古森重隆のレビュー一覧
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写真フイルムメーカーから医療品・化粧品も手掛ける技術志向の多角的素材メーカーへと進化を遂げた富士フイルムの立役者である古森重隆氏による、リーダーや経営のあるべき姿を実体験を基に記した経営書。デジタルカメラの普及で劇的に市場が縮小したフイルム事業において、莫大な研究開発費を注ぎ込み祖業の転換を図った富士フイルムと、祖業を捨てきれずに破産したコダックが対比されるように、強烈なトップダウンによる組織改変をやりきり業績をV字回復させた古森氏の経営は、タイトル通り「魂の経営」と言える。
市場をよく見ろ。将来を予測しろ。方向性を計画したら、必ずやり切れ。単純なようだが、仕事の本質であると思う。また、ビジネスパーソンのパフォーマンスは、その人の人間力の総和という論は腹落ちした。古森氏の根っこにも哲学・文学・歴史といった、基礎になるものがしっかり備わっているからこそ、実践的な経営に取り組めた事からも、リベラルアーツの重要性を学んだ。
まるで古森氏のスピーチを直接聴いているような、生き生きとした文調であり、しっかり勉強しようと思えた。良書。 -
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題名は、著者が全身全霊をかけた「魂の経営」を行ったことによる自負からきています
・ハーバードで取り上げられた教材、なぜコダックは倒産し、富士フィルムは生き残ったのか、を企業の内側からみた書
・古森氏のメッセージは、単純で、説得力があり、わかりやすい。そのことこそが富士フィルムが生き残った真の理由ではないかと思いました。
「車が売れなくなった自動車メーカーはどうなるのか
鉄が売れなくなった鉄鋼メーカーはどうすればいいのか
我々は、まさにそうした事態ー本業消失の危機に直面していた」 で始まる
結論は、「現在、企業を取り巻く環境の変化は加速度的に早くなっている。環境の激変に対応するという課題は、単に富士フィルムという一企業の問題ではなく、多くの企業が直面する共通の課題ではないかと思う」だ。
心にのこった言葉は以下です。
・どれほど業績が良くても、来るべき危機を予測し、それに備えなければならない。現状を直視して、何が起きているのか、何がこれから起きようとしているのか、状況を正確に読み、把握し、その上で何をやらなければならないかを考えて決める。
・ただ生き延びるだけであれば、方法はいろいろあった。不採算事業をどんどん切り離していけばいいし、当時は会社にまだ、それだけの体力もあった。
・将来伸びそうだからという程度のボンヤリした判断で新規事業を考えるわけにはいかない。
・買収先の選定にあたって重視した点はやはり、富士フィルムとのシナジーによって他社と差別化できる製品を作れることだ。そのシナジー効果こそ、我々富士フィルムのM&Aの一番の選定基準としていた。
・もし、他の人と違うところがあるとすれば、誰よりも思い切って実行してきた点だ。100回決断する必要があれば、100回とも絶対間違えない覚悟で決断を下した。
・答えはシンプルだ。自分たちがやらなければ、いずれは他社がやる。ならば、やるしかない。
・有事に際して経営者がやるべき四つのこと ①読む、②構想する、③伝える、④実行する
・決断を誤る3つの要因 ①現実を直視しない ②情報が偏っている ③思い込みや偏見などの先入観がある
・戦力を小出しにする「戦力の逐次投入」は、敵に各個撃破されてしまう。戦略・戦術の禁じ手である。
・やると決めたら、次にリーダがなすべきことは、それらを明確なメッセージとして発信することだ。
・どんな問題に直面したときも、他人事や人任せでなく、自分事として捉え、「その問題を解決するためには自分は何ができるのだろうか」と考えるようになった
目次は次の通りです
はじめに
第1章 本業消失
第2章 第二の創業
第3章 有事に際して経営者がやるべきこと
第4章 すべては戦いであり負けてはならない
第5章 会社を思う気持ちが強い人は伸びる
第6章 グローバル時代における日本の針路
おわりに -
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富士フィルムは大学時代はでは写真フィルムのメーカーとイコールのイメージだった。
しかし、2000年頃からデジカメが市場に出ていくに従い、写真フィルム市場は激減し、その市場で世界的トップブランドだったコダックが再生法を申請した。
富士フィルムは、この本業消滅の危機をどう考え、決断行動したのかを2000年に社長に就任した著者が、かなりアツく、当時を振り返りながら書いていてどんどん引き込まれて読み進んでしまう。
年令的には私の親や義父などと同じ年代だ。
正解がない世界で全世界の会社市場と戦うためには、常に勝負をしてそして勝つことを普段から考えていざというときに備える事の大切さについて色々な言い回しで、何度も書いている。
読んでいると義父の言っている事と共通点が多いと思った。 -
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ネタバレ(誰が書いた、概要)
古森重隆さんという富士フィルムの現会長が書いた本。
東大卒で1960年代に当時の富士写真フィルムに入社し、そこから2000年に代表取締役社長に就任。
概要としては当時写真のフィルムで世界2位であった富士フィルムがデジタル化の波より危機的状況に陥っていた。
ただ、結果としては写真のフィルムで世界1位であったコダックが倒産し、富士フィルムは生き残り更に2010年頃に最高益を更新というものであった。
そのように乗り越えた要因が書かれている本。
(読むきっかけ)
役員の方から紹介頂いた本
(活かしたい内容 ※2点程)
・競争を恐れず受けいれ、勝つための最大の努力をする。
・勝つ為の戦略を立てる。
印象的であったのは化粧品事業を展開していたということ。
なぜ展開していたかというと、写真フィルムの原料はゼラチンとコラーゲン。
これは人間の皮膚においても重要な要素で、この研究が進んでいるという強みを活かせるからである。
これを通じて弱みを補うのではなく、強みを他に応用できないかと考え行動することが大切と実感。
・正しいと思うことであれば、誰が何といおうとやり抜く。
そこにちゃんと読みや構想があり賢く判断していたら後からついてくる。
この賢くというのはポイント。
(結論や感じたメッセージ)
・今こそ踏ん張って頑張り、業務遂行力を高め日本が世界で活躍して欲しいという想い。
・競争心を持て。
その勝った先に何が得意かが分かる。 -
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ミネルバの梟(ふくろう)は黄昏に飛び立つ。
ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル
(引用)NEVER STOP イノベーティブに勝ち抜く経営、著者:フィリップ・コトラー、古森重隆、発行:日経BP、日本経済新聞出版本部、2021年、54
これは、贅沢な本だ。”近代マーケティングの父”と呼ばれるフィリップ・コトラーと富士フィルムホールディングス代表取締役会長兼CEOの古森重隆氏がタッグを組み、イノベーティブに勝ち抜く経営について語ってくれる。富士フィルムといえば、やはり”写真”だ。私も写真撮影が好きで、フィルム時代からお世話になっている。緑の箱に入った富士フィルムのリバーサルフィルムである”ベルビア”や”プロビア”は、デジタル写真のように撮影後の露出変更ができない。そのため、同じカットの撮影でも、通常、マイナス1、プラス1といったように変更しながら最低3カットを撮影したことを思い出す。しかし、今やフィルムで写真を撮影する人たちは、殆ど皆無に近い。私も一眼レフカメラをデジタルに変えて、十何年経つ。
当時、世界で40社あったフィルム会社は、デジタル化の波に押され、4社となり、さらに2社となり、最後に1社だけが残ることとなる。この1社は、言わずとしれた富士フィルムである。すでに、チャールズ・A,オライリーやマイケル・L.タッシュマンらによる「両利きの経営(東洋経済新報社、2019年)によって、富士フィルムの勝ち抜く経営は、ハーバードビジネススクールでも高い評価を得ている。本書では、なぜ、富士フィルムが迅速に自社の技術を生かし、新たな医療画像診断事業、再生医療事業、化粧品事業へと多角的に展開して成功できたのか。また、コトラー教授が提唱してきたマーケティング4.0とは何なのかを知ることができる。さらに本書では、「ケイパビリティ」という単語が頻繁に登場する。ケイパビリティとは、直訳すれば「能力」や「才能」である。そして企業経営に当てはめると、一般的には、企業成長の原動力となる組織的能力や強みのことを指す。まさに、富士フィルムの多角経営は、本書にも登場する四象限マトリックスによって整理されている。これは、富士フィルムの古森氏が技術の棚卸しをし、強み×強みで新たな新規市場への参入を可能にした。これは、古森氏が正しい方向を示し、企業のケイパビリティがそれに応えたからできたのだと理解した。
かつて、ピーター・F・ドラッカーは、企業の成長には、イノベーションとマーケティングが必要だとした。コトラーによれば、このたびの富士フィルムの事例により、マーケティングとイノベーションは、別個の独立したものとみなすべきでないと結論づけている(本書240)。そして、私はリーダーシップ、マーケティング、イノベーションの根幹をなしているのは、「人間力」であると感じた。危機的状況を共有し、プライオリティをつけ、ダイナミックに、スピード感を持って、進化した。そこでは、危機を理解し、素早く進化を遂げることができた大きな要因の一つとして、人間力の総和によるものであると感じざるを得ない。
富士フィルムの先進研究所のシンボルは、ミネルバという女神と梟(ふくろう)だ。古森氏によれば、ローマ神話の女神ミネルバは、技術や戦の神であり、知性の擬人化とみなされた。そしてミネルバは一つの文明、一つの時代が終わるとき、梟を飛ばしたという。それまでの時代がどのような世界であったのか、そしてどうして終わってしまったのかを梟の大きな目で見させて総括させたと言われている(本書64)。
時代の流れは速い。イーロン・マスクの盟友ピーター・ディアマンディスが著した「2030年 すべてが『加速』する世界に備えよ(株式会社ニューズピックス、2020年)」では、情報科学技術の進展により、自動運転技術や家事ロボットなどが進展し、私達の生活が激変し、より豊かに暮らせるようになることを示唆している。特にこれからの時代、量子コンピュータの普及は、これからの私達の日常生活を覆すものになるだろう。それとあわせ、現在、第4波と言われる新型コロナウイルスの影響、持続可能な世界を構築するSDGsなど、私達を取り巻く社会変化も目まぐるしい。そのなかで、私達は、古森氏が言われる梟になって、まず何が起こっているのかという現状分析からスタートし、次の時代に備える。今の時代だからこそ、コトラー・古森ウエイが必要であると感じた。
二人の巨人が辿り着いた、どんな状況下に置いても勝ち抜く経営の奥義。本書では、この二人の巨人により、如何なる状況下においても勝ち抜くことができる経営の真実が明らかとなった。 -
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『この震災でもう一つわかったことがあった。被災地で自衛隊員などによって拾い出された写真のほとんどが、CDやメモリなどの電子媒体に記録されたものではなく、プリントされたものだったということだ。
さらに、高い品質での再生が可能だったのは、水でインクが流れてしまう家庭用インクジェットプリンターで印刷した写真ではなく、表面にコーディングが施されている銀塩写真であり、写真店でプリントされた写真だったということだ。
我々は「写真救済プロジェクト」の活動を通じて、写真が人々にとってかけがえのないものであるということを再認識した。写真の素晴らしさを多くの人々に伝え、写真文化を守っていくことは、この先もずっと我々の使命なのだ。』
自分たちが何の会社で、どんな使命があり、どこに向かい、何を行い、何をしないのか、明確に決断できるトップのいる会社は強いことがよく分かった。
経営者がやるべきこと、までは良かったが、その後の章からは、ちょっと注意が必要。ニーチェとヘーゲルがお好きなようで、納得! -
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富士フィルムを復活に導いた経営者の伝記。良書。
気になった文言は以下の通り。
・リストラは最大限の配慮をもって断固として実行する
- 特約店のパートナーなどにも配慮した
・自社のアセットを4象限で整理した
- 縦軸:現在の市場と将来の市場
- 横軸:現在の技術と新しい技術
→これをもとに市場のニーズをふくめ以下の4点を検討した
1) 既存技術で既存市場に新たに適用できること
2) 新技術で既存技術に適用できること
3) 既存技術で新市場に適用できること
4) 新技術で新市場に適用できること
・自分たちの会社の方向性は自分たちで考える
- 外部の専門家・コンサルタントはあくまで参考とする
・決断を誤る3つの要因
1) 現実を直視しないケース
2) 情報が偏っているケース
3) 思い込みや偏見があるケース
・上級管理者となってから伸びない人
1) 体力・健康を失ってエネルギー切れを起こす
2) 現状に満足してしまう
3) 大局観を養うために哲学や歴史の勉強をしてこなかった
以上 -
Posted by ブクログ
富士フィルムの会長兼CEOの古森氏の著書。
同社の写真フィルム事業から現在の多角的な事業に転換した歩みと氏の経営者としての哲学や日本の現状への提言が書かれています。
同社の歩みを読んで同社が写真の主体がデジタルへと変化していくなかでVISION75(「経営全般にわたる徹底的な構造改革」「新たな成長戦略の構築」「連結経営の強化」)を2004年に発表し、勝ち続けられる事業として「デジタルイメージング事業」「光学デバイス事業」「高機能材料事業」「グラフィックシステム事業」「ドキュメント事業」「メディカル・ライフサイエンス事業」の6つに絞り混み、2008年にまた業績を盛り返した姿を読んで、氏の哲学が浸透し、また意志を強く行ってきたことを感じました。
また哲学の部分を読んで、先を読む力、想像する力、伝達する力。そして、勝負に対する強いこだわりなど氏の哲学を感じることができました。
また日本の現状を読んでまだまだこれからこの国は希望を捨てちゃいないとも感じました。
前向きに、外向きに、上向きにこれからも歩めば未来は開けていけると強く感じました。
読んで勇気をもらえた一冊でした。