木佐芳男のレビュー一覧
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戦争との向き合い方について、日本国内では常に優等生として比較されるドイツ。だが本書を読めばその印象は大きく変わる。
ポイントとなるのはナチスとドイツ国民の巧みな切り離しと、ホロコーストとそれ以外の戦争犯罪の明確な区別である。 「過去に盲目となる者は~」でおなじみのヴァイツゼッカー演説やワルシャワゲットーの献花台でひざまづくブラント等、象徴的に取り上げられなかば伝説化している事実についても、よく吟味するとこの二つの論理が徹底されていることがわかる。 ナチスとホロコーストを完全否定するかわりに、ドイツ国民、国防軍、その他の戦争犯罪については言及を避けることで、ドイツは国家としての戦後補償を大きく -
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期待していた以上に面白かった。
ぼんやりと、歴史認識とか、某隣国とか、いろんなこと心理学的に分析したほうがいいんじゃないかと思ってたんだが、まさにそういう本。
キーワードはマインドコントロール。
WGIPも含んでいるが、それを進歩的文化人たちが自ら継続している。
自己愛パーソナリティ障害と、統合失調症。
なるほどなあ。要は、厨二病だよ。
某社も、某国も色んな、今の日本を取り巻くところがそれで理解できる。
先の大戦についての日本の無策も、統合失調症から考えることができるんだ。
大事なところは心理学の先生へのインタビューがメインになってて、誰の本だよと思わなくもなかったが、参考図書の -
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ネタバレ戦争責任については、中韓からは「未だに過去を清算できない日本」と言うメッセージが世界中にばら撒かれており、片やドイツは現在の処この問題を実にすっきり処理しているように見えます。
この日独両国の差を解きほぐそうとしたのが本書で、非常に精力的に取り組んだ本だと思います。
結果から言うと、
①ドイツはヒトラーを絶対的な悪役にしてあっさり責任を押し付けた。
ヒトラーは敗戦直前に自殺をしていたので、裁判にかける必要がなかったし、しかも彼は外国生まれの成り上がり者であり、ドイツには遺族や親族もいなかった。
この事により、ヒトラーとナチスをスケープゴートにした国家的トリックが仕掛けられ、かつ見事に定着した -
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ネタバレ[ 内容 ]
1995年にドイツ各地で開かれた「国防軍の犯罪」展は激しい抗議運動を引き起こした。
ナチスばかりでなく正規軍も残虐な行為を行っていた事実に光が当てられたためである。「ドイツは自らの戦争責任を認め、謝罪してきた」と言われてきたが、それは正しいのだろうか。
膨大な聞き取り調査を通じ、ドイツが冷戦構造の中で巧妙に論理のすり替えを行ってきたことを検証し、歴史と向き合うことの重さと意味を問う。
[ 目次 ]
序章 日独でちがうもの、おなじもの(ふたつの舌禍ドイツ版“君が代論争”)
1 善いドイツ人と悪いドイツ人=DEトリック(旧ドイツ国防軍の暗部、トリックの仕掛け人 ほか)
2 忘れられ -
Posted by ブクログ
戦争責任についてはドイツは日本の対極にあって、模範的だとみられることが多いが、それはいわゆる「ホロコースト(大量虐殺)」を戦後問いつづけ、全ての責任をヒットラーやナチスに負わせてしまったことからきている。ヒットラーやナチスだけが悪いのではないという認識が戦後生まれたようだが、慰安婦問題などは今でも問題にならないという。日本で言えば、東条たちA級戦犯に戦争の全責任をとらせようという発想に通じる。戦争責任は重さの違いこそあれ、全国民が負わなくてはならないものだ。ドイツではホロコーストが強調されるあまり、侵略の責任、慰安婦を含む戦場での犯罪は不問に付されてきた。ドイツ人にとっては、むしろ戦後ソ連が入