中島俊郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
◯本書のアーギュメント(主張)
十七世紀から十八世紀にかけて、イングランドの貴紳の子弟が学業の総仕上げとして長期間の大陸旅行をするグランド・ツアーが人気を博した。そんなグランド・ツアーにおけるイタリア体験は、イギリスの貴紳たちの感性や自然観に大きな影響を与え、それがイギリス的風景の理想を形作る契機となった。やがて人々の関心は遠方の自然景観から、ロンドンのシティ・スケープへと移り、都市文化が育っていくなかでタウン・ガーデンや私庭を求めていく。キーワードは一貫して「田園」と「アルカディア」である。
◯感想
本書の主張は上記のようなものなのだが、旅行がテーマである以上、当然、数多くの旅人が登場する。その人々のエピソードがどれも面白く、引き込まれる。スティヴンソン「旅は驢馬をつれて」はさっそく読んでみたい(pp182-194)。スランゴスレンの貴婦人たちも興味深い(pp156-160)。ロンドンなどの大都市にあるスクエアが「(前略)イギリス中で流行した『都会のなかに田園を』という現象がもっとも目につく場所であった」(p235)という指摘には、なるほど、と思った。スクエア、たしかに、ほっとする場所だったなー。