大山寛人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
筆者の大山寛人さんは、小6の時にお母様を失い、悲しみをこらえて生きていたのに、その2年後、事故死であると考えられていたお母様は、実は父親が殺したのだということが分かり、逮捕、起訴、裁判にかけられた、、、という方です。しかもその父親は自分の養父も殺害していたということも。。。
筆者は、自らの体験をもとに、名前や素顔を公表して、死刑に関する講演活動などをしておられるそうで、本書もそのご活動の一環だそうです。
大山さんは、父親が逮捕された後何年も、もちろん父を許せず、最愛の母を失った大きな悲しみもあり、激しく荒れ、自暴自棄の生活を3年以上も送られ、犯罪にも手を染めたり、複数回自殺を図ったりもされたそうです。
が、拘置所の父親からの手紙をきっかけに、父親がなぜ養父と母親を殺害にするに至ったかを直接聞くようになり、その後面会などもし、父親を許せはしないが、唯一の肉親として生きて罪を償ってほしいという考えに至ったそうです。
なので大山さんは、死刑制度反対や廃止のために活動しているわけではなく、あくまで、犯罪被害者が加害者に生きて欲しいと願う場合があるのだということを人々に伝えたいと活動をしておられるそうです。
大山さんの父親が大山さんに対し、養父と妻の二人を殺害したのは事実だが、その理由がやむをえなかったのだと告白しています。裁判所はそれを事実としては認定していませんし、仮にその理由が真実だったとしても、私はあまりに身勝手な理由だと思いました。。。
ですので、私は裁判の当否や死刑制度ではなく、大山さんの半生を振り返って、大山さんが非常に苦しい中でも、もう少し穏やかな生活を送る方法はなかっただろうか、そこにおいて教育や福祉はどうあるべきだったかということが気になりました。
残念ながら、大山さんの記述からわかる範囲内では、学校や児童福祉はまったく機能していなかったように見えます。お母様がなくなった時には小学校の先生が励ましの言葉をかけてくれたという記述がありますが、父親が逮捕されて荒れ始めた後については、まったくなかったのではないかと思います。大山さんは、むしろ、「人殺しの子」という目で見られ続けたという経験を書いておられます。唯一、大山さんの母方の叔母さんが、父親が逮捕された後彼を引き取り、荒れ狂う大山さんを心配して更生させようともしたみたいですが。
私もこんな極限的に辛く悲しい思いをした子ども・若者にどう対応すればいいかについて、答えを持ち合わせているわけではありませんが、唯一、もしかしたら大山さんの場合、ちゃんと責任を持って養育する気のある叔母さんが彼を引き取り、外見的にしっかりとした保護者がいるように見えたために、第三者な目や、公的機関の支援が必要ない(=家庭内の問題)と判断されたのではないかという考えを持ちました。他方、これくらい非常につらく悲しい経験をしてしまった子どもをケアするのは、いくらその気のちゃんとある親戚と言えども、独力ではなかなか厳しかったのではないかと思いました。
と、何か後に残りそうなことを考えられたわけでもなく、全体的には無力感とやるせなさばかりを感じる本でした。
が、読まれる方によって、いろんなことを感じ、考える本であろうことは間違いないと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレテレビの番組内での特集で、著者をはじめて見ました。その時の諦めたようなくらい目、孤独感が滲むたたずまい、父を許せるのかという思いとの葛藤、世間との葛藤などかいま見えるものにとても興味を惹かれました。
本著作は事実というよりは著者の思いの丈があふれています。
たった一人の父親を肉親を、たとえそれが世間全てからの憎悪の
対象であっても守りたいという著者の思いは、母への思いや罪悪感を
思うと壮絶だと思います。
しかしこれを読む私たちは、著者の思いではなく客観的事実はどうなのか、ということにも思いが至ります。
本書の最後につけられた最高裁判決文は私たちがここで知りうる客観的事実ですが、この父親を死刑にすべきではないとまでは私は思えませんでした。死刑制度がいいか悪いかはまた別の話ですが、確かに本作は
著者の言う「被害者遺族が望まない死刑がある」ということを考える一石にはなると思います。
著者自身も非難される来歴があるのは確かなのでしょうが、今しっかりと
生きているのも確かなことなのでしょう。大事なのは今これからだと思います。頑張って生きて欲しいですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最後にはお父さんや過去の事実を受け入れ、こうして実名、自分の写真を出して本を出版している筆者はすごく強い人間だと思う。
何回もお母さんとの思い出や家族の楽しかった日々が出てくるほど、現実が残酷で苦しいものだと感じさせられた。
けれど、死刑判決や裁判所の判決を覆すのは難しいし、殺人事件はこういった事例だけではないから、日本の今の法律ではこの筆者の気持ちまで救いとれるものではなかったのだと思う。
ただ、この事件の1番の被害者はこの筆者で、1番近くにいた人間だからこそ、そういう人が救われる法律、判決であるべきだと思った。
それから、犯罪者の子供や家族を非難する風習?というものが馬鹿らしくて腹が立った。
現実で身近にいたことはないと思うけど、ドラマや映画でそういうシーンがあっても、いつも理解ができない。
犯罪は犯した人が悪いのであって、なんでその家族の家に落書きしたり、学校で悪口を言われるのだろう。