戦争責任については、中韓からは「未だに過去を清算できない日本」と言うメッセージが世界中にばら撒かれており、片やドイツは現在の処この問題を実にすっきり処理しているように見えます。
この日独両国の差を解きほぐそうとしたのが本書で、非常に精力的に取り組んだ本だと思います。
結果から言うと、
①ドイツはヒ
...続きを読むトラーを絶対的な悪役にしてあっさり責任を押し付けた。
ヒトラーは敗戦直前に自殺をしていたので、裁判にかける必要がなかったし、しかも彼は外国生まれの成り上がり者であり、ドイツには遺族や親族もいなかった。
この事により、ヒトラーとナチスをスケープゴートにした国家的トリックが仕掛けられ、かつ見事に定着した。
ここに、日本の天皇との 大きな差があると思います。
②二番目が日独両国の首脳の資質の問題。
戦後のドイツの首脳の配慮の行き届いた発言に対して、日本の歴代の首脳の配慮を欠いた発言は枚挙にいとまがない。
これらの発言により、責任を取ればまだしも、そうではないので、国際社会から見れば、日本人が「反動的」な首脳を支持しているように映り、かつ過去を清算していないという負のイメージが、更に膨らむという悪循環を繰り返している。
著者は上記に加え、更に1985年のドイツのバイツゼッカー大統領の演説で「ドイツの敗戦」が「ドイツの解放」という言葉に置き換えられた。これは見事な国家的なトリックであると。
ただ、良心的なドイツ人からは、ドイツ国民はナチスから解放されたのではなく、当時の相当数の国民がナチスに加担した事実や(ナチスではない)国防軍の責任について考えるべきだと言う意見が時折出てくるが、本書のサブタイトルの「清算されなかったドイツの過去」とあるように、現在の処そのような意見は封印されてしまっているようである。
日本の戦争責任の問題をこの欄で言うのは話がややこしくなるのでやめるとしても、我々日本の戦後世代が思うのは、せめて国益を損なうような政治家の行為や失言だけでも止めて欲しいものです。