『BOPビジネス 市場共創の戦略』(英治出版刊行)の著者で、持続可能な開発と環境保護に関するビジネス戦略研究の世界的権威、スチュアート・L・ハート教授の書籍。BOP本の名著です。
この手のテーマは、実際の自分の業務と少し距離もあり、あまり読まないジャンルでもあったのですが、『ワークシフト』『205
...続きを読む0の世界』『日本製造業の戦略』などを読んだあと、関連性を感じ手に取る。
上記書籍と同様に、現在の資本主義経済が行き詰まり、その後の経済に関して、どのようなことが予測され、どのように対処すべきかの方向性やヒントが示されている。
本書では、2カ国以上に拠点を持つ多国籍企業の総称をMNCとしてMNCを対象に、BOP(経済のピラミッドの底辺)を市場として狙っていく戦略を解説している。その市場は、現在の資本主義経済の蚊帳の外にあり、手付かずで成長著しい今後40億人になるであろうと言われる市場で、持続的技術を用いて破壊的イノベーションを起していくことを推奨している。
背景としては、「貨幣経済」「伝統経済」「自然経済」の3つの経済が衝突する世界環境の中で、現在の資本主義経済が破壊寸前まで追い込んでしまった地球環境を、「持続可能なグローバル経済」が、解決していくという見方を示している。
手法としては、先進諸国の商品やビジネスシステムを持込むのではなく、
BOP層でも買える値段帯の商品やサービスを、破壊的イノベーションにて実現し、「土着化」という手法で、現地のビジネスエコシステムを、共創する方法で、実施していくことが重要であると主張する。
そして、MNC企業にとっても、BOP市場で成立させた商品やサービスを含むビジネスシステムを、ボトムアップさせ、先進諸国でのビジネス展開をさせるという「リバース・イノベーション」の観点を、現在のMNC企業が是非取り組みべき戦略としている。
寄付や無償技術供与などではなく、BOP市場をビジネスパートナーとして捉えて、MNC企業が他のMNC企業に圧倒的な差をつけ、今後の企業のとりうるべきそして最後の大きいチャンスであるとしてる。
すっかり、BOP本の虜です。同じ著者の本「BOPビジネス 市場共創の戦略」を本日購入したので、明日以降読んでみようと思います。