あらすじ
信州大学経済学部に通う巾上岳雪(はばうえ・たけゆき)は、家庭教師先の女子高校生・矢諸千曲(やもろ・ちくま)に連れられて初めて松本城を訪れた。受験より趣味の松本史跡の見学を優先し、いつまでも模試の結果すら見せようとしない千曲に巾上が腹を立てていたその時、松本城が大きく揺らいだ――1686年の松本藩で目覚めた巾上は、自分が鈴木伊織(すずき・いおり)という藩士として、千曲が松本城に祀られている二十六夜神(にじゅうろくやしん)さまとして存在していることに愕然とする。奇しくもその年、松本藩では貞享騒動という百姓一揆が発生、多数の死者を出していた。状況に戸惑う巾上は、命懸けで年貢減免に挑もうとしている多田加助(ただ・かすけ)ら農民と出会い、その窮状を知るなかで、彼らを救いたいと感じ始める。巾上と千曲は、松本の人々を救うことができるのか? そして現代へ戻ってくることはできるのか――?
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Posted by ブクログ
受験を目指す女子高生とその家庭教師の男子大学生。模試の結果をもって松本城天守閣にきた際、天守閣崩落の事故に出会い、女子高生は豊作の神様、家庭教師は松本藩士として、江戸時代初頭飢饉の松本藩にタイムスリップしてしまう…。
歴史改編と転生を繰り返す系のSF小説。転生から現代に帰ってこれるのか?ってのがメインテーマ。「君の名は」になれないのは扱っている事件の悲劇性やとおもう。飢饉と百姓一揆と打ち首獄門では「はーいリセットやり直し」は辛いよなぁ。
でも、思っていたより時間SFと歴史改編が上手くミックスしていて良作。
信州特有の方言が少々分かりにくかったのは読者側の努力不足。
Posted by ブクログ
主人公の巾上は信州大学の大学生。女子高生の千曲の家庭教師をしている。松本城が地震で倒壊するタイミングで江戸時代にタイムスリップ。貞享騒動の最中に放り込まれる。このようなことが起こった理由は突飛なものだが、エンタテインメント小説なので、これはこれでよかろう。タイムスリップとは別のパラレルワールドや高次元時空の世界も想像させる。細かいところを突っ込めばいろいろ言えるのだが、本作品はそんな小難しいことを気にせずに、素直に楽しむのがよい。自分が巾上になったつもりで物語にのめり込もう。残念なのは、千曲が意外と活躍していないことくらい。もっと二人の掛け合いを読みたかった。
Posted by ブクログ
ややついていけない展開でありつつも、作者の発想力に座布団一枚差し上げたい!
松本の地の言葉は、文字にするとめんどくさい、というか、ウザい、笑笑
馴染みのある言葉だけに!
なんとなく、無理やり使ってるふうに感じられる言い回しが、どーなのかな、、、とも思った。
でも、なかなか壮大なSFでよろしいのでは?