鈴木信一のレビュー一覧
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小説を書くための本、文章を書くための本はたくさんあって、けっこう読んできた。その中でも「書ける」と、論理的に納得させてくれるという意味では、この本が最高。ここでいう書けるというのは、良い文章、良い小説が書けるということではなくて、「何を書いたらよいか、わからない」という状況を打破できるということ。リレー小説を例に出しての説明が秀逸。
そして、後半で、書けるようになるための「読み方」についても論理的で簡潔な説明がある。書くためには読めなければならない。これもまた、当たり前のことながら、おろそかにされがちなことだ。
欠点があるとすればタイトル。「800字を書く力」からは、この内容は想像できな -
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800字を書く力
小論文もエッセイもこれが基本!
祥伝社新書 102
著:鈴木 信一
紙版
800字の原稿をさくっとかける本かとおもっていましたが、ちがっていました。
800字書けば、言いたいことを伝えることができるというのが本書の主旨です。
ちょっと感覚が違う本というのが初見です。
書くためには、読むことが必要である
気になったのは以下です。
・書き始めさえすれば、じつは問題の九割は解決したも同じなのです
・前の文を無視して、それとの関係を断ち切る形で文を書き足していくことなど、通常はあり得ないことです。
・不足に対して、それを補おうとする意志の働き、それが国語における「論理」 -
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ネタバレ●文は何かが足りない形をとる
(ex)きのうは良い天気だったが、一日中部屋でゴロゴロしていた
→「きのう」は何曜日か
「ゴロゴロしていた」のは男か女か
「ゴロゴロしていた」のは何者か
どうして「ゴロゴロしていた」のか
「部屋」は何階にあるのか
→足りない所を補おうと文は書き足されていったはずなのに、書けば書くほど足りない所は増えていく。だから書き手はまた文を書き加えていく。これが文章が出来上がる仕組み。
→文章は「書くと、書ける」
●書き手の理論とは、足りないものを補おうとする意志であり
読み手の理論とは、足りないものを追い求めようとする意志である
●読者が -
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職業柄、この手の本に興味を惹かれる。著者の作品はどれも分かりやすく、「小説を書いてみたい。でも、難しそう…」といった人の背中をぽんっと押してくれる。「ぐずぐずせずに書いてみれば書ける」という気にさせてくれる。
タイトルにある800字。著者は、新聞の社説(1000字)とコラム(600字)の中間にある800字で「一つの宇宙を築ける人は、数百枚の小説を書くことも、すぐれた論文を書くこともできる」という。その理由を「書くことの根幹にあるものは同じ」だからと話す。
根幹とは、「1文1文をつなぐ力」。1文書くことで必然的に生じる疑問にその後の文で答える。また、生じた疑問をその次の文で・・・これを繰り返 -
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文章を書ける様になるためのレッスン方法。
リレー作文などから文章を書くことというのは文を重ねていくことという非常に基本的な事を知ることが大切なようだ。
文章を書いている人は書きながら考え次の文章を浮かべるという作業をよくやっていると思う。最初から最後まで構成を立ててそれ通りに文章を書き進めるというのは結構例外的なのではないか。
そう言った意味でまず書いてみる、そして考えを進めるというのは当たり前だが知っていた方が便利。
文章の書き方だけではなく読み方もレクチャーがある。一定レベルの文章を書ける人には必要のない本。
文章を書けといわれてもどうやって手を付けていいのかわからない、という人は一読 -
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文章は、書き出せば、書くことは決まってくる。
文章を書く際には、何を書くか予め想定した上で結論に向かって書いていかなければいけない。
そう考えている人も多いだろう。
けれど、この著者は、「文章というのは必ず欠陥がある。それを埋める作業だ」と述べる。
一つの文章塊から得られる情報には限りがあり、常に不足をはらんでいる。
それを作者は埋めていかなければいけないのだ。
だから、どこが不足しているかは文章を丹念に読めば見えてくるし、その意味で良い著者は良い読者でなければいけない。
では、何かを書こうとしたときに、自分だけの文章というのはどうやって生み出せばよいのだろう。
結論から書くことが、そ -
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前半は、文章を書けるようになるための心得を明快に説いている。とにかく、何か最初に一文書き付ける勇気。それさえ出来れば、次の文は前の文の不足を補う形で続いていき、文章となっていくと言うこと。そして「淀み」「展開」。最初に書きたいことを書いてしまうこと。そこから続けていくことで思いもしなかった発見、結論にいたるということ。書く勇気と知恵を与えてくれる。
後半は文章の読み方を書いているのだが、少し納得できかねる内容。
不足を補うように積み上げられて文章は書かれていくのはわかるが、積み上げられた文章には不思議なマジックが働いている。それを可逆的に分解することが読解であるとは思えない。著者は出来るもの