧
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愛知学院大学文学部准教授(日本近現代史)の後藤致人(1968-)による戦前・戦後を通じた臣下から天皇への内奏・御下問に絞った研究。
【構成】
序 章「奏」の近代化-上奏・内奏
第1章上奏と陸海軍-帷幄上奏と最終決定
1 帷幄上奏-天皇との直結
2 海軍の「奏上」
3 陸軍の上奏-南部仏印進駐と上奏・御下問
4 上奏・御下問対策-日米開戦までの道
第2章内奏-曖昧な慣習の姿
1 東京裁判と「内奏」論議
2 多彩な内奏-口頭・公文書・私文書
3 形式と内容
第3章権力者たちの認識-日記に登場する内奏
1 大正期-『原敬日記』の上奏・内奏
2 昭和戦前・戦中期-宮中と内閣の文書に -
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「奏」と呼ばれる天皇への報告と,天皇からの「御下問」の内実を分析。帝国憲法下と日本国憲法下,それぞれにおける天皇と政治のかかわりを考える本。
帝国憲法下では,天皇には大権があり,それぞれについて臣下から「上奏」が正式な制度として行なわれた。官僚の人事関係,召集などの議会関係,外交関係,陸海統帥部関係など。その上奏の前段階の非公式な報告・説明が「内奏」とされて,本書の中心となる。
内奏は多分に慣習として続いてきたもので,呼び方も「奏上」「伝奏」など一定しない。日記を書いた人によってもそれぞれ。このあたりをかなり綿密に解き明かそうとしているが,それはあまり意味があることのようには思えなかった。 -
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ネタバレ[ 内容 ]
内奏―臣下が天皇に対し内々に報告する行為を指す。
明治憲法下では、正式な裁可を求める「上奏」の前に行われた。
戦後、日本国憲法下、天皇の政治関与は否定され、上奏は廃止、内奏もその方向にあった。
だが昭和天皇の強い希望により、首相・閣僚らによる内奏は続けられる。
天皇は「御下問」し、それは時に政治に影響を与えた。
本書は、「奏」という行為から、天皇と近現代日本の政治について考える試みである。
[ 目次 ]
序章 「奏」の近代化―上奏・内奏
第1章 上奏と陸海軍―帷幄上奏と最終決定
第2章 内奏―曖昧な慣習の姿
第3章 権力者たちの認識―日記に登場する内奏
第4章 昭和天皇の「御下