戸矢理衣奈のレビュー一覧
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平均年収400万円の旅館がある。サービス業界にあっては、特異な存在といえるだろう。
神奈川は鶴巻温泉に陣屋という旅館がある。旅館としては珍しく、定休日が週に2日ある旅館だ。客単価は4万5千円となっており、高い生産性を誇る事例として先日、日経新聞に紹介された。
エルメスは、誰もが知る高級ブランドだが、非常に高価なことでも知られている。
100万円近くするバッグも珍しくない。
両者に共通するのは、ターゲット戦略の巧みさである。
陣屋は、休日を増やしながらも、非日常に対価を支払うシニア層にターゲットを絞り企画を充実させることで業績を回復させた。
エルメスの凄いところは、その誕生から今まで、そし -
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ネタバレ銀座を代表する顔の1つに上げられるのが、シャンプーの「TSUBAKI」などで有名な資生堂が浮かんでくる。あの資生堂の歴史と初代社長の福原信三(1883-1948)に注目した著者が、博士学位論文をもとにしたのが今回の本。
意外だと思ったのが、最初から銀座にあったのではなく、創業から半世紀あまり「東京新橋資生堂」として知られていたことだ。それと同時に福原信三は、写真が趣味で日本の写真史に残る有名人で、都市計画や景観保護運動にも力を入れていたことなど一経営者の枠を超えた活躍をしていた人物であったことなど興味深い点がある。
資生堂といえば、パーラーが浮かんでくる。1900年のパリ万博に信三の -
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ネタバレ1800年代発祥の歴史あるブランド。
著者が取材を申し込んだ際、「我々はブランドではない、職人の集団」と言われ断られたそうである。
高度な技術と、最上級の素材で作り上げた商品が、その時代のインフルエンサーに使用され爆発的な人気を得た。以降もその立場にあぐらをかくことなく、職人の研修、世界の伝統文化を保持するための文化的支援活動、そして企業存続努力をを惜しまなかったエルメス。「自分たちが変わらずに自分たちであるために、何を変え、何を変えないか」を徹底し守り続けた結果、今のエルメスがある。ブランドという表現が手っ取り早いが、この本を読んでエルメスを「ブランド」と表現するのはかえって「失礼」と -
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ネタバレ資生堂パーラーが銀座にあるということを知っていても、タイトルを見て「銀座と資生堂」の関係にピンとくる人はそれほど多くないのではないだろうか。著者の博士論文を元に、現在の銀座の原型ととそれを作りあげた資生堂の関係を解き明かすのが本書。
広告や美容史に本格的に関わったことにある人間であれば、資生堂と「女性像」の変遷については聞いたことがあるだろうけれど、この本はもう一歩視点を広げて、資生堂の実質的な創業者である福原信三を中心において、資生堂と銀座、資生堂と女性像、資生堂と日本における化粧品の広がりを多重的に描いている。
読者の興味がどこにあるかによって注目する場所は変わってくるだろうけど、個人的 -
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[ 内容 ]
「ブランドのなかのブランド」と呼ばれるエルメス。
圧倒的に高価でありながら異常なまでの人気を得た背景には、高水準の職人技術はもちろん、徹底した同族経営、巧みな広報・商品戦略があった。
馬具工房としての創業から百六十余年、「伝統」と「革新」を織り交ぜながら発展を遂げた「最強ブランド」の勝因を、日本との関わりに注目しつつ多角的に分析。
日本のブランド・ブームについても考察した、ブランド文化論。
[ 目次 ]
序章 ブランドのなかのブランド
第1章 エルメスの歴史
第2章 伝統と革新
第3章 デザインの統一性
第4章 エキゾチシズムと日本
第5章 相手を選ぶメッセージ
第6章 エルメ -
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エルメスの歴史、思想などについての知識を得ることができる本。
ヴィトンと違うな、と感じた点はヴィトンが徹底的なマーケティング戦略の結果、現在の収益をあげているのに対し(よい物つくり&高品質、という前提はもちろん有り)、エルメスは、ある一貫した思想を貫いた結果
今のステイタスを得た、というところ。
あくまで個人的な考察ですが。
ブランドに魅力を感じる理由は人それぞれなので、本書の後半のように一概に世代や所得でグループ分けをしてしまうことには抵抗はあります。
ブランド品だと意識して手にするのであればそのブランドの歴史や思想を理解した上で、と感じています。
そういった意味でエルメスを知りたいと -
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ブックマークをしているブログで紹介されていて面白そうだったので購入。
今まで知らなかったブランドの歴史が想像以上に近現代の人々の変化に影響され、またブランドが時代を象徴し、人の流れを後押しする様が読んでいて興味深かった。
不況と言われる時代の中では伝統や技術はどうしてもなおざりとなる。そういうものが失われてしまうのは寂しいし、もったいないと思うけれど惜しむ気持ちだけでは手工業を守っていくことは出来ない。だがこの本には伝統を守るヒントも多く書かれている。ヨーロッパのプレミアム・ブランドの発展を知ることで日本の小さい伝統工芸などを守るきっかけを掴むことが出来るかもしれない。
プレミアム・ブランドと -
Posted by ブクログ
エルメスの歴史と製品の意味とうか特質についてまとめた本。そういう点で、このタイトルは正しい。
にもかかわらず、歴史については浅い記述。馬具→車の出現(ルノーの影響にも言及)→バッグとスカーフ。というか、全般を通して事実・情報中心であり、最後のほうに日本人がどうしてブランドを好むのか?というお決まりの論点について、バブルを踏まえた状況的分析と、日本人の伝統性というお決まりの分析。
どうしても以前読んだ『ブランドの条件』と対比してしまうが、考察等が少なく、論拠としてあげる文献もメディアや比較的手にはいりやすいミーハー評論家の考え等が中心。まぁエルメスを知るにはそれなりに役に立つかもしれない。特に、