小長谷正明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
映像や文献を元に、20世紀の政治指導者や著名人の病状を神経内科
医が診断する。
「しかし、ヒトラーの主治医として、かつ超ヤブ医者として歴史に名を
とどめているモレルが、(後略)」
こんなことで名をとどめたくないよな。
さて、パーキンソン病に侵され、手は震え、よだれは垂れ流し、表情は
乏しく、服は食べこぼしだけらけのヒトラー。演説するモノクロ映像から、
そんなヒトラーの姿は及びもつかない。
脳内出血に見舞われたスターリンは、床に倒れて身動き出来ずにいたが
起こすことを恐れた女中がそのまま放置したことで治療の機会を失われる。
それぞれ興味深い診断を下しているが、個人的には作曲家・ラヴェルの
章が心に残った。
「『ジャンヌ・ダルク』が書けない。このオペラは今ここにある。ぼくの
頭の中にある。曲が聞こえる。でも、書けない。終わってしまった。もう、
曲を書くことはできない」
字が書けなくなり、言葉も思うように話せなくなった作曲家の頭の中には、
まだまだ多くの作品があったのだろう。それを、譜面に出来ない悔しさ・
絶望はいかばかりか。想像も出来ぬ。なんだか切ない想いに駆られた。