学生運動から、連合赤軍の山岳ベース事件にいたるまで、内部では何が起きていたかを記した一冊。なぜ左翼に傾倒していったのか、なぜ連合赤軍事件(リンチ)は起きてしまったのか気になって読んだ。
革命運動に関しては、例えば「今の大学で勉強したい」と考えている人への配慮、あるいは既得権益への配慮、革命後のビジョ
...続きを読むンが全くないきわめて独善的な行動だと思うし、そこに答えておらず、自己弁護に終始している印象。一方で他の連合赤軍の自伝等は自己反省に終始している点で、ある意味客観性が保たれている作品とも言えると思う。
管理教育への反発、不満→現体制への反発
...歴史的に暴力革命でしか世界は変わらなかったから暴力に、というのが筆者の根底にはあったようだ。
ただ山岳ベース事件において、仲間内でリンチを行うという結果にいたるまでのプロセスは「ごく自然」に思えてしまうことが意外だった。おそらくこのような事件は連合赤軍だけではなく、今後もあらゆる組織で起きうる現実なのだと思うし、この事件から学ぶことはあるのだと思う。
思うに、新左翼は、現体制への不満が始まりであり、反体制・理想主義的なものが思想の中心である。試行錯誤を積み重ねた結果が現実であるため、理想は実現できないものである。その崇高な理想を掲げているのにも関わらず、「実現できない」という事実の前に、その理由を内部環境に求めるしかなかった。(=総括)外部環境に理由を求めてしまえば、その時点で党は崩壊するからである。またうまくいかない現実が続けば、兵士たちの意欲が下がることも容易に推察される。指導者の威厳を保つために、その総括の際、暴力を用いることになったのだろうと思った。