ムージルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
"というのも、大人になりかけの人間の最初の情熱とは、ひとりの女にたいする愛ではなく、みんなにたいする憎しみなのだから。自分が理解されていないと思うこと。そして世間を理解していないこと。そのふたつのことは、最初の情熱にくっついているものではなく、最初の情熱のたったひとつの、偶然ではない原因なのだ。"
"人間が生きる人生と、人間が感じ、予感し、遠くから見る人生とのあいだには、狭い門のように、目に見えない境界線がある。できごとのイメージが人間のなかに入っていくためには、その門で圧縮される必要がある。"
"思想が沈黙しているときに、ものごとを見てい -
Posted by ブクログ
思春期の少年が特定の(特殊な)環境に置かれることで
内面に生じる様々な「混乱」が描かれています。
だけど、これ、帯の売り文句がいただけないなぁ。
古典の新訳なので新たな読者層を獲得したいという意図は
理解できるんだけど、
「ボーイズラブの古典」という一言に喰いつく人と同じくらい、
逆に、そのフレーズにげんなりして
購入をためらう人も多くいるのでは?
――なんて、余計な心配をしたくなってしまった。
主人公たちは半人前の分際で娼館へ女を買いに通ったりしてて、
とても同性愛者とは思えない。
精神的な愛とは別に、性的な衝動が存在し、
年頃や特殊な環境のせいで、後者が暴力的に弾ける、
ってことなんじゃな -
Posted by ブクログ
ネタバレストーリーとしては、なんだかんだ言ってうまく逃げた奴。もっと何かあっても良かったのにって思った。
寄宿学校でのイジメ、同性愛の中で、テルレスが自分の中にある第2の生が何なのか説明したいけど言葉で表せないという。
哲学論調。
イジメを見ました。自分は傍観のみ。
でも、影ではちょっといじめてみました。
でも、それも本心じゃない。
いじめてるやつもいじめられてるやつも、なんだかイライラする。
俺、かんけーねーし。巻き込むなよ。
なんか馴染めないから退学するわー。
テルレスはどっちにもならなかった。
ただただ、自分のわからない部分を分析しようもしてた。
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Posted by ブクログ
テルレスの混乱ぶりを体験させられる本。笑
自分も迷い込んでしまいそうになる。テルレスが未知のものにぶつかりわけもわからないまま自分の中の衝動に惑わされる描写は素晴らしい。正直よくわからない部分もあった。全部わかったらそれこそ自分もめちゃくちゃに混乱するんじゃなかろうか。善悪だけでは判断できない官能という魅力にぶち当たりどう折り合いをつけていくのか、ということだったのだろうか。しかし物語は終わってもこれについて解決がされているわけではない。
この時期ってすべてに説明を求めてしまう。嫌悪感も増して、孤独感も増して、魂の清さを求めるんだけども、ちがう感覚も目覚めていて…。