中西寛のレビュー一覧
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師の高坂の著書が偉大なだけに、比較すると大きな流れとしては掴みにくかったが、随所に光る記述があった。一種の世界史として読める。
主権国家体制、国際共同体、世界市民主義という3層を記述単位として、理想主義に陥りがちな世界市民主義をリアリズムの立場から抑制を促すことに成功している。
・国際政治の大半は、自己の国益と世界的な公共利益のせめぎ合いのなかで、妥協を図るという点に尽きる。
・地図というのは何らかの搾取の前触れ
・19世紀にイギリスでdiplomacyが外交を指す言葉として使われ、国際がベンサムによって使われ、国家体系がドイツのヘーレンによって発明された。国民国家の始まり。
・1913年 -
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故・高坂正堯門下であり、現・京都大学大学院法学研究科教授(国際政治)の中西寛の著作である。
同じ中公新書に高坂の『国際政治』という古典的名作があるが、論理体系としての国際政治学を考えるにあたっては本書の方が断然優れているだろう。
・主権国家体制 system of sovereign states
・国際共同体 international community
・世界市民主義 cosmopolitanism
国際政治におけるトリレンマが冒頭に示され、その後17世紀のウェストファリア以来の国際政治の来歴が簡明に示されている。
そして、米ソの宇宙開発競争の結果、大気圏外に人間を -
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人類のおかれた状況が混迷の度を深め、希望と苦悩が錯綜している今日ほど、断片的な情報ではなく、深い考察が求められている時代はない。本書はまず、国際政治の起源を近代ヨーロッパにたずね、現代までの軌跡を追うことで、この基本的な性質を明らかにする。その上で安全保障、政治経済、価値意識という三つの角度から、差し迫る課題に人間が人間を統治する営みとしての政治がどう答えられるのか、的確な視座を提示する。
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内容はすごくよかった、
よすぎて、まとめきれないくらい。。
時間がじっくりある時にでも書こう。
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ネタバレ著者は、「国際政治」を3つの位相で捉える。すなわち、「現にある秩序としての主権国家体制と、可能な秩序としての国際共同体と、理念としての世界市民主義」である(p. 266)。
そして、これらの理念系を軸として、安全保障、政治経済、として価値意識の分析を行う。極めて幅広いイシューを扱いながらも、そうした問題への対処には、あくまでも主権国家体制の確立が肝要と解く。著者のスタンスとしては、リアリズム、それも穏当な古典的リアリズムと言ってもよいだろう。
内戦や地域紛争であったり、あるいはグローバル化の萌芽であったりと、出版当時(2003年)の時代状況が反映されている箇所も認められる。一方で、主権国家 -
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ネタバレ【「埋め込まれた自由主義」by ジョン・ラギー】
ブレトンウッズ体制=この体制は国内における「組織された資本主義」を前提とし、各国政府が通貨の安定に責任を負った上で多角的な自由貿易を実現することを目指すものであった。それはまず、通貨価値を相互に安定させ、為替変動にともなうリスクを軽減し、次に国際貿易についても相互的な基本ルールを設定することで、国際分業を増進し、供給力に見合った需要を生み出すことを意図していた。固定相場制の維持のための国際通貨基金(IMF)、国際流動性の供給のための国際復興開発銀行(IBRD)、やや遅れて多角的自由貿易体制の実現のために関税と貿易に関する一般協定(GATT)が設 -
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かの、高坂正堯の弟子の中でも最も学者としては名を馳せているであろう中西寛による、国際政治観に関する一冊であるから、いったい、どれほど楽しませてくれるのだろうかと期待していたのだが、最後のオチで一気にガックリさせられた。
途中までは非常にコンパクトに、そして多くの文献を引用して、国際政治で話題になるトピックをまとめてある。
彼は安全保障の位相、政治経済の位相、価値意識の位相という三つの位相に集約してそれらを歴史的に語るということを為していて、ちょっとしたまとめにはこれ以上ないくらいの本である。
だがその一方で、それを発展させて「地球社会」について語る段になると途端に怪しくなってくる。
全ての位 -
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[ 内容 ]
人類のおかれた状況が混迷の度を深め、希望と苦悩が錯綜している今日ほど、断片的な情報ではなく、深い考察が求められている時代はない。
本書はまず、国際政治の起源を近代ヨーロッパにたずね、現代までの軌跡を追うことで、この基本的な性質を明らかにする。
その上で安全保障、政治経済、価値意識という三つの角度から、差し迫る課題に人間が人間を統治する営みとしての政治がどう答えられるのか、的確な視座を提示する。
[ 目次 ]
序章 国際政治への問い
第1章 国際政治の来歴
第2章 安全保障の位相
第3章 政治経済の位相
第4章 価値意識の位相
結章 二十一世紀の国際政治と人間
[ POP ]
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日本の国際政治京都学派の中西寛氏の2003年現在唯一の単行本。高坂の弟子で一般的には、リアリストと知られる彼だが、本書を読めば分かるように、それはモーゲンソーのような古典的リアリストでも、ウォルツのような守勢的ネオ・リアリストでも、ミアシャイマーのような攻勢的ネオ・リアリストでもない。言うなれば、リベラル・リアリストか、現実主義的リベラリストという印象である。その意味で言えば、国際政治におけるリアリストの退行が、高坂氏と中西氏の立場の違いから読取れる。個人的には、中西氏の立場は妥当だと思うが、それ以下でも以上でもない。入門の新書で多くを求める事は、確かに不可能だが・・・。
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発想は新鮮
まさかの衣服がモンスターとなり、人に寄生するという話。
服がモンスターというのはさすがに初めての設定ではないだろうか?この点は新しい。
ただ、結局人に寄生をして操るというのは、「寄生獣」など他でもたくさんある話。
大量殺戮もこの手の不条理パニック系では当たり前。
という事で、その後の新しさはない。
むしろ、細かいツッコミどころがかなり多い印象。
(女警官はなぜ服を着ていない?そもそも交番勤務の女警官があんな態度をとるのか?等々)
さらに、絵のレベルがかなりヘタ。
キャラデザイン自体は悪くないが、それを安定して維持できていない様子。
という事で、同じ不条理パニック系でも他に良い作品はいく