八雲星次のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読んだ限り、治験そのものがブラックなのではなく、そこにハマっていく人がいるということと、臨試協非加盟の病院があること、これがブラック感が出てくる理由だと思います。
著者含め、勝手な被験者の判断で虚偽の申告をする等「ふざけるな」というのが率直な思いですが、そういう人間の多い底辺の深い話を読むことができ、なかなか面白い本でした。
"一般の製造業の世界では、総売り上げに対する新製品の開発に費やす金額は5パーセント程度。多くても10パーセントである。それに対して、製薬業界では、実に20パーセントを超える。全世界での医薬品の売り上げは80兆円近く。これだけの規模の金銭が毎年動くのが、製 -
Posted by ブクログ
治験で生活をする、ある被験者の体験記。
治験を行う事でお金をもらうことが出来るが、これは給料や謝金といった労働対価ではなく、時間拘束などに対する「負担軽減費」として支払われるそうだ。
。。。といった事など、世間一般的な生活からはあまりにもかけ離れた「治験」という、世で多くの人々を当たり前のように救っている医薬品が生まれるために無くてはならない行程の内情が綴られている。
とは言っても、これを全て鵜呑みにして「治験は怖いもの、医薬品業界は怖いもの」と思い込むのはよろしくない。
逆に「そんなわけない」と世に出回っている医薬品を当たり前に思うのもまた違う。
真実は被験者および担当した者しか分か -
Posted by ブクログ
抗癌剤を除き,薬の治験(第一相)は健康な若い男性ボランティアに対して行なわれる。学生時代にそんなバイトの噂を聞いたものだが,筋金入りの体験者による本書を読んでブラックさにおののいた。誇張もあるだろうが,表はともかく,裏治験が…。
報酬ではなく「負担軽減費」が支給され,著者のようにそれのみで食っているプロ治験者が多く存在する。入院して投薬を受け,何度も採血されるが,膨大な空き時間はひたすらだらけて過ごせるため,この「仕事」の魅力に抗うのは難しい。一応,薬の体内動態の把握や毒性評価に貢献するという大義名分もあるが,治験参加者を見ると皆そんな崇高な志とはほど遠い。そして,どんなに経験を積んだところで