石原薫のレビュー一覧

  • ピクサー流 創造するちから

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    ピクサー創業メンバーエドキャットムルの頭の中を書いた本。
    抽象的なことが書かれていて小売業の主婦としては理解で書かないことも書かれていた。レベルの高い次元で組織運営をしていたことが伺える。

    日本人なら特に強い「批判すること、されること」を排除したブレイントラストはピクサーを最高の映画にした鍵となるものだろう。
    人ではなく作品を批評する。批評を受けるがその後の判断は監督の手に委ねる。作品をよくするためだけの会議だ。

    エドキャットムルさんを上司にもったピクサーの社員は本当に恵まれていると思う。
    失敗の犯人探しをしない会社なんてあるだろうか。と同時にヘボな失敗をしない優秀な社員が集まったピクサーなのだろう。

    今のピクサーはどうだろうか。
    正直昔のピクサーのようにヒット作は出していない。エドさんは今のピクサーをどう思うのか知りたくなった。私には少々読みにくかったです。

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    2026年08月29日
  • ピクサー流 創造するちから

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    ピクサーというクリエイティブに溢れた会社の歴史を知ることは面白い。偉大な創業者がいなくなってから傾く会社はあるが、それを見越して常に先手先手でピクサーの文化や創造性を紡いでいく方法を考えていたのが素晴らしい。

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    2026年08月24日
  • ピクサー流 創造するちから

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    この書籍には2つの物語がある。一つはピクサーが如何に創造的組織であるように仕組みができているか、もう一つはピクサーを支えたスティーブ・ジョブズという人物について巷での描写と違った側面を紹介する。
    ジョブズの話は面白いが、それを読みたいと思うかどうかによる。この書籍の1番の価値は、前者のピクサーで工夫されている独創性と洗練を作り上げる組織的な取り組みだろう。

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    2026年06月02日
  • ピクサー流 創造するちから

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    冗談抜きで、今まで読んだ本の中で一番。世界一のクリエイティビティを誇るPIXARの「創造力の源泉」と「挑戦と失敗、修正の歴史」をマネジメント観点から懇切丁寧に書き示してくれている。度々テレビでピクサースタジオの内部は取り上げられているが、その自由で活気に満ち溢れる場所が、個人の才能ではなく、経営陣の積み上げてきた「環境作り」に由来してしているのだとわかった点が良かった。特に「ブレイントラスト会議」や「ノーツデイ」の章では、経営陣が全社員と真摯に向き合う姿に涙が出た。自分の仕事の手本にしていきたい。

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    2026年04月18日
  • ピクサー流 創造するちから

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    すばらしい組織運営のビジネス書だと思う、でもそれ以上にジョブズへの愛やピクサーやアニメーションへの愛の本とも読める、愛を語る本であった。愛とそこに向けた情熱、そして行動を示している。自分ではなくピクサーが何年も素晴らしいアニメーションの作品を作れる会社になるように尽力している、こんな人が上司、社長であれば楽しい仕事になるのだろう。
    業界や仕事内容が違うが、表側の部門で無い管理部門に対しても敬意を示しており、またその部門もクリエイティブであるような仕組みづくりを意識していた。私も、少しでもそのような環境を作れるように努力し続けなければとも思う。自分ができる範囲で少しでもよくできるところがあればやっていこう

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    2026年02月19日
  • ピクサー流 創造するちから

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    ネタバレ

    キャリアのバイブルにしたいと思うほど、マネジメント、リーダーの立場としてめちゃくちゃ参考になる最高の本だと思った。

    具体例が多いので伝えたい核となる部分も伝わりやすく、読んでいる時は思い当たる節がありすぎてギクっとなる瞬間も多々(笑)

    正月のダルダル休みに真面目に仕事のことを考えてしまうのはなんか嫌だが、来年度の来る管理職への昇進に向けても心に留めておくべきことがたくさん見つかったいい機会だった。

    ↓以下特に胸に留めておきたい記述

    リーダーの仕事はその理由を見つけて対処することだ。マネジメントの仕事は、リスクを防止することではなく、立ち直る力を育てること

    この手のことは、他の企業にも嫌というほど見られる。効率化や増産が究極の目標に取って代わり、それを社員が正しいと思い込めば会社は破綻する。作業フローの効率化や統一化の力と、それに対抗する力が拮抗していなければ、新しいアイデア、つまりわれらが醜い赤ん坊は、十分に注意を向けられることも守られることもなく、結果的に成長し輝くことができない。捨てられるか、そもそも発想すら生まれないだろう。とにかく売り物になりそうな、過去の経験から儲かることが読める安全な商品に重きが置かれるようになる(たとえば二〇〇四年、『ライオン・キング2シンバズ・プライド』の六年後に発売されたオリジナルビデオ『ライオン・キング3ハクナ・マタタ」)。このような考え方では、想定内の独創性のない作品しか生まれない。真のインスピレーションを生む有機的な発酵が起こらないからだ。ただし、野獣の餌にはなる。
    (↑モンスターズインクが当初想定していたよりも大幅に超える制作時間がかかったが、結果として史上最大規模の成功を収めたことに対しての振り返り)

    幸運の存在は、我々の仕事に繰り返しが効かないことも思い出させてくれる。変化は避けようがないのだとしたら。変化を止めて自分を守ろうとするか、変化を受け入れてそれを訪めに変えるかのとちらかだ。言うまでもないが、私は変化に対応することこそが創造性だと思っている
    (安定や既存のモデルチェンジ程度では圧倒的な創造を生み出せない、ことについての話)

    疲れたプロテターサーも、優れたマネジャーも、上から命令しない。話しかけ、耳を貸し、反過し、おたてて丸め込む。彼らの仕事のメンタルモデルにそれが反映されている。ピクサーのプロデューサー、キャサリン・サラフィアンは、臨床心理士のタイビ・ケーラーのおかげで、自分の役割をうまく可視化できたという。「ケーラーの偉大な教えの一つは、人と会うときは、相手のいる場所で会う、というものです」と、ケーラーの「プロセス・コミュニケーション・モデル」について話してくれた。このモデルでは、マネジャーを「大きな建物の中をエレベーターで移動すること」にたとえている。「個人個人を、マンションの住人として見ると腑に落ちるんです」とキャサリンは言う。「それぞれが別の階に住んで、それぞれの景色を楽しんでいます」。上層階の人はバルコニーに椅子を出すかもしれないし、一階の人は専用庭で過ごすかもしれない。すべての人と効果的にコミュニケーションをとるには、相手が住んでいるところで会う必要がある。
    「監督、プロデューサー、制作スタッフ、アーティスト、誰であれ、そのときに必要としていることや、どのようなコミュニケーションを望んでいるかによって、エレベーターを使って好きな階の好きな相手に会いにいくことができる人が、ピクサーの中で最も優秀なスタッフなんです。

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    2026年01月04日
  • ピクサー流 創造するちから

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    これは読んでからかなり時間が経ってしまっているからもう一度読みたい。
    とにかく素晴らしい作品だったと記憶している。

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    2025年10月01日
  • ピクサー流 創造するちから

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    あまりにも組織としてのものづくりにおける芯をとらえ過ぎていて本当に感動する。
    クリエイティブな組織を作りそれを守っていくためには凄まじい覚悟と忍耐が必要。

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    2025年02月24日
  • 歴史を旅する世界地図図鑑 最古の地図から20世紀のプロパガンダ地図まで、地図製作者の仕事と時代の思想を読み解く

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    世界最古の地図から始まる、様々な地図と世界の歴史との関係を
    鮮やかなカラー図版と共に紹介し、解説する。
    ・はじめに
    第1章 地図製作の夜明け 第2章 オランダ黄金時代
    第3章 フランス実証主義の地図学的想像力
    第4章 植民地主義の地図製作 第5章 東洋の視点
    第6章 地図と科学 第7章 風変わりな地図 説得型の地図
    第8章 19世紀 第9章 存在した世界、存在しなかった世界

    古代帝政ローマ期のポイティンガー地図に始まり、
    中世のヘレフォード図、プトレマイオスの地図、
    メルカトル図法等、地図は歴史の変遷の中で変化していった。
    その国の有り様、移動手段、新たなる地を求めての冒険、
    文化的、宗教的、更に経済と軍事のイデオロギーを含め、
    様々な地図が製作された。科学の分野では自分の主張を
    表現するために推測を取り入れた地図もあれど、
    世界の山や川の比較や等温線図、海洋図なども製作されてゆく。
    プロパガンダの説得型の地図は、風変わりで強烈。
    19世紀の印刷技術の向上とグローバル化で、
    装飾的で色鮮やかな地図が登場する。しかもコンパクト。
    また、天球図やユートピア、世界創造と、
    おとぎの国のパノラマビューなど、空想力豊かな地図も作られる。
    そんな歴史に現れた多様な地図の紹介の中で、
    それらの地図製作者にも視点を向けたのが、興味深かったです。
    彼らの、地図製作のための貪欲な知識の追求が垣間見えます。
    また、日本の仏教地図、江戸時代の世界地図、
    明治時代の世界一周すごろくなど、中国・日本・朝鮮の地図が
    紹介されていたのも、良い。伊能忠敬も文中に言及されていたし。
    これら様々な地図の中に、日本が登場し、歴史の変遷の中で
    形が変化してゆくのを探して見るのも、面白かったです。

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    2024年08月14日
  • ピクサー流 創造するちから

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    ピクサーの理念や創造的な仕事をする上で大事なマネジメント、バランスの大切さを学んだ。
    適切な環境、人材がいてこその優れたアイデアなんだと学んだ。どんな作品も始めは駄作といった言葉が印象に残った。その駄作を試行錯誤を繰り返して納得のいくものに作り変える根気と発想力、協力する力を身につけたい。

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    2023年03月12日
  • プロダクトデザイン 101のアイデア

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    プロダクトデザインを簡潔かつポイントを押さえて伝えてくれていると共に、それを本で体現しているのがとても凄いと思いました。
    短時間で読めるのに得られるものが大きいので、時間対効果もいいです。

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    2023年02月13日
  • ピクサー流 創造するちから

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     ピクサーを特別足らしめているもの、それは「問題は必ず起こる」と思って仕事をしていることだ。問題の多くは隠れて見えない。それを明るみに出すことが自分たちにとってどれほど不快なことであっても、その努力をする。そして、問題にぶち当たったときは、全社全精力を挙げてその解決にあたる。盛大なイベントでも、砲塔のある仕事場でもなく、それがあるから私は毎朝会社に来たいと思う。私にやりがいと、明確な使命感を与えているのはそれなのだ。

     …問題について考え、対処するのは、爽快でやりがいのある仕事だった。我々の目的は、ただヒット作品を生み出すスタジオをつくるのではなく、問いかけを続ける創造的な企業文化を育てることにある。

     …映画をつくり続ける中で、私がそれまでピクサーが成功してきた理由だと思っていたことの中に、後で勘違いだとわかったことがいくつかあったが、まちがいようのないことが一つあった。それは、持続する創造的な企業文化を築く方法をみつけること―率直さ、卓越さ、コミュニケーション、独自性、自己評価といったものが重要だと口先で言うのではなく、それがどれほど不快な思いを伴っても、それを有言実行すること―は、片手間ではできない。日々努力のいるフルタイムの仕事だ。そしてそれを私はやりたいと思った。

     …いいアイデアよりも、適切な人材と適切な化学反応を得ることのほうが重要なのだ。

     このころ、ジョンが新しいフレーズを考えついた。「品質は、最良のビジネスプランである」。品質は、行動の結果ではなく、どう行動するかを決める前提条件であり心の持ちようだと彼は言う。品質が大事だと誰もが言うが、言う前に実行すべきだ。品質は日常の一部であり、考え方であり、生き方であるべきだ。最高品質の映画しかつくりたくないと社員が訴えたとき、そしてその理想に対する覚悟を証明するために限界に挑んだ時、ピクサーのアイデンティティは定まった。この会社は決して妥協しない。失敗をしないという意味ではない。創造に失敗はつきものだ。だが失敗したときには、自己弁護せずに向き合い、変化を厭わない。『トイ・ストーリー2』の制作での苦労を通して、内なる目が芽生えた。自分を批判的に見つめ直し、自己認識を改めるきっかけになった。この瞬間がピクサーを決定づけたと言ったが、私はそれを動的な意味で言っている。内省の必要性と実践はこのとき始まったばかりだった。

     アンドリューが言うように、「それが批評と建設的な批評の違いです。後者の場合、批評すると同時に建設している。壊しながら建てている。たった今バラバラにしたピースを使って新しいピースを生み出している。それ自体が一つの技でしょう。どんな指摘をするにしても、相手を考えさせることが大事だとつねに思っています。『あの子に宿題をやり直したくさせるにはどうしたらいいか』というふうに。だから学校の先生と同じことをします。問題点を言い方を換えながら五十回指摘すると、そのうちのどれかが響いて相手の目がぱっと開く。『ああ、それならやりたい』って思ってくれるんです。『このシーンの脚本がイマイチ』と言う代わりに、『見終わった観客にあのセリフよかったよねって言ってもらいたくない?』と言う。挑発ですね。『これがやりたいんじゃない?やってよ!』って」

     …まちがいは、新しいことを試みたすえの当然の結果だ(だからその価値が認められるべきだ。それなくして独創性はない)。けれども、失敗を受け入れることが学習において重要だといくら言っても、それを認識するだけでは不十分なこともわかっている。なぜなら失敗は苦痛を伴い、それが失敗の価値を理解する妨げとなっているからだ。失敗のいい点と悪い点を分けて考えるためには、苦痛という現実と、その結果として得られる成長というメリットを両方を認識する必要がある。

     …一般的に言って、やり方を考えることにエネルギーを注ぎ、行動に移すのは早すぎると言っている人は、何も考えずにどんどん進める人と同じくらいの頻度で失敗している。計画が入念すぎる人は、失敗するまでに人より時間がかかる(そしてつまづいたとき、失敗したという感情に押し潰されやすい)。これも当然の結果だ。時間をかけて考えたぶんだけ、そのやり方に対する思い入れが強くなる。それがぬかるみの轍のように頭の中で凝り固まる。そこから抜け出せなくなり、一番やらなくてはいけない「方向転換」が困難になる。

     要は、マネジャーが部下と腹を割って話せるかどうかだ。秘密主義で部下に何でも隠し、かえって失敗しているマネジャーは多い。それはまちがいだ。マネジャーの基本モードは、秘密主義ではいけないと思う。秘密主義のコストとリスクを比較してほしい。秘密主義に走るのは、相手に信用できないと言っているのと同じ。率直に話をすることで、相手の信用していること、何も恐れる必要がないことが相手に伝わる。部下を信頼して大事な話をすると、相手はその情報に対して当事者意識を持つ。そのため、打ち明けられた情報を人に漏らす可能性も低い。私はそれを何度も見てきた。

     独創性はもろい。…本当に醜く、ぎこちなく、いびつで、攻撃されやすく、不完全だ。時間をかけて辛抱強く育てなければ、一人前にはなれない。それはどういうことかというと、野獣との共存は難しい、ということだ。

     「見えないものを解き明かし、その本質を理解しようとしない人は、リーダーとして失格である。」

    ■マネジメントについての私の見方
    ①人の知覚は自らのメンタルモデルによって歪められ、目の前にあるものを正しく認識することができない
    ②人間の認識において、外から入ってきた新しい情報と、確立された既存のメンタルモデルの間に境目はなく、両方を一つの経験として認識している
    ③自らの個人的な解釈に無意識に囚われていると、頑なになり、目下の問題に対処する能力が低下する
    ④仕事や生活をともにしている人のメンタルモデルは、互いの近さや過去の共有により、互いに深く(ときに絶望的なほど)絡み合っている

    ■ピクサーが集合的な思考の意識変換を図るために使用しているメカニズム
    ①全員で問題解決
    ②現地調査でつかむ本物感
    ③制約の力
    ④テクノロジーとアートの融合
    ⑤短編で実験する
    ⑥観察力を養う
    ⑦反省会
    ⑧学び続ける(ピクサー・ユニバーシティ)

    ■反省会をやる理由
    ①学んだ教訓を集約する
    ②水平展開する
    ③わだかまりを残さない
    ④反省会の「予定」が反省を促す
    ⑤次につなげる

    ■反省会を最大限活用するためのテクニック
    ①やり方を変えながら実施する
    ②どれほど促しても、出席者はあからさまな批評をしたがらない、ということを忘れてはならない
    ③データを活用する

     過去や未来に関する自分の思いや考え方に邪魔されることなく、この瞬間に注意を向けることが重要だ。なぜかと言うと、それによって人の意見の入る余地ができるからだ。人の意見を信頼できるようになり、さらに重要なことに、それが聞けるようになる。新しいことを試みたいと思うようになり、失敗する可能性のあることでも安心して試せるようになる。自らの意識に働きかけ、注意を向けることがいっそう注意力を高めるような自己増殖循環を生み出す。創造的に前進するためには何かを手放さなくてはならないことに気づかせてくれる。




    ・よいアイデアを凡庸なチームに与えればそのアイデアを台無しにし、凡庸なアイデアを優秀なチームに与えれば、それをテコ入れするかもっといいアイデアを返してくれる。よいチームをつくればよいアイデアに恵まれる。
    ・人を採用するときには、そのときの能力レベルよりも、これからの伸び代を重視すべきである。今できることより、将来できるようになることのほうが重要である。
    ・つねに自分より優秀な人を採用するよう心がける。それが脅威に感じられる場合でも、つねによりよいほうに賭けること。
    ・組織の中に、アイデアを自由に提案できないと感じている人がいたら、それは損失だ。 予想外のソースからのアイデアを軽視すべきではない。 インスピレーションは誰にでもある。
    ・他人のアイデアを受け入れるだけでは不十分。能動的かつ継続的に社員の集団的知力を動員すること。 マネジャーとして、スタッフからアイデアを引き出し、定期的な貢献を促すこと。
    ・職場で社員が率直に意見を交わさないのには多くの理由がある。その理由を見つけて対処するのはマネジャーの仕事である。
    ・同様に、自分に同意しない人は、理由があってそうしている。マネジャーはまずその結論の元にある理由を理解しなければならない。
    ・さらに、組織の中に不安や恐れが生じている場合、それにも理由がある。マネジャーは、①その原因を突き止め、②理解し、③その根絶に努めなければならない。
    ・他の視点を遮断したいなら、自分が正しいと確信することほど効果的なことはない。
    ・一般的に、人は波風を立てるようなことを言いたがらない。 自分の考えを言ってもいいということを強調するためにプレイントラスト会議、デイリーズ、反省会、ノーツ・デイなどがある。これらはすべて真実を明るみに出すための自己評価のメカニズムである。
    ・会議室より廊下で真実が語られているとしたら、会社として問題がある。
    ・人より後に部下から問題の報告を受けたり、会議で初めて問題を知らされたりすることをけしからんと思うマネジャーが多いときには、対処が必要である。
    ・問題を小さく見せようとして慎重に発した「メッセージ」を、社員はマネジャーに嘘をつかれ、裏切られ、無視されたと受け止める。問題を分かち合うことで社員に当事者意識や事業全体に対する責任感が生まれる。
    ・成功や失敗から最初に導き出す結論はまちがっている。プロセスを評価せずに成果を正しく測定することはできない。
    ・ミスを防げば、ミスに対処する必要がなくなるという幻想に陥ってはならない。実際には、ミスを防ぐためのコストのほうが、ミスに対処するコストよりはるかに高くつく場合が多い。
    ・変化と不確実性は、人生につきものだ。それらを組むのではなく、予想外の出来事が起こったときに回復できる力を養うことが必要である。つねに目に見えない問題を明るみに出し、その本質を理解する努力をしなければリーダーの資格はない。
    ・同様に、リスクを回避することはマネジャーの仕事ではない。リスクを冒しても大丈夫なようにすることがマネジャーの仕事である。
    ・失敗は必ずしも悪いことではない。むしろ、まったく悪いことではない。 新しいことをするときに必要な成り行きである。
    ・信頼とは、相手が失敗しないことを信じるのではなく、相手が失敗しても信じることである。
    ・計画実行の最終的な責任を持つ社員には、問題が起こったときに承認を得なくても問題に対処できる権限を与えなければならない。問題を見つけて対処するのは全社員の仕事である。誰もが生産ラインを止められるべきである。
    ・物事を何でもスムーズに運ぼうとするのは、まちがった目標である。それは社員を問題解決能力ではなく、失敗に基づいて評価することにつながる。
    ・人に見せる前に完璧にしようとしないこと。早くに人に見せること。途中段階は見られたものではないが、だんだん見られるようになる。 そうあるべきだ。
    ・会社の意思伝達構造は、組織構造を反映したものであってはならない。誰でも好きな相手と話せるべきである。
    ・規則をつくりすぎないこと。規則はマネジャーの仕事を楽にするかもしれないが、問題を起こさない九五%の社員にとっては屈辱的だ。五%の社員をコントロールする目的でつくってはならない。常識の乱用には個別に対処する仕事は大変になるが、そのほうが結局のところより健全である。
    ・限界を課すことで創意工夫が促進される場合がある。卓越性は厄介な状況や、理不尽とも思える状況から生まれることがある。
    ・並外れて困難な問題に取り組むことで、新しい考え方が生まれる。
    ・組織は、それを構成する個人よりも、集団として保守的であり変化を嫌う。基本合意だけで変化が起こることを期待してはならない。 メンバーが揃っていても、グループを動かすには、それなりのエネルギーが必要だ。
    ・各部門のアジェンダは違えど、相互依存の目標を持つ部門によって構成される組織が健全な組織である。一つのアジェンダが勝れば、組織はだめになる。
    ・「すばらしいアイデアが生まれるためには、すばらしくない段階が必要」なことを理解しない人から新しいアイデアを守ることが、創造的な環境におけるマネジャーの仕事である。 過去ではなく、未来を守ること。
    ・新しい危機の訪れを必ずしも嘆く必要はない。 会社の真価を試し、実証するからだ。問題解決のプロセスは社員を結束させ、組織文化を維持させる。
    ・「卓越性」「品質」「優秀」は、自ら言う言葉ではなく、他者から言われるべき言葉である。
    ・まちがっても安定を目標にしてはならない。 安定よりもバランスのほうが重要である。
    ・プロセスと目標を混同してはならない。 プロセスをよりよく、より簡単に、より効率的にする努力は不可欠で、継続しなければならないが、それは目標ではない。すばらしい商品をつくることこそが目標である。

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    2021年11月21日
  • 最強の営業法則

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    営業をしている人におすすめの一冊
    世界No.1のセールスマンとしてギネス記録保持者のシボレーの営業マン、ジョー・ジラード氏による営業マンとしてやるべきことが実体験に基づき書されている。

    使えるテクニックや魔法の言葉ではなく、誰にでもできる細かい積み重ねが大切だと教えてくれ、楽なことはやはりないんだなと気付かせてくれる。

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    2021年05月17日
  • ピクサー流 創造するちから

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    ネタバレ

    これまでに少なくとも70冊以上のビジネス書を読みましたが、この本が一番僕にはしっくり来ました♪世の中には、医師やパイロットと言った定型業務をミス無く遂行する事が要求される仕事や管理系業務をされている人も居るので、全ての人に対してBestな本かと言われるとそうでは無い気もしますが、少なくともクリエイティブさを要求される仕事をしている人は必見!!

    ジャンルで言えばビジネス書ですが、ジョブズやルーカスを始め、ググったらすぐ名前が出てくるような人たちの発言が出てきますし、様々なピクサー作品&ディズニー作品の誕生秘話も出てくるので、ドキュメンタリー小説(多分ですが文章の清書はエイミー・ワラスさんというジャーナリストさんが行ったと思われます)としても楽しめる作品だと思います♪

    耳障りの良い言葉を並べて分かったつもりになってしまうのが一番良くないと本著で主張されているのでとにかくまずは読んでみて欲しいですが、「あらゆるものは変化する」という事を常に意識すると共に、変わらないものに対する感謝の気持ちを忘れないようにしていきたいと思いました☆

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    2021年03月13日
  • 知られざる競争優位

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    内部監査協会のフェアでちいと安くゲットした、卒論に毛が生えた感じのネスレ研究本から期せずして始まった?ネスレの旅も、これが終着か。

    ブラベックという面白い人物に会うことができた。
    ネスレ日本の高岡さんの本も思ったより楽しめた。

    そういう意味で、出会いは何がどこにどうつながるかわからんということ。

    読み始めから引き込まれ、試験に期末繁忙シーズン、レース準備と慌しすぎるときに、読んでしまいました。
    この人はどんな人なんだろうと人物を想像しながら読んでたら、真ん中くらいに結構なカラー写真ページがありました。
    この部分に読み進めるまでまったく気づかず。。。

    ・p75〜 マネジメント及びリーダーシップの基本原則
     水平思考、変化を受け入れる柔軟性、幅広い興味、一般教養、学習能力などなど
    ・価値観や信念の異なる人がいてもかまわない。ネスレでは働けないだけ。基本的な価値観があって初めて信頼関係が生まれる。
    ・かつての企業における教育や考え方は階層構造を強く反映
     例:課題は与えるが、権限は与えない。自発性より従順、成果よりもこなした仕事の量、情報の自由な流通やプラズマ構造ではなく、ピラミッド型組織の垂直の昇進構造
    ・ベンチマーキングよりも他社とのギャップを創造せよ
    ・定性的なアプローチを取るリーダーシップスタイルや人事方針(目に見えないものが重要)
    ・SDGs的な取り組みに対して(グローバルコンパクトか)、全社的な監査の仕組みを導入(2005年から)。これ、ぜひ内容知りたい。誰か研究してる人いないかな。。。

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    2020年12月24日
  • ピクサー流 創造するちから

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    時々出てくるスティーブ・ジョブズの話が強烈で面白い。

    ピクサーは技術者集団かと思っていたが、それが覆された。
    技術以外の情熱や人々との交わりとアナログなものを重視しそれがピクサーの価値となっていることがわかる興味深い話だった。

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    2020年10月19日
  • 最強の営業法則

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    自動車販売台数世界一の営業マンとしてギネスブックに載った、ジョー・ジラードによる営業自己啓発書。

    近年、巷では様々な営業に関する本が売っており、色々な営業手法・ノウハウを示しているが、この本はもっと根本的なところ、例えば営業としてのマインドセット、お客様への圧倒的な配慮・気遣い・気働き、商品を売る前の顧客の情報集めなど下準備から販売後のアフターサービスの方々までありとあらゆる営業法則を示している。営業という仕事に初めて携わる人にぜひ読んで欲しい本である。

    この本を読んで、私は営業として顧客に対して配慮や気遣いが足りておらず、自身の営業力・人柄ではなく商品そのものの魅力に頼って営業していたことを実感した。もちろん、商品そのものにあまり価値がなく、売ろうにも売れないということはあるかもしれないが、どんな商品でも営業の仕方によって販売に繋げることができるということを知った。「この商品を買いたい!」ではなく「〜さんが信頼できるから、〜さんから商品を買いたい!」と言わせるような客への配慮や信用のできる人間にならなければと思った。

    以下に印象深かった言葉をまとめる。

    ・営業とは「終わりのない継続的プロセス」
    ・何かを欲しいと強く思うこと。強い欲求を持つ。
    ・第一に自分の欲求を知ること。第二に成功させればその欲求が手に入ると認識すること。

    ・店に入ってくるときの客は少し恐怖を感じている。営業とは顧客が初めに持っている恐怖に打ち勝ち、勝利を手に入れる(商品を売る)仕事

    ・ジラードの250の法則
    ・お客様にどんな態度を示し、どう接するか
    ・一人の客に嫌われることは、後250人の客に嫌われること

    ・とにかく肝心なのはなんでも良いからやること。

    ・営業はスパイゲーム。誰かに何かを売ろうと思ったら、その人に関して役に立つと思われるあらゆる情報を収集すること。

    ・どんな時でも営業を忘れない。自分を売り込む。

    ・販売ツールをフル活用して見込み客を見つける

    ・自分の名前を出来るだけ見込み客の目に触れさせること

    ・第一に自分自身や自分の行動は自分でコントロールしなければならない。第二に何をすべきか判断してその通りに動けばビジネスは自ずとついてくる。

    ・商品だけでなく私目当てで来客する客を増やす。

    ・一旦客を前にしたら、最も効果的なのは「客にさせる」のではなく、「客のしたいようにさせる」こと。

    ・営業マンは出来るだけ自分が売っている相手と同じような身なりをするべき。

    元々の本はかなり古い本で現代の営業や状況では食い違う部分や現実に合っていない部分もあるかもしれないが、この本は営業という仕事について大切なことを教えてくれる素敵な本である。

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    2020年06月17日
  • 最強の営業法則

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    営業とはゲームであり、そのゲームをいかに攻略するか?ジョー・ジラードはシボレーの自動車を販売している営業マンであり、その経験を通して得たゲームの攻略方法が書かれている。彼の営業方法で解説されているのは自動車販売を例にしているが、自動車以外にも通用する内容だと感じた。どのようにしてビジネスチャンスの種を撒き、それを回収するか、物を売る時に価値を付けるのはその物ではなく"自分自身"に価値を付ける、人と人との繋がりが営業にもたらす影響、などの内容をまとめた彼なりの法則を営業するにあたって良き参考になり、大切な心構えを教えてくれる一冊だった。

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    2020年04月20日
  • ピクサー流 創造するちから

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    ピクサーの本でもあるし、クリエイティビティの本でもあるが、何より組織文化醸成、組織強化の本である。自分が読んだ中でも最高の部類に入る本。座右の書の一冊に加えさせていただきます。

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    2020年02月02日
  • ピクサー流 創造するちから

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    ネタバレ

     この作品の最も根本的な問題は、ジョンが最初にチームを呼び集めたときに言った、脱出冒険物語なのに先が読めて、さほど感情に訴えないという点にあった。『トイ・ストーリー』の出来事からおよそ三年後を舞台とする物語は、ウッディがはたして収集家のアルの言いなりになってちやほやされる(が、遊んでもらえない)「収集品」として生きるのか逃げ出すのかを中心に描かれている。持ち主だったアンディの元へ帰るチャンスをつかむために戦うのか戦わないのか。映画として成立するには、いつかは成長し自分を捨ててしまうアンディのいる世界に戻るのか、安全だが愛してくれる人のいない場所にとどまるのか、というウッディの迷いを、観る人が本当のことのように思えなければならない。だが、観ている人は、ピクサーとディズニーの映画だからハッピーエンドで終わる、つまりウッディはアンディと再会を果たすために帰っていくに違いないと思っている。必要なのは、ウッディが本当にジレンマに陥ってると思わせることだ。それには観る人が共感できるジレンマでなければならない。言葉を換えれば、ドラマが必要なのだ。
     物語のオープニング、ウッディがアンディとカウボーイ・キャンプに出かけようとするが、腕がちぎれてしまい、置いていかれる(アンディの母親の棚にしまわれる)のは原案どおりだが、ブレイントラストは、この時点で最初の重要な変更を二つ加えている。ペンギンのウィージーというキャラクターを登場させ、自分は鳴き声が出なくなってからずっと棚に置かれっぱなしだ、とウッディに告げる。どれほど気に入られたおもちゃでも、壊れてしまえば棚にしまわれ、相手にされず、ともすれば永遠に放っておかれる運命にあることを導入部でインプットするためだ。こうしてウィージーは物語の感情的な伏線を成立させている。
     ブレイントラストが行った二つ目の根本的な手直しは、カウガール人形のジェシーの物語を補強することだった。ジェシーは自分の持ち主の女の子が大好きだったが、女の子が成長すると、ほかのおもちゃとともに相手にされなくなってしまう。自分がどれほど望んでも、大切に思っても、アンディもいつかは子どもじみたものを手放す日が来る、という。ジェシーからウッディへのメッセージは、サラ・マクラクランの歌う「ホエン・シー・ラヴド・ミー」をバックにモンタージュ(複数のカットを組み合わせて映像に意味を持たせる構成法)シークエンスを使って悲痛な調子で語られることになった。ジェシーは、ウィージーが切り出したテーマを取り上げ、黙示的だったテーマをウッディとのマセた会話を通してオープンにするわけだ。
     ウィージーとジェシーが加わったことで、ウッディの選択は、より複雑なものになった。いつかは捨てられるとわかっていながら大好きな人のそばにいることもできるし、本来の愛のかたちではないがいつまでもちやほやされる世界に逃げることもできる。それは究極の選択であり、本質的な問いだ。クリエイティブチーム内ではこういう言い方をしていた。「あなたは永遠の人生と愛、どちらを選びますか」。その選択が持つ葛藤を感じることができて初めて、映画だと呼べるのだ。

     取っ手と本体が数本の糸でかろうじてつながっている古くて重いスーツケースがある。その取っ手は、一見、的を射た奥深い言葉のように思える「プロセスを信じよ」か「物語が一番偉い」を表し、スーツケースは、このフレーズに飲み込まれてしまったあらゆるもの――経験、深遠なる知恵、努力の末に得られる真実――を表している。我々は取っ手だけを持って、スーツケースがないことに気づかないまま立ち去ってしまっている。それだけでなく、置いてきたもののことを考えもしない。要はスーツケースより取っ手のほうが何倍も持ち歩きやすいのだ。
     一度スーツケースと取っ手の問題を知ると、それがやたらと目につくようになるだろう。人は格言や逸話が好きだが、実際の行動や意味をそれにすり替えているに過ぎない。広告は、商品の価値を伝える言葉を価値そのものの代わりに使用する。企業はよく、一流品しかつくらないという意味で、「卓越性を追求する」という。「品質」や「卓越性」といった言葉は使い古されてほとんど意味をなさない。マネジャーは、本や雑誌をあさって知識を得ようとするが、新しい用語を覚え、それで目標に近づいたと満足している。誰かが言った心に響くフレーズは拡散し、元の意味から離れて一人歩きし始める。

     初めて参加するブレイントラスト会議。熟練の優秀なメンバーが部屋を埋め尽くしている。先ほど上映された映像について議論するためだ。この状況で、発言に慎重になる理由はいくらでもあるだろう。礼を失したくない。相手の意見を尊重し、できれば従いたい、恥をかきたくない。知ったような口をききたくない。自分が発言するときには、どんなに自信のある人でも、一度チェックするだろう。これはいいアイデアだろうか、それともくだらないアイデアだろうか。ばかなアイデアは何回までなら言っても許されるのだろうか。その主人公は現実味がないとか、第二幕がわかりにくいとか、監督に言ってもいいのだろうか。思ってもいないことを言ったり、何も言わずに済ませたいわけではない。この段階では、率直さなどそっちのけで、ばかだと思われないためにはどうするかしか考えていない。
     もっとも厄介なのは、そういう葛藤と戦っているのは一人ではなく、皆がそうだということだ。社会的に自分より上の立場の人には本音が言いにくい。さらに、人が大勢いるほど、失敗できないプレッシャーがかかる。強くて自信のある人は、無意識にネガティブなフィードバックや批評を受けつけないオーラを放ち、周囲を威圧することがある。成否が問われる局面で、自分のつくり上げたものが理解されていないと感じた監督は、それまでのすべての努力が攻撃され、危険にさらされていると感じる。そして脳内が過熱状態になり、言外の意味まで読み取ろうとし、築き上げてきたものを脅威から守ろうと必死になる。それほどのものがかかっているとき、真に忌憚のない議論を期待するのはとうてい無理だ。
     それでも、ピクサーの創業プロセスにとって、率直さほど重要なものはない。それは、どの映画も、つくり始めは目も当てられないほどの「駄作」だからだ。乱暴な言い方だが、私はよくそう言っている。オブラートに包んだら、初期段階の作品が実際にいかにひどいかが伝わらない。謙遜で言っているのではない。ピクサー映画は最初はつまらない。それを面白くする、つまり「駄作を駄作でなくする」のがブレイントラストの仕事だ。

     作品の問題点を特定するのは比較的簡単だが、その要因を探るのはきわめて難しい。物語の不可解な展開や、現実味のない主人公の心変わりなどは、物語のどこか別のところに潜む些細な問題による場合が多い。この状況は、扁平足が原因だと気づかずに、膝の痛みを訴える患者にたとえるとわかりやすい。もし膝を手術したら、痛みは和らぐどころか悪化してしまう。痛みを和らげるには、根本原因を見つけて対処する必要がある。したがって、ブレイントラストの指摘は、特定の治療法を要求するものではなく、問題の本当の原因を浮かび上がらせるためにある。

     アンドリューが言うように、「それが批評と建設的な批評の違いです。後者の場合、批評すると同時に建設している。壊しながら建てている。たった今バラバラにしたピースを使って新しいピースを生み出している。それ自体が一つの技でしょう。どんな指摘をするにしても、相手を考えさせることが大事だとつねに思っています。『あの子に課題をやり直したくさせるにはどうしたらいいか』というふうに、だから学校の先生と同じことをします。問題点を言い方を換えながら五0回くらい指摘すると、そのうちのどれかが響いて相手の目がぱっと開く。『ああ、それやりたい』って思ってくれるんです。『このシーンの脚本がイマイチ』と言う代わりに、『見終わった観客にあのセリフよかったよねって言ってもらいたくない?』と言う。挑発ですね。『これがやりたいんじゃない? やってよ!』って」

     私がここで説明しようとしている試行錯誤の原則は、科学の分野では昔から重要だとされてきた。科学者は、疑問が浮かぶと、仮説を立て、実験し、分析して結論を出す。それをまた最初から繰り返す。その背後にある論法は単純だ。実験は事実の解明が目的であり、それが科学者の理解を少しずつ深める。つまり、だめな結果は一つもない。どんな結果も新しい情報を生み出すからだ。実験によって最初に立てた仮説が間違っていたことがわかったのなら、早くわかってよかったのだ。手に入れた新事実を基に、次の疑問に取り組めばいい。

     集まったメンバーで、なぜまちがった選択をしてきたのか、仮説を立て検証した。監督候補を選ぶ際にこれまで見落としてきた、今後注意してみるべき重要な資質があるか、それ以上に、新人監督に、その心折れる仕事に立ち向かえるだけの十分な教育をしてあげていたか。「監督に失敗はさせない」と言いながら、何度失敗を許してきたか。
     創業当初の映画の監督、つまりジョン、アンドリュー、ピートが皆、きちんとした訓練を受けずに監督になっていたことを当たり前のように思っていたが、それが特別なことだったのだと思えるようになった、ということも話し合った。アンドリューやピートやリーが何年間もジョンのすぐ隣で彼の教えーー決断から必要なことなどーーを吸収したこと、ジョンが相手と一緒になってアイデアを導き出すやり方についても話し合った。初めてジョンの後を継いでピクサーの監督になったアンドリューやピートは、その過程で苦労はしたものの、結果的に大成功を収めた。ほかの監督たちにも同じことを期待してきたが、会社が大きくなるにつれ、新人監督たちがそのようないい経験に恵まれる機会がなかったことは、事実として受け止めざるを得ない。
     それから将来に目を向けてみた。監督として有望だと思われる人それぞれの強みと弱点を挙げ、彼らを育て、経験を積ませ、支援するための具体的な計画を立てた。失敗の後だったが、前に進むだけの安全な選択はしたくなかった。クリエイティブとして、リーダーとして、必要なリスクを冒さなければ自分たちらしくないという思いがあり、そのためには、時に従来の映画監督像に当てはまらない人にも鍵を渡さなければいけない。それでも、今までとは違う選択をする以上は、映画をつくるために必要な能力を備えていると見込んだ社員を教育するための明確なステップづくりが必要だということに全員が合意した。
     そして、ベテラン勢が共有する経験値を監督の卵たちが自然に吸収するのをただ待つのではなく、ピートやアンドリューが、ジョンにぴったりくっついて仕事を覚えたようなことを再現できるような、正式な師弟教育プログラムをつくろうと決めた。今後、実績のある監督は全員、毎週、自分の担当スタッフの様子をチェックし、将来の長編作品になるかもしれないアイデアに取り組むスタッフに実践的なアドバイスや励ましを与えることになった。
     後になって、アンドリューとこの合宿ミーティングについて振り返っていたとき、アンドリューが非常に含蓄ある言葉を言った。自分を含め実績のある監督は教育係を務める責任がある。自分の映画をつくり続けている間も、それを一番の仕事にすべきだと。「そのとき抱えている制作チームのメンバーで最高の映画をつくる方法を、監督になろうとするスタッフにどう教えるか。それを見つけることが命をつなぐことなんです。僕たちは必ずいつかいなくなるんですから、ウォルト・ディズニーはそうしなかった。だから、ディズニー・アニメーションは、彼を失ってから一五年も二0年もスランプに陥った。僕たちがいなくなった後、次の監督たちが自力で考えてやっていけるように教育できるか、それが本当に目指すべきことでしょう」
     会社で一番その能力に長けている人以上に、適任者がいるだろうか。教えると言っても、講習会やかしこまった研修だけを指すのではない。先輩たちの行動や姿勢は、彼らに憧れと尊敬を抱くスタッフたちの生き方に、よくも悪くも影響を与える。そういうスタッフたちの教育や成長を会社全体の繁栄に貢献する望ましい方法だと望まれるような会社づくりをすべきだ。日常のあらゆることに教育のチャンスがあること、経験が効率的な学習方法だということを理解しているだろうか。会社の評価だけでなく、その志を高める社員を評価する組織文化を築くことも、リーダーが果たすべき最も重要な責任の一つだ。

     社内の一部のスタッフは絵が描けた(それもすばらしく)が、大半のスタッフは芸術家ではなかった。しかし、描画の訓練にはある重要な基本原則があり、それを全員に理解してもらいたいと思っていた。そこで、ベティ・エドワーズによる一九七九年の著書『脳の右側で描け』(エルテ出版、河出書房新社)に影響を受けて、描画のワークショップを行っていたエリース・クレイドマンに来てもらい、観察力の高め方を教わることにした。
     当時は、左脳思考、右脳思考という概念をよく耳にしていたが、それがのちにLモードやRモードと呼ばれるようになった。Lモードは「言語的・分析的」で、Rモードは「視覚的・直感的」だ。エリースによれば、多くの活動でLモードとRモードの両方が使われるが、絵を描くときにはLモードを遮断する必要がある。そのため、訓練の内容は、すぐに結論を出そうとする部分の脳の動きを抑制し、画像をオブジェクトとしてではなく単なる画像として見るものだった。
     たとえば、人の顔を描くとき、ほとんどの人が鼻、目、額、耳、口をスケッチするが、ちゃんとした訓練を受けたことのない人が描くと、バランスがめちゃくちゃになり、誰にも似ていない顔になる。それは、脳から見ると、顔のパーツは平等につくられていないからだ。たとえば、コミュニケーションを行う目と口は、額よりも重要で、それを認識することにより重点が置かれるため、描くときにはどうしても大きく描きすぎ、額は小さくなりがちになる。人はありのままの額ではなく、自分のメンタルモデルに従って描いているのだ。

     繰り返しておきたいことがもう一つある。社員に創造性を発揮させるためには、我々がコントロールを緩め、リスクを受け入れ、社員を信頼し、彼らの行く手を阻むものを取り除き、不安や恐怖をもたらすあらゆるものに注意を払わなければならない。これらをすべて実践しても創造的な組織文化を管理することは必ずしも楽なことではない。けれども、目指すべきは楽になることではなく、卓越することなのだ。

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    2019年07月30日