山下一仁のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書の著者はBSのニュース番組で知った。
番組での印象と異なり、緻密、冷静に議論を組み立てていて説得力に富む。
著者の主張(と前提)は、
・昨年からのコメ不足の原因は半世紀以上続く減反政策。単に昨夏の猛暑の影響で収量不足だった
・(台湾有事などで)シーレーンが維持できなければ穀物、飼料、燃料を輸入に依存する日本には飢餓の危険が実際問題としてある
・減反は百害あって一利なし。減反を止めれば食料自給率は改善(余剰分を輸出すれば100%超も。裏作の麦と二毛作にすればさらに効果大)、食料安保にも寄与し、国庫負担も軽減でき、米価も下がる
・同時に補助金を欧州と同じ農家への直接支払いに切り替えるべき。現行の転作支援金では米価は高止まり、国際競争力は落ち、生産高は減少するという、農政トライアングル以外の誰も得をしない
・米価を人為的に高止まりさせているのは、JA農業、農林族議員、農水省の農政トライアングル。食料安保や安価な農産物などの国民のニーズとは真逆のことをやっている
「誰も農業を知らない」(有坪民雄著)とは認識が異なる(例えば大規模農業はコスト安、農水省の悪評などを有坪は否定する)部分もあるが、日本が稲作に本腰を入れれば世界の穀物不足を救えるという点では一致している。
本書のエッセンスは第2章、第9章にまとまっており、最低限この2章だけでも読む価値がある。 -
Posted by ブクログ
日本の農業を国策として、統計データなども交えて現状を紹介している本です。2013年に出版された本なので、現在では法律を含めて変わっているかもしれません。
JAも戦後の混乱期にはある程度の機能は果たしたのかもしれませんが、今は農家のためというより、自己保身のためのような組織になっているように見受けられます。
日本は、国土の多くが山林であり、平地は少ない中で、食料の自給率はある程度は維持しないといけません。また、災害も多いという特徴もあるので、水害による農地被害も頻繁に起こっています。国策として食料維持を考え、どのような運営をすれば農家も消費者も安心、安全な環境になるのかを考えないといけないということがわかりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ<目次>
はじめに
第1章 食料とは何か?
第2章 貿易から見える世界の食料事情
第3章 真実をゆがめられた日本の農業
第4章 ”食料自給率”というまやかし
第5章 持続可能な日本の水田農業
第6章 食料危機を作る農政トライアングル
第7章 食料危機説の不都合な真実
第8章 日本が飢える~餓死者6000万人
<内容>
戦後の日本の農業のおかしさを、農林省にいた評論家が指摘した本。前半のデータを使っての分析、後半のJA批判と、なかなか面白い。「減反政策」の怪しさを感じていたクチなので、内容的にも腑に落ちた。第8章などはややオーバーな記述だが、ウクライナ紛争を見ていると、台湾海峡や尖閣、竹島問題、北朝鮮、そしてロシアと、日本もシ-レーンは安全ではないことが明確となっている。そうならば内容的にさほどオーバーではないか? -
Posted by ブクログ
都市の周縁部では、相当程度豊かな農家と、給与がある程度高い勤め人の家が混在している場合が多い。
給与がある程度高い勤め人の多くは、生涯で最も高い買い物である土地を買い求め、周縁部で暮らす。
その買い求めた土地はもともと誰のものだったのかといえば、多くは地元農家のもの。
そして、地元農家の多くは、その土地を農地解放で、濡れ手に粟で、手に入れた。
こんな不公平があっていいものだろうかと思う。
孫正義なら「正義感がむくむくと胸の中で湧き上がる」と表現するのかもしれないが、多分、私の場合は嫉妬心が原因。
日本の農業に興味を持つ理由はそんな下卑たものではあるが、この本を手に取った。
JAに関する相当強烈な批判がなされている。JA側の反論があるのなら、それも読んでみたいと思う。
あとがきに著者が書いていたが、データも充実しており説得力のある内容となっている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレメモ中心として、残す。
農家も兼業の時代だ。地域間でのやり取りは希薄になり、就農する人も高齢者ばかりの動向。それなのに、日本政府は農家へ多大な補助を行っていると主著する。
私は30歳で農家に就く。
野菜の苗や種の価格、使用する農材や農機具、農薬や肥料の価格は3割増も当たり前の中、野菜の販売価格は上昇していない。
非常に苦しいのが現実であると、私は考えている。
そのような中で補助金等を減額していくとすれば、この本の主題である窮地での飢えは本当になくなるのか?疑問である。(農業をする戸数が減るのではないか?)
・農家は豊かになったか?
農家のステレオタイプである、「貧困で苦しい」状態でないと著者は気が済まないのだろうか。
農地が減っていると怒っているが、地主に対しての話であると感じた。
今は土地を買っても利益は少ない。だから、借りる。
農家が悪だと一食単に叩く姿勢が受け入れ難い。
資本主義社会だから厳しい目線がどことなくある。
ただし、米の話になれば賛成だ。
今の農業事業者も米の価格がおかしいのは薄々気付いて来ている。
減反政策を行うことで、有事の対策が行えないことは理解できた。
JA等が有償で動いている限り、厳しいのが現実であると思う。