ラッセル秀子のレビュー一覧

  • 繁栄からこぼれ落ちたもうひとつのアメリカ

    Posted by ブクログ

    始まりは1980年代だった。アメリカの産業界は徐々に陰りを見せて
    いた。そこで最初に工場労働者が仕事を失った。

    工場が閉鎖されれば労働者で賑わった町も衰退する。商店の売り上げ
    は伸びず、そのうちシャッターが下ろされる。ゴーストタウンと化した町
    から人々は姿を消した。

    それでもまだ、違う町に行けば仕事が見つかるかもしれない。そんな希望
    を抱いて、ある者は貨物列車に乗って、ある者はヒッチハイクで、ここでは
    ないどこかへとあてどのない旅を始めた。

    日本では未翻訳だが著者は困窮するアメリカ市民の姿を追った『あてどの
    ない旅』でピュリツァー賞を受賞している。本書は『あてどのない旅

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    2017年08月21日