近藤滋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
騙し絵をじーっと見るのは好きでしたが、分析したいとか謎が隠れているとか、そういう発想はなかった。エッシャーの見せてくれるマジックにただ驚くだけの一般人です。ここには庭園がある、ここまで来てみろといわれても、なにをどう解釈していいやら。
本書は、文章と絵を何度も見比べたり、理解に時間がかかったり、すらすらと読めるものではなかったが、一つずつわかる感覚は本当に楽しかった。解説してもらえるのはありがたく、作品への関心度が増す。
エッシャーの苦労、歴史、性格、作品以外のことも含めて庭園をちょっとだけ鑑賞させてもらえたような気分にさえなる。エッシャーの騙し絵は作品というより論文の域だが論文にはせずに、ト -
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おもしろかった。
「エッシャーの騙し絵には、まだ知られていない——いや、少なくとも多くの人が気づいていない——トリックが散りばめられている」
エッシャーの絵画は、単なる「錯視のショーケース」ではない——
そのことを、見事に種明かししていく一冊。
主に語られるのは、エッシャーがいかに遠近法を“ハッキング”していたのか。
自然に見えるはずのない不可能図形を、どうすれば自然に見せられるか。
その巧妙なトリックの数々が、徹底的に解き明かされていく。
あまりにも緻密で、あまりにも計算され尽くした策略に、本当に驚愕してしまった。
エッシャーは、地元・長崎のテーマパーク「ハウステンボス」で、開園当 -
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ネタバレものすごい本を読んでしまった!エッシャー展を観て衝撃を受けたので、気になって手に取った。エッシャーの作品への理解が深まり、エッシャーの魅力を再発見することができた。不可能建築のトリックだけでなく、エッシャーの作品傾向、エッシャーの人生、錯視図形、透視図法までを深く知ることができる。エッシャーの作品に対する執念というか、情熱というか、探究心というか、そういうものを強く感じることができて、とてもおもしろかった。不可能建築を可能に見えるようにするためのたくさんの工夫に気づかされ、私はただただ驚くことしかできなかった。エッシャーもすごいけど、エッシャーのすごさを分かりやすく詳しく解説してくれた作者さん
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Posted by ブクログ
五つ星では足りない!!
えーっ!もう終わりーと思ってしまうほど面白かった。エッシャーのだまし絵「物見の塔」、「上昇と下降」、「滝」を中心にエッシャーの仕掛けたトリックを暴いていく。
小学生の頃に「滝」をみてから、展覧会にも何度かいって長い間エッシャーのファンだったにもかかわらず、エッシャーのことを全く理解してなかった。こんなにも計算し尽くしていて、過去の自分を乗り越えようとしていて、作品への執念ともいえる姿勢を保ち続けた人。しっかりと作品をみればもっと理解できていたであろうに。
画集を横に置いて、読みながら、調べながら、時に他の作品もみながら、エッシャーの作品
もこの本の解読もともにたっぷり味 -
Posted by ブクログ
本編も間違いなく面白いが、エピソード挿話がそれを引き立てるのも本著の魅力。例えば、天皇陛下との食事会の話や猿の惑星についてのコラム。リアルな研究者の日常を垣間見ながら、読書を通じて生物を規定する根源を探る旅のよう。
カブトムシの角やカイメンの設計、海底のミステリーサークル。猫や魚、ヘビの縞模様やそこに潜む色素細胞の規則性を解き明かす解説など、生物学に明るくなくても楽しく理解できる内容。
猿を人間の知性まで高めるのは難しくても、人間の外見を猿に近づける事は、それに比較すれば容易。オオカミから多種多様な犬の外見を生み出した事にも触れながら、著者の説得力のある論説には、なるほどなと思った。外見に -
Posted by ブクログ
ネタバレ「完全解読」の名に恥じない好著。
騙し絵で有名な、誰もが知るエッシャーの絵は、錯視図形の応用で具象的な光景を描き実在するかのようで、実際はありえない風景の中に観る者をいざなうのが魅力であるが、本書は、そこに錯視、錯覚以外の驚くべき仕掛けが隠されていることが明らかにする。
答え合わせをしてみれば、なんだそんなことか、という感じで、本書の中でも著者は、手品の種明かしをしている無粋な行為かもと反省弁も述べているが、3つの秘密は実に簡単なというか、えっ、そんな細工で騙されてたの? と思うようなもの。
だが、それを推理し、エッシャーの心理にも迫り、なぜそこまで拘ったかを、さかのぼり読み解いてい -
Posted by ブクログ
なかなかの読み応え。
美術館で1度エッシャー展を訪れたことがあるが、そのとき少しは解説されていたのだろうか。20年ほど前で記憶が定かではなかったので、改めて解読し、難解な部分も沢山あったがとても楽しめた。
エッシャーの絵は緻密で数学的だと思っていたので、数学が苦手だったことにはビックリ。
天才の一言で終わらせず、筆者の想いも少々上乗せされているかもしれないが、エッシャー作品を鑑賞する際の補助本として面白い1冊だった。
筆者は生物学者とのことなので、
エッシャーの昆虫の作品、架空生物のでんぐりでんぐりなどについての解説も触れてほしかった。