ムージルのレビュー一覧

  • 寄宿生テルレスの混乱

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    物語の構造の分析だとか、メタファーを勘ぐるだとかっていうのをしたくない小説。
    センテンスが美しい。
    それぞれ”魂”が知識、経験、本能、知性でできた土壌に根付く過程は人それぞれ違うのだから、構造や、個人個人の表面的な人格が気にくわないというのは、読み方としてちょっと違うような。

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    2012年09月22日
  • 寄宿生テルレスの混乱

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    面白かった。
    ムージルの他の著作にも言えることだけれど、最初はどうにも難解に思える。だけれど、読み進めていくうちに著者の語っていること(あるいは語っていないこと)がなんとなく見えてくる。
    そして決して語り得ないことを必死で語ろうとするその姿勢に打たれる。
    名作です。

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    2010年08月24日
  • 寄宿生テルレスの混乱

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    "というのも、大人になりかけの人間の最初の情熱とは、ひとりの女にたいする愛ではなく、みんなにたいする憎しみなのだから。自分が理解されていないと思うこと。そして世間を理解していないこと。そのふたつのことは、最初の情熱にくっついているものではなく、最初の情熱のたったひとつの、偶然ではない原因なのだ。"

    "人間が生きる人生と、人間が感じ、予感し、遠くから見る人生とのあいだには、狭い門のように、目に見えない境界線がある。できごとのイメージが人間のなかに入っていくためには、その門で圧縮される必要がある。"

    "思想が沈黙しているときに、ものごとを見てい

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    2009年10月23日
  • 寄宿生テルレスの混乱

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    バジーニへのいじめのシーンは途中で本を置けなかった。少年たちと先生たちの生きている世界は違う。お互いの会話は噛み合わないし理解できないからこそ、子供時代は残酷だったことを思い出させてくれた。「ことば」の限界は体験でわかっているのに、それでもなお「ことば」を使って説明し、わかってもらったと思う大人。この先未完の『特性のない男』に手を出そうか悩んでいる。

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    2020年03月12日
  • 寄宿生テルレスの混乱

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    おおお混乱してんな。乱暴にいえば厨ニ病(そういえばタイトルもラノベっぽ略)。題名のとおり寄宿生テルレスが混乱する話。特に後半。ものすごい。
    大人から見たら「そんなの」って鼻で笑われるようなことが、僕らにとっては世界そのものだったのです――とでも言うべきか。
    ♪ちょっと違うかもしれないが「Aoi(サカナクション)」が合う。気がする。疾走する思考的な。

    P.S.:よくよく考えると、寄宿学校(クローズした空間)を舞台に繰り広げられるいじめいびりと同性愛……これなんてじゃぱにーーーず。

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    2015年08月14日
  • 寄宿生テルレスの混乱

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    思春期の少年が特定の(特殊な)環境に置かれることで
    内面に生じる様々な「混乱」が描かれています。
    だけど、これ、帯の売り文句がいただけないなぁ。
    古典の新訳なので新たな読者層を獲得したいという意図は
    理解できるんだけど、
    「ボーイズラブの古典」という一言に喰いつく人と同じくらい、
    逆に、そのフレーズにげんなりして
    購入をためらう人も多くいるのでは?
    ――なんて、余計な心配をしたくなってしまった。
    主人公たちは半人前の分際で娼館へ女を買いに通ったりしてて、
    とても同性愛者とは思えない。
    精神的な愛とは別に、性的な衝動が存在し、
    年頃や特殊な環境のせいで、後者が暴力的に弾ける、
    ってことなんじゃな

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    2012年08月19日
  • 寄宿生テルレスの混乱

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    2021年 16冊目

     もう、無邪気に小動物をいたぶり殺す子供ではない。物の分別と残酷さへの憧れの境界線にいる少年たち。性衝動の嫌悪、憧れ。少年の心理発達を真横で鑑賞しているような気持ちになりました。

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    2021年02月12日
  • 寄宿生テルレスの混乱

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    人とは不安に陥りやすい生き物でして、きちんととその正体と向き合えればいいのだけれど、全然違う対象に攻撃をしかけてしまいがちです。その対象になりやすいのが、思春期の若者が今何を考え、将来をどう思っているのか、ということが一つあると思います。「白と黒どっちがいいの?嫌ならグレーにすればいいわ」などと解ったつもりで立ち向かうのですが、「わかってないなあ。今は何かを選ぶなんて気分じゃないのに、なぜ解ろうとしないのかなあ」というテルレス君のぶれない感じがとても現実的で、作者の目線が素晴らしい。

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    2019年02月23日
  • 寄宿生テルレスの混乱

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    ネタバレ

    ストーリーとしては、なんだかんだ言ってうまく逃げた奴。もっと何かあっても良かったのにって思った。

    寄宿学校でのイジメ、同性愛の中で、テルレスが自分の中にある第2の生が何なのか説明したいけど言葉で表せないという。
    哲学論調。

    イジメを見ました。自分は傍観のみ。
    でも、影ではちょっといじめてみました。
    でも、それも本心じゃない。
    いじめてるやつもいじめられてるやつも、なんだかイライラする。
    俺、かんけーねーし。巻き込むなよ。
    なんか馴染めないから退学するわー。

    テルレスはどっちにもならなかった。
    ただただ、自分のわからない部分を分析しようもしてた。

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    2018年01月23日
  • 寄宿生テルレスの混乱

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    テルレスの混乱ぶりを体験させられる本。笑
    自分も迷い込んでしまいそうになる。テルレスが未知のものにぶつかりわけもわからないまま自分の中の衝動に惑わされる描写は素晴らしい。正直よくわからない部分もあった。全部わかったらそれこそ自分もめちゃくちゃに混乱するんじゃなかろうか。善悪だけでは判断できない官能という魅力にぶち当たりどう折り合いをつけていくのか、ということだったのだろうか。しかし物語は終わってもこれについて解決がされているわけではない。
    この時期ってすべてに説明を求めてしまう。嫌悪感も増して、孤独感も増して、魂の清さを求めるんだけども、ちがう感覚も目覚めていて…。

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    2016年01月26日
  • 寄宿生テルレスの混乱

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    読み終わったこっちもなんだか混乱。ホント、混乱というタイトルそのものって感じ。まあでもこれも青春というものなんでしょ。

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    2011年11月09日
  • 寄宿生テルレスの混乱

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    ドイツのBL。だから少々観念的、一筋縄ではいかない。本文にもあるが、「すべてのものがダブルミーニングになる」瞬間を刻々と描く。表と裏がひっくり返り、覆いを取れば内実がまた新しい覆いとなって現れる。セクシャリティに関することもそうで(ちなみにプルーストは『失われた時を求めて』でほとんどの登場人物のそれを物語の後半にひっくり返した)、テルレスがエクスタシーに達するのはそのような反転のインパクトによってである。

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    2010年11月25日
  • 寄宿生テルレスの混乱

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    曖昧な代名詞にてこずった。

    登場人物がことごとくいけ好かない奴らで、特に、生々しい欲望を理論で正当化しようとする態度が、気に食わない。
    終始一貫、その不快感が纏わりついて、それでもなお読み進めた。
    認められないことを受け入れられないのは少年期特有では、あるよね。

    そういえば、テルレス少年と同様、ビートたけしさんも虚数の感覚について語っていた。
    賢い人間は謎に興味を持って突き進むが、僕みたいな人間は、ぶち当たって挫折する。
    妄想も勉強も、対する姿勢ってのは大事です。

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    2009年10月20日