六冬和生のレビュー一覧

  • 地球が寂しいその理由

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     実にSFらしいSFでした。
     めまぐるしく繰り広げられる姉妹ゲンカ。ああそうだ、これ確かAIなんだよね? ほんとに? となってくる。
     出てくる登場人物たちはどれもこれもアクが強く、一筋縄では行かない。AIを出し抜いたり出し抜かれたり。なんというか……わぁすごい。である。

     地球が寂しいその理由。
     最後まで読み終えると、このタイトルのすごさが分かる。

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    2014年12月26日
  • みずは無間

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    面白い!
    ほぼ独り言で思索的な話なのに、ここまで引き込まれるとは。
    あてもなく何千年も一人でいればそんなもんかもなあ、と思う。

    みずはの記憶がうっすらと哀愁を添えていて、切ない。

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    2014年01月18日
  • 松本城、起つ

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    ネタバレ

    受験を目指す女子高生とその家庭教師の男子大学生。模試の結果をもって松本城天守閣にきた際、天守閣崩落の事故に出会い、女子高生は豊作の神様、家庭教師は松本藩士として、江戸時代初頭飢饉の松本藩にタイムスリップしてしまう…。

    歴史改編と転生を繰り返す系のSF小説。転生から現代に帰ってこれるのか?ってのがメインテーマ。「君の名は」になれないのは扱っている事件の悲劇性やとおもう。飢饉と百姓一揆と打ち首獄門では「はーいリセットやり直し」は辛いよなぁ。
    でも、思っていたより時間SFと歴史改編が上手くミックスしていて良作。

    信州特有の方言が少々分かりにくかったのは読者側の努力不足。

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    2021年02月28日
  • 松本城、起つ

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    主人公の巾上は信州大学の大学生。女子高生の千曲の家庭教師をしている。松本城が地震で倒壊するタイミングで江戸時代にタイムスリップ。貞享騒動の最中に放り込まれる。このようなことが起こった理由は突飛なものだが、エンタテインメント小説なので、これはこれでよかろう。タイムスリップとは別のパラレルワールドや高次元時空の世界も想像させる。細かいところを突っ込めばいろいろ言えるのだが、本作品はそんな小難しいことを気にせずに、素直に楽しむのがよい。自分が巾上になったつもりで物語にのめり込もう。残念なのは、千曲が意外と活躍していないことくらい。もっと二人の掛け合いを読みたかった。

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    2016年08月28日
  • みずは無間

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    ネタバレ

    人格をコピーしたAIを搭載した宇宙探査機が宇宙を旅する話。
    序盤は暇つぶしに自己改造したり、人工知性体を作ったりする話。そんなミニエピソードが続くのと思いきや、元人格と依存症の恋人の「飢餓」を軸に、宇宙規模の崩壊が始まる。
    技術レベルや、話の規模がどんどんインフレしていく様子と、元人格の話がうまく組み合わさるところが良い。

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    2015年12月21日
  • みずは無間

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    AIが人格を与えられ宇宙探索するが、人間の頃の記憶、過食症の恋人「みずは」に悩まされる。
    SFだけどホラーのようなストーリー。特にDという生命を生み出しコントロールしたり、AIである自分をコピーして分裂したりとなかなか怖い。
    後半はテンポアップし過去が次々と発覚していき、オチも面白かった。

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    2014年02月16日
  • みずは無間

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    探査船に積まれたAIが、自身が人間だった頃の過食症の恋人の幻影に悩まされながら、数万年に渡り宇宙を漂うお話。他愛のない日常の記憶とハードSFな展開が交錯する様は、一人セカイ系とでも言えましょうか。システム用語や量子論的概念が何の注釈も無しに乱れ飛ぶあたり読む人を選びますが、一人称の軽妙な語り口はラノベのような敷居の低さがあり、引き込まれます。
    また、主人公がヒマつぶしと称して繰り出すあれやこれやはAIや探査機の概念をとっくに凌駕していて、「そんなことやっちゃうんかい」と、翻弄されつつもツッコミを入れながら読んでしまいました。
    妙な感慨深さと切なさと恐怖の入り混じった読後感は、さながら良質のホラ

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    2014年01月10日
  • みずは無間

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    作者の理知と(片寄らない)現代的センスが現れた文章がとても好きだ。物語としては、ただただ逃避し続ける主人公という、そこにさらに大きな構造を求めるのは良くないことなのか。
    「皆勤の徒」に次いで今年読んだなかで面白かったSF。年末は良いSFを読めた。

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    2014年01月04日
  • 松本城、起つ

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    ややついていけない展開でありつつも、作者の発想力に座布団一枚差し上げたい!

    松本の地の言葉は、文字にするとめんどくさい、というか、ウザい、笑笑

    馴染みのある言葉だけに!
    なんとなく、無理やり使ってるふうに感じられる言い回しが、どーなのかな、、、とも思った。

    でも、なかなか壮大なSFでよろしいのでは?

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    2023年05月07日
  • 地球が寂しいその理由

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    地球と月を統括するAI人格である姉妹が双子というよりは幾つか違う姉妹のようで、優等生なアリシアと能天気なエムの憎い訳ではない姉妹喧嘩と、宇宙な雰囲気やロックスター等の人間や文章のリズムを楽しんだ。内容は上手く掴めなかった。着いて行けずどうしてそうなったのかすらわからなかった結末がそれでも寂しい。

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    2018年10月13日
  • みずは無間

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    SF。
    無人探査機にコピーされた人間、雨野透の人格が主人公。
    可愛らしい表紙から軽めのSFかと思っていたら、なかなかにハードなSFだった。表紙の女性、少し細すぎなのでは…?
    大きく盛り上がるシーンはなかったように思うが、一冊を通して、スケールが大きく、奇抜な展開が続く。
    とにかく変わった読後感の作品でした。

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    2017年07月23日
  • 松本城、起つ

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    ネタバレ

     松本城SF。
     ネタバレを懸念するとこれ以上コメントしにくい。


     以下ネタバレ感想。


     千曲かわいいよちくま。
     だけどカバー絵の制服リボンは誰も突っ込まなかったのかなぁ。ネクタイだろう。
     あと、主人公目線過ぎて後半から置いて行かれた。
     絶対千曲はもっと可愛い。

     おしゅんと千曲のキャラが若干被ってるのも気になるところ。

     あと、ここまで頑張ったのに終わりがあっさりしていて、肩透かしをくった気がする。
     でも、非日常から日常へ転換するならこんな感じなのかな。

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    2016年09月05日
  • みずは無間

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    ハヤカワSFコンテスト第1回受賞作。

    円城氏の「バナナ剥きには最適の日々」に出てくる人工衛星のAIのモデルが過食症の彼女を抱えた研究者だったら、こうなるのかもしれない。というのが初めて読んだ感想。

    結局、落ちはよくわからん。
    SF的な用語は考証不足かもしれず。なんか違和感がちょこちょこありました。

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    2015年05月06日
  • みずは無間

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    無人探査機に搭載されたAI-雨野透。退屈な日々。思い出す-地球に残した彼女「みずは」。彼女はひたすら求める。食、愛、優しさ。

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    2015年01月16日
  • みずは無間

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    ベースはゴリゴリのSFなのに、その一方で主人公の語る学生時代、過食症で依存症の低身長ぽっちゃりメンヘラ彼女との恋愛の記憶が生々しいし痛々しい、なんとも不思議な食感のSF小説でした。表紙がスイーツな宇宙でかわゆかった。宇宙と個人の精神の質量は果てしないのかなぁ、などと思いました。

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    2014年05月22日
  • みずは無間

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    「それはあなたです」
    みずはの「飢え」を一歩退き、醒めた眼で見ていた筈の透は永い時の中で彼女の記憶に蝕まれ、いつしか雨野徹は単なるみずはの共鳴器に成り果てる。これがストーカー小説だというのは適切だろう。ハードSFかと言うと、色々な小道具について擬合理的な説明がついているとは言い難いが。永遠を生きる知性は果たしてまともな精神を保っていられるのか、その問いかけに空恐ろしい解を提示している物語。

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    2014年01月29日