20190426
修行といってもそれほどの悲壮感はなく、年輩の人もけっこういたという。
仕事のほうも腕はそれなりによかったようだが、万事ゆったりとしていて、近くの社寺参りに行ったり、職人衆や近所の人たちを相手に博打まがいのことをしたかと思うと、囲碁や謡を教えたり、器用に墨絵や書を書いて、ちゃっかりと小遣い稼ぎをしたりと、なかなかに趣味人の職人もいたようだ。
ただ、武家の出だった曾祖母だけは「あの人らは、どこへ行ってもあんなことしとるんやろ」と 終始冷淡だったという。
(p.213 西行の渡り職人について)