大津雄一のレビュー一覧

  • 『平家物語』の再誕 創られた国民叙事詩

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    「平家物語」が前近代から現代にかけて、それぞれどのように読まれてきたか、を辿る。著者の関心は本書後半の戦時下・戦後にあり、それはそれでおもしろく納得もいくのだが、自分としては本書前半の前近代・明治期の方がより興味深かった。前半は時代によって儒学・国学・洋学それぞれの発想で軍記物が読まれていく様を描くが、後半は戦中だけでなく戦後も含めて軍記物が「民族」「国家」の枠から出られなくなっていく様を描いており、何とも息苦しい。著者はそうした息苦しさから平家物語を再び解き放ちたいと願っている。

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    2014年02月13日
  • 『平家物語』の再誕 創られた国民叙事詩

    Posted by ブクログ

    三国志演義ほどではないが、どうも正しい歴史じゃないぞ、と底を見られ、歴史の記録として失格になり、文学として再デビューした平家物語。明治に入ると、西洋列強に並ぶような立派な叙事詩が欲しい、という社会的欲求により、これは叙事詩だ、と言い張ってみた。そうすると登場人物も英雄としてアップグレードされる。およそ政治利用などもされながら、世相を反映させてきた、なんていうとちょっとチャチな言い方だけど、現代では「薄い本」になっちゃったりもする。それでいいではないか、と。

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    2013年11月11日