森博達のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
中国の實錄や史書といった書物も、基になる史料があってそれを編纂したものなので、『日本書紀』にも原典があるというのはよくよく考えてみれば当たり前なのに、何故か新鮮だった。『日本書紀』の場合は『隋書』や『漢書』など歴史の授業でも聞くような有名どころから、素人は耳慣れない書物まで色々あり、そういった種々の原典から文章を抜き出して、単語を入れ替え、言い回しを必要に応じて変え、潤色に使ったらしい。
思えば、役所仕事や法律文と似ていて、あくまでも作文ではなく、過去の編纂物からの引用や応用が基礎になっている。そういえば、役所や法律を引き合いに出さずとも、和歌や漢詩も言ってしまえば踏襲と引用の連続。それゆえに -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
720年に完成した日本書紀全三十巻は、わが国最初の正史である。
その記述に用いられた漢字の音韻や語法を分析した結果、渡来中国人が著わしたα群と日本人が書き継いだβ群の混在が浮き彫りになり、各巻の性格や成立順序が明らかとなってきた。
記述内容の虚実が厳密に判別できることで、書紀研究は新たな局面を迎えたといえる。
本書は、これまでわからなかった述作者を具体的に推定するなど、書紀成立の真相に迫る論考である。
[ 目次 ]
第1章 書紀研究論(森への誘い;書紀概説;書紀研究の視点 ほか)
第2章 書紀音韻論(音韻学と書紀;漢字音による書紀区分論;α群歌謡原音依拠説 ほか)
第3章 書紀