許光俊のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「ピアノ嫌いのためのピアノの楽しみ方」という視点で書かれた、とにもかくにも刺激的なピアノ音楽の指南書。
ところで、ピアノという楽器は古くから人気の習い事である。なので、ここ日本にはピアノ学習経験者が山ほどいて、ピアノ曲愛好家の多くはじつはそうした人たちだったりする。けれども、伊達にピアノを知っているがために、ときにはそこでいわれる「感動」がじつは「感心」とイコールだったりもする。つまり、(自分が弾けないような)難解なパッセージを超絶技巧によってさらりと弾いてしまうとそれだけでひどく感動(じつは、それは「感心」なのだが)してしまうということである。なので、ピアノ好きのひとのおススメや解説書の多くは、そうした「技巧」という視点から評価され、紹介されることがとても多い。でも、ぼくのようにピアノを「知らない」人間にとっては、そうしたオススメや解説は「だからなに?」ってことも少なくないのである。
この本がピアノ曲を楽しむための指南書として画期的なのは、そうしたいわば「感心」と「感動」とをきっちり切り離した上で評価しようという意図が根底にあるところだろう。なので、シューマンやリスト,ラフマニノフといったピアノ学習者ウケのする作曲家の名前も、ここにはまったく登場しない。
そして、そうした「ルール」(?)をのみこんでさえいれば、ここで書かれている内容はけっして挑発でも過激でもなく、至極真っ当な意見と感じるはずである(もちろん、取り上げられたピアニストや演奏すべてに共感できるかどうかはまた別の話だが)。
個人的には、筆者のケンプに対する評価のツボは心からの共感をもって読んだ。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
珠玉の名編から、戦慄の怪作まで―あなたの小説観・人生観を根底から変える12編。
[ 目次 ]
小説を読むコツ
岡本かの子『鮨』―初恋のせつなさ
森鴎外『牛鍋』―陰惨なすきやき
三島由紀夫『憂国』―セックスと切腹の童話
泉鏡花『外科室』―完璧至純の恋愛
武者小路実篤『お目出たき人』―日本文学史上最悪の主人公はこれだ
川端康成『眠れる美女』―ノーベル賞作家はダジャレがお好き
谷崎潤一郎『少年』―世界に稀なヘンタイ文豪
江戸川乱歩『芋虫』―ジットリ粘りつく悪夢
嘉村礒多『業苦』―世界最高のウジウジ文学
夢野久作『少女地獄』―整形手術で本当に幸せになれますか?
小林多喜二『党生活者』―革命のためなら鬼になります
岡本かの子『老妓抄』―人生のはかなさ
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
コンヴィチュニー、オペラを超えるオペラ
- カート
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試し読み
Posted by ブクログ
許さんの、オペラ演出家コンヴィチュニーについての本。面白かった!
私はどうやら結局コンヴィチュニーオペラ1個しか見てないみたいだけど。ドン・カルロスをウィーンで見て面白かった!エボリちゃんがかわいくってめっさ好みだった!ついでにカルロスくんとお友達の何たら君がホモホモっぽかった!カルロスくんはぽちゃコロ体系で、みんなデブ専?って感じの話でほほえましかった。(その辺はコンヴィチュニーが意図してたことなのか・・・)
私は見ててもあんまり意味分かってないまんま〜ってこと多いので(・・・)自分の頭で考えてもよう分からんまんまなんで、こんな風に懇切丁寧に解説されてようやく意味が分かってなるほどねー!てことが多いので有難いです。
許さんの本は、これもいつものクラシック評論本とかもそうなんだけど、おおう!そうなんか見てみたい!!/聞いてみたい!!という気にさせられるので、お勧め本としてよく出来てると思う。コンヴィチュニーさん見てみた〜い!
そんで、許さんの印象としては、パリやウィーン、ミラノでこのようなオペラの演出はあり得ない、と書かれてるけど、そうなんかなー。実際ウィーンで05年にドイツからやってきた、という頑張った演出のいくつか見たけど(上記のドン・カルロスと演劇の罪と罰)確かにブーイングの嵐であった。
しかし、そんな頑張った演出がまかり通るハンブルクはまだしもベルリンって面白い街だよなあ。やっぱり元東、とかそういう歴史的なもんなんかな。
コンヴィチュニーさんじゃないけど、05年にベルリンコーミッシェオーパーで見たモーツァルトの「後宮からの逃走」は、後宮が女衒宿に設定されてて、出てくる人が娼婦とその客と女衒しかいねーというオペラであった。女の人はヒモパンいっちょで歌ったり、男の人はまさしくフル○ンでどたどた舞台上を走り回り、歌ったりしてた。絡み合ったりしてた。すごかった。18禁にしなくて良かったんだろうか・・・。あれが国営オペラ座か〜。ベルリンってすごいよね。(本の感想になってないから!) -
Posted by ブクログ
いいタイトルだよね・・・(涙)とってもとってもとっても楽しみにしていたジャニーズコンサートが外れて悲しみに打ちひしがれていたら、このタイトルが胸にしみたよ。いいこと言うなあ許さん!(て言われても嬉しかないだろ)生きていくことに意味なんてあるのか??という疑問が根本にある。その疑問を一時的に払拭してくれるのが最高のクラシックの存在だ、とおっしゃる許さん。分〜か〜る〜!!この本は、タイトル通り許さんが超お気に入りの演奏ばかりを紹介した本なので、毒っ気はあんまりないんですけど、でも許さんのこういう基本スタンスには共感しまくりです。素晴らしい演奏について筆を極めて語ってる時、そう!私が西川のライヴで感じる気持ちコレ!!って思う。(え?やっぱりずれてる?)許さんの本読むと、ウワッ、この演奏すっげえんやろな〜聞きてえ〜!!!!って気持ちはかなり掻き立てられるので、本当にあんまりクラシック興味ない人も読んでみるといいと思うっすよ。(私はあまりそれを消化できてないけどな!)これは初心者向きっつーことで「初心者はお手軽にこの曲を楽しむために、冒頭の曲を聞いたら、その後は一気にすっ飛ばしてラストの曲に進もう」なんて乱暴なことまで書いてあって実に親切です。
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Posted by ブクログ
クラシック評論でお馴染み許さんの日本文学評論本。やっぱり許さんらしく、読みやすくって面白かったけど、クラシックに比べて、こっちは誉めてるのばっかりだから、パワフルさが負けるな〜と(笑)基本的に、あんまり読書家ではない若者に向けての紹介本なんで、比較的メジャーで、短い読みやすいの中心に載ってます。私が読んだことあったのは半分かな。で、やっぱり読んでて面白かったのが、唯一こん中で貶してる憂国(笑)そうだよね!これ口あんぐり開けて、「ホ、ホンキ・・・・・?」とポカンとするしかないよね!ちなみに私としては、三島なら「英霊の声」をさらに薦めたい。これはすっげえぜ〜。みんな「ヒロヒトー!!!!」って興奮しまくってて、みんなおったててるんだぜ〜(何を)現代日本人の感覚からすると、この本の中に出てくる人たちが天皇に求めてるのはSMクラブの女王様以外の何者でもないんだけど。これ読むと、天皇制って・・・・・と考え込んでしまうこと間違いなし!(多分)で、私は今ひとつ三島の魅力を理解できてないので、逆に許さんには三島でオススメを教えて欲しかったんだけど、上手くいかないもんだなー。しかし、ほんまか?ほんまに現代の大学生たちは憂国がお気に召すの??
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Posted by ブクログ
本書の対象読者層は、クラシック音楽の門外漢向けだと書いてある。その部分を引用しよう。
なので、本書は手っ取り早く、いい曲のいい演奏を紹介する本です。クラシックに興味があって、とりあえず何か聴いてみたいという人を読者として想定しています。とはいえ、ある程度のマニア君、マニア嬢が参考にしてくれても、もちろんいい。また、それに応える内容になっています。(p2、はじめに)
この文章から推測すると、入門者向けの名曲名盤を中心に選んであり、所々に著者好みのマニアック盤を入れているのであろうと思った。しかし、実際には逆だった。大多数は著者好みの盤が選ばれており、所々に入門者向けの名曲名盤を入れてあった。
クラシック音楽の名盤を紹介する本では、一般的に、まず曲を選んで、それからその曲の推薦盤を選ぶという工程を取る。名盤から選ぶとあまりに偏ってしまい、本として収拾がつかなくなるからだ。
本書は曲のセレクトが、どう見ても入門者向けではない。100曲しかないのに、なぜこの曲を選ぶのだと思われるのが半分くらいある。たとえば、声楽曲・オペラは本書の対象ではないとしながらも、ワーグナーは序曲を中心に6曲も選んでいる。序曲や前奏曲、ジークフリート牧歌は、ディスクでいえば、「ワーグナー:管弦楽曲集」1枚で事足りる。一方で、バッハはたったの1曲。「ゴルトベルク変奏曲」のみである。モーツァルトも3曲だけ。これでは明らかに入門者向けとは言えない。
演奏家は、この著者らしく、毎度おなじみのチェリビダッケやケーゲルの盤が多く選ばれている。一方で、カラヤンも多く選ばれている。カラヤンを多く選んだあたりが、入門者向けということなのだろう。
ビギナー向けの本であれば、名曲中の名曲、つまり世間で人気の高い曲(同曲異演の枚数が多い曲)には、定評のある名盤を選ぶのが定石ではないだろうか。チャイコフスキーの「悲愴」交響曲は、人気曲の上位に入る曲だ。この曲には、バーンスタイン&ニューヨーク・フィルの1986年盤が選ばれている。はじめてこの曲を聴くのが、この盤というのは妥当ではない。全体的に個性的に過ぎ、終楽章は超スローテンポで特殊な演奏だからだ。すでに何種類かの盤を聴いている人にお勧めするのならいい。だが、入門者であれば、定評のあるカラヤン盤(BPO、VPOどちらでも)、あるいは昔から名盤の誉れ高い、ムラヴィンスキー盤あたりが妥当であろう。1986年録音のバーンスタイン&NYP盤から入ったら、この曲の評価を誤る可能性が高い。
文体は軽薄である。ネットに書かれた文章の様だ。語尾が、「なので。みたいな。ですが。」を多用している。ひとつ具体例を挙げよう。
で、次はモーツァルトのピアノ曲を聴きますか。ピアノ・ソナタ第11番。<トルコ行進曲つき>というサブタイトルがついている。変じゃない、「つき」って。オマケみたい。でもそうではないので。(P38)
書き出だしが、「で、」というのは、かなり変である。そして、「でもそうではないので。」という終わり方も相当に違和感がある。著者としては、くだけた感じを出したかったのだろう。だが、親しい友人に話しているのではないのだ。さらに口語体と文語体は違うということを忘れてはいけない。このような文章を読んでいると、すぐに飽きてくる。特に前半はその傾向が強く、後半は少しマシになる。過去の著者に見られるように、1冊の中で文体が統一されていない。
書かれている内容は、先ほど挙げたモーツァルトのピアノ・ソナタ第11番を見てもわかるように、入門者向けになっている部分が多い。曲の解説とは全く関係のない無駄な記述もある。クラシック音楽の中級者以上であれば、読んでもほとんど役に立つことはないだろう。
文章の内容を見ると初心者向けといえるが、これまで述べてきたとおり、セレクトされた盤は門外漢向けではない。初級者から中級者、つまり、クラシック音楽にすでに入門していて、ある程度、名曲名盤は知っているという人にちょうどいいのではないだろうか。
レイアウトは、開き2ページに1枚という構成になっている。名盤として選んでいる100枚のほかに、「関連盤」として末尾に100枚選ばれている。つまり、掲載されている盤の枚数は合計200枚である。
文字のサイズは小さい。文庫本より小さいくらいだが、横書きで、ゴシック体、行間は広く取られているので、思ったよりは読みにくくはなかった。関連盤のコメントは、さらに小さい文字サイズだが数行なので、許容範囲か。老眼の人にはつらそうだ。
本としての出来は、許氏の近著である『決定版 交響曲の名曲・名演奏』 (講談社、2025年)、『はじめてのクラシック音楽』 (講談社、2023年)よりは評価できる。巻末には索引(主要人名索引)があり、演奏者のフルネーム、録音年、CDジャケット写真が載っており、クラシック音楽のディスクガイドとしての最低限のマナーは守られているからだ。全体の出来は、決して良いわけではないので、誰かにお勧めしたい本ではない。 -
Posted by ブクログ
いろいろな指揮者の演奏で交響曲の歴史を辿るもの。音楽史というようなものでなく、気楽に読めばいいのだろう。ハイティンク、ゲルギエフ、ブロムシュテット、クルト・マズア、アバド、パーヴォ・ヤルヴィ、ギーレン、ミュンシュ、レヴァイン、小澤征爾などの指揮者はくそみそに言われている。語るべきものを持っていない、形だけを見ている指揮者だと。チェリビダッケ、ブリュッヘン、アーノンクール、ホリガーなどは著者のお気に入り。ラトル、バーンスタインなどは微妙。カラヤンの演奏は演奏技術は凄いが、形ばかりの内容のないもので、まあ中には合う曲もあるとか。細やかなニュアンスの変化を捉え、一つの響きが次の響きをおのずと生み出していくような演奏が素晴らしいようだが。まあ、演奏家の好みは人それぞれだし、クラシックの曲に難しいものばかり求めてばかりいるわけにもいかないしね.
ジョバンニ・アントニーニのハイドンを聞いて、ああいいなと思っていたら、そういえばこの本ではジョバンニ・アントニーニのことも評価していなかったなあ。個の指揮者の演奏は、ちゃんと形ばかりでなく、ニュアンスの変化もとらえていると思うけどね。私は音楽のプロじゃないけどねえ、まあ自分の好き好きでいいんじゃない。