水本達也のレビュー一覧
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[建設という難業]豊富な人口と資源を背景に、強固な政治体制の下で経済成長の道に邁進している印象が持たれることの多いインドネシア。実は多民族・多言語からなるこの「若い」国家の達成と苦難を取材した作品です。著者は、時事通信社のジャカルタ支局に勤めた経験を有する水本達也。
「国家建設」「他民族」「イスラーム」という三本の柱を軸として、インドネシアをわかりやすくまとめた良作かと。経済というよりは政治や外交の視点が強く前面に出ていますので、もしその側面からインドネシアを知りたいと思う方にはうってつけの一冊ではないでしょうか。建国からおよそ70年を経る中で、インドネシアがダイナミックに移り変わってきた -
Posted by ブクログ
第二次世界大戦以後、スハルト政権から以後のインドネシアの歴史をコンパクトに、しかし、専門的にも解説している。
1950年にインドネシア共和国が誕生して以来、300の民族で構成される多民族国家として、混沌の中で国を存続させる矛盾と困難がこの国の根底。
イスラム過激派、大統領、民族紛争、外交の違った視点からインドネシアの歴史をたどるという構成。
複雑な状況を読み解くのに適した書になっている。
本書の内容は、単行本にでもなろうかという多くの内容が書かれているが、新書で読めるというのは、たいへんありがたい。
新書の分量を感じさせない内容の濃い本である。 -
Posted by ブクログ
講義でジャカルタの交通問題を取り扱うので、その入門としてまずは全般的なインドネシアという国を知ろうと思いたち教授の勧めで読んだ本。
『多様性の中の統一』というキーワードをもとにインドネシアという国家が成立から綿々と受け継がれ内包している問題を垣間見ることが出来た。
スハルトによる権威主義統治体制が表面上弾圧してきたスハルト体制以外の”多様性”がたえることなく脈々と秘密裏に醸成され、そのフタが民主化によってなくなったことで、国家としての統合性もが崩壊したことは
皮肉ではあるが多民族国家にとって不可避の痛みであったのではないかと。
特に『インドネシアは建国よりもその後