石川清のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
あまりに面白くて一気に読みました。
本著によって、私の中に何か引っかかっていた動機が氷解しました。素晴らしい本です。
題材となっている津山三十人殺しは、日本の犯罪史上でも有名な事件です。当時もセンセーションを起こし、なおかつ戦後でも映画八墓村がこの事件からヒントを得て描かれ、さらに周知されるに至ってます。
この事件をノンフィクションのドキュメンタリー形式で書いた、筑波 昭著の津山三十人殺しがあまりにも有名です。小生も数年前に読みまして、リアルなタッチ、実行犯の内面描写など感嘆したものです。
と ・ こ ・ ろ ・ が
その筑波 昭著の津山三十人殺しが、実はフィクションに満ちていたと -
Posted by ブクログ
戦前に起きた津山三十人殺しという事件を大まかにしか知らないので、真実を語られても、それ以前の通説と比較しての新たな発見による興奮は得られず、そもそも何が新説なのかを解する予備知識がない。これは私自身の問題だが、しかし、その意味では事件全容を把握する初見の本としては、凄惨さと狂気に触れ、感情を大きく揺さぶられるスゴ本だった。
この本自体の正確性を問う評価もあり、取材を重ね、文献も探しての苦労は見えるが、一部で矛盾したように見えるのも確か。しかし、私にとってはあまり細部の正確性は気にならない所で、横溝正史の小説『八つ墓村』を読んでいるかのような感覚でも許せる範囲である。
ズシリと来る感覚は、閉 -
Posted by ブクログ
八つ墓村のモデルになった、日本で最大死傷者数を誇る殺人事件について書かれた本です。
とはいえ犯人は決して異常者ではありません。
家系問題や結核発症、結核差別からの村八分など様々な要因が重なってこのような事件を起こすに至ります。
普通の人が最大死傷者数の事故を起こすに至る過程は運命的に残酷で、遺書を読んで正直号泣してしまいました。
優等生であったゆえの高い自己評価と、過保護教育からの怠け癖や他責の傾向の強い性格など、何が人の性格を作っていくのかという点について考えさせられました。
犯人の人生や生活について想像が広がり、とても面白かったです。 -
Posted by ブクログ
先月号の「本の雑誌」の特集が事件ノンフィクションで、うーん、好きなジャンルではないんだけどなあと思いつつ、いくつかのタイトルに興味を抱いて、読んでみることにした。これはそこで紹介されていた「津山三十人殺し 最後の真相」の著者が、さらに新しく調べたことを加えて書いたもの。
「津山三十人殺し」については、個人的には「八つ墓村」より山岸涼子先生の「負の暗示」から受けた印象が強い。本書を読んで、あれはかなり正確に事実に沿っているのだということがわかった。(「負の暗示」は「神かくし」という文庫に収録されているが、どの話もオソロシイ)
この事件の異様さ、殺戮の凄惨さはもはやいうまでもないだろうが、さす