リチャード・マシスンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
"2013年6月にお亡くなりになった著者、リチャード・マシスンさんの代表作の一つ。
ジャンルでいえばSF、冒険談となるのだろう。この本には、人生とは何か?生きることの意味が問いかけられている。ある男の生きざまとして読むこともできる。縮みゆく身体も蜘蛛もスズメも飢えも比喩としてとらえることもできて、あらゆる困難にいかに立ち向かっていったかという物語として読める。最後は望む結果とならないかもしれないが、それでも生きぬくという力強いメッセージが込められていると感じた。
リチャード・マシスンさんがいなければ、「トワイライト・ゾーン(邦題はミステリー・ゾーン)」というテレビ番組もこれほどのジャ -
Posted by ブクログ
放射能を含む海霧を浴びて、身体が縮み続ける病気に冒された男の物語。人間の社会は、人間の身体のサイズを基準に成り立っている。家の大きさ、家電や家具や車、洋服や食器などの身の回りの物はもちろん、男女の恋愛や親子関係、さらには職業までもサイズの影響を免れない。
ただし、どこまで肉体は縮んでも、衣食住に関わる生理的欲求はもちろん、人を愛したり、恐怖や絶望を乗り越えて戦う勇気や知恵、希望といった最も人間らしい心は失われない。心はサイズを超越している。そして最後には、死を受け容れつつ、死を乗り越える気づきを得る。ここに著者の世界観、人生観、哲学が織り込まれている。
もし彼が「伸び続ける病気」に冒された -
Posted by ブクログ
ネタバレ初めて読んだリチャード・マシスン。
最初は、SFもの特有の不可思議や現実離れした空想の世界を楽しむ、ほんと思ってかかったが、それだけではなく考えさせる作品でした。
それは、人間が“存在する”ということの本質を「或る男が少しずつ縮んでいく」事象を題材に、抉りだそうとしたのではないか、と思う。存在している限りは、生存本能があり、水や食料への渇望があり、本能的に備え付けられた性があり、そして考えまいとしても考えてしまう思考がある。
そこにある限りは、ゼロには決してなくならない。人の目に見えなくなったとしても、それは人の規定する概念からはずれるだけのこと。
現実世界というのは、相対の世界であると