石原薫のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ『BOPビジネス 市場共創の戦略』(英治出版刊行)の著者で、持続可能な開発と環境保護に関するビジネス戦略研究の世界的権威、スチュアート・L・ハート教授の書籍。BOP本の名著です。
この手のテーマは、実際の自分の業務と少し距離もあり、あまり読まないジャンルでもあったのですが、『ワークシフト』『2050の世界』『日本製造業の戦略』などを読んだあと、関連性を感じ手に取る。
上記書籍と同様に、現在の資本主義経済が行き詰まり、その後の経済に関して、どのようなことが予測され、どのように対処すべきかの方向性やヒントが示されている。
本書では、2カ国以上に拠点を持つ多国籍企業の総称をMNCとしてMNCを対象に、BOP(経済のピラミッドの底辺)を市場として狙っていく戦略を解説している。その市場は、現在の資本主義経済の蚊帳の外にあり、手付かずで成長著しい今後40億人になるであろうと言われる市場で、持続的技術を用いて破壊的イノベーションを起していくことを推奨している。
背景としては、「貨幣経済」「伝統経済」「自然経済」の3つの経済が衝突する世界環境の中で、現在の資本主義経済が破壊寸前まで追い込んでしまった地球環境を、「持続可能なグローバル経済」が、解決していくという見方を示している。
手法としては、先進諸国の商品やビジネスシステムを持込むのではなく、
BOP層でも買える値段帯の商品やサービスを、破壊的イノベーションにて実現し、「土着化」という手法で、現地のビジネスエコシステムを、共創する方法で、実施していくことが重要であると主張する。
そして、MNC企業にとっても、BOP市場で成立させた商品やサービスを含むビジネスシステムを、ボトムアップさせ、先進諸国でのビジネス展開をさせるという「リバース・イノベーション」の観点を、現在のMNC企業が是非取り組みべき戦略としている。
寄付や無償技術供与などではなく、BOP市場をビジネスパートナーとして捉えて、MNC企業が他のMNC企業に圧倒的な差をつけ、今後の企業のとりうるべきそして最後の大きいチャンスであるとしてる。
すっかり、BOP本の虜です。同じ著者の本「BOPビジネス 市場共創の戦略」を本日購入したので、明日以降読んでみようと思います。 -
Posted by ブクログ
2025/09/20
創造性をつくるには規律を作りすぎない。
→95%の正常な人を戒めるだけ、5%の常識乱用者には個別で対応すべき
ポジティブな声かけ
→p148
ジョブスの太々しさ
→自分の信念をつらぬく必要性を再認識。相手に否定された時も自分の意思・信念を貫くことも大切。
p74
無知と、旺盛な成功欲求との組み合わせ以上に、短期間での学習を促すものはない
p148 指摘の仕方
「このシーンの脚本がいまいち」よりも
「見終わった観客にあのセリフがよかったよねって言ってもらいたくない?」
→事実を伝えるよりも、その先の人をイメージさせる
人の知覚について
①人格は、自らのメンタルモデルによって歪められ、目の前にあるものを正しく認識することができない。
②人間の認識において外から入ってきた新しい情報と確立された既存のメンタルモデルの間に境目はなく、両方を1つの経験として認識していること。
③自らの個人的な解釈に意識にとらわれていると、頑なに目先の問題に対処する能力が低下すること
④仕事や生活を共にしている人のメンタルモデルは、互いの近さや過去の共有により互いに深く絡み合っていること
職場で社員が率直に意見を交わさないようには多くの理由がある。その理由を見つけて対処することが、まず第一の仕事である。同様に自分に同意しない人は理由があって、そうしているので、その理由の元となっている原因を理解しなければならない。
読み終わるのに半年位かかりました。とても面白い本を訳して頂き感謝です。
-
Posted by ブクログ
ピクサー秘話にとどまらず、マネジメント本としても良い一冊。ただ、他のピクサー本(レヴィの「世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話」)と同じく、最終章のジョブズとの思い出の章で全体の印象が上書きされてしまうのがズルい。私は読み終えた後しばらく、ピクサーではなくジョブズについてしばらく考えてしまった。
「彼はよく言っていた。アップルの製品はどんなにすばらしくとも、最後は埋立地にいく運命だが、ピクサーの映画は永遠に生き続ける。」(p393)
個人的には、トイ・ストーリーのウッディがディズニー上層部の意見によりどんどん意地悪なキャラになっていき、ストーリーの魅力が失われたとか、トイ・ストーリー2の当初の出来は悲惨で、それを立て直すためにジェシーのWhen she loved meのシーンなどが挿入された話も印象的だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ英語のタイトルは Creativity, Inc. 。ピクサーの歩みを振り返りながら、創造的な組織をつくるエッセンスを述べている。ピクサーの映画を漏れなく観ていたらと、もっと面白く読めたかもしれない。巻末付録のポイントが仕事や生活の参考になるので、メモしておく。
***************************
1. よいアイデアを凡庸なチームに与えればそのアイデアを台無しにし、凡庸なアイデアを優秀なチームに与えれば、それをテコ入れするかもっといいアイデアを返してくれる。よいチームをつくればよいアイデアに恵まれる。
2. 人を採用するときには、そのときの能力レベルよりも、これからの伸び代を重視すべきである。今できることより、将来できるようになることのほうが重要である。
3. つねに自分より優秀な人を採用するよう心がける。それが脅威に感じられる場合でも、つねによりよいほうに賭けること。
4. 組織の中に、アイデアを自由に提案できないと感じている人がいたら、それは損失だ。予想外のソースからのアイデアを軽視すべきではない。インスピレーションは誰にでもある。
5. 他人のアイデアを受け入れるだけでは不十分。能動的かつ継続的に社員の集団的知力を動員すること。マネジャーとして、スタッフからアイデアを引き出し、定期的な貢献を促すこと。
6. 職場で社員が率直に意見をかわさないのには多くの理由がある。その理由を見つけて対処するのはマネジャーの仕事である。
7. 同様に、自分に同意しない人は、理由があってそうしている。マネジャーはまずその結論の元にある理由を理解しなければならない。
8. さらに、組織の中に不安や恐れが生じている場合、それにも理由がある。マネジャーは、①その原因を突き止め、②理解し、③その根絶に努めなければならない。
9. 他の視点を遮断したいなら、自分が正しいと確信することほど効果的なことはない。
10. 一般的に、人は波風を立てるようなことを言いたがらない。自分の考えを言ってもいいということを強調するためにブレイントラスト会議、デイリーズ、反省会、ノーツ・デーなどがある。これらはすべて真実を明るみに出すための自己評価のメカニズムである。
11. 会議室より廊下で真実が語られているとしたら、会社として問題がある。
12. 人より後に部下から問題の報告を受けたり、会議で初めて問題を知らされたりすことをけしからんと思うマネジャーが多いときには、対処が必要である。
13. 問題を小さく見せようとして慎重に発した「メッセージ」を、社員はマネジャーに嘘をつかれ、裏切られ、無視されたと受け止める。問題を分かち合うことで社員に当事者意識や事業全体に対する責任感が生まれる。
14. 成功や失敗から最初に導き出す結論はまちがっている。プロセスを評価せずに成果を正しく測定することはできない。
15. ミスを防げば、ミスに対処する必要がなくなるという幻想に陥ってはならない。実際には、ミスを防ぐためのコストのほうが、ミスに対処するコストよりはるかに高く付く場合が多い。
16. 変化と不確実性は、人生につきものだ。それらを拒むのではなく、予想外の出来事が起こったときに回復できる力を養うことが必要である。つねに目に見えない問題を明るみに出し、その本質を理解する努力をしなければリーダーの資格はない。
17. 同様に、リスクを回避することはマネジャーの仕事ではない。リスクを犯しても大丈夫なようにすることがマネジャーの仕事である。
18. 失敗は必ずしも悪いことではない。むしろ、全く悪いことではない。新しいことをするときに必要な成り行きである。
19. 信頼とは、相手が失敗しないことを信じるのではなく、相手が失敗しても信じることである。
20. 計画実行の最終的な責任を持つ社員には、問題が起こったときに承認を得なくても問題に対処できる権限を与えなければならない。問題を見つけて対処するのは全社員の仕事である。誰もが生産ラインを止められるべきである。
21. 物事をなんでもスムーズに運ぼうとするのは、まちがった目標である。それは社員を問題解決能力ではなく、失敗に基づいて評価することにつながる。
22. 人に見せる前に完璧にしようとしないこと。早く頻繁に人に見せること。途中段階は見られたものではないが、だんだん見られるようになる。そうあるべきだ。
23. 会社の意思伝達構造は、組織構造を反映したものであってはならない。誰でも好きな相手と話せるべきである。
24. 規則をつくりすぎないこと。規則はマネジャーの仕事を楽にするかもしれないが、問題を起こさない95%の社員にとっては屈辱的だ。5%の社員をコントロールする目的で規則をつくってはならない。常識の乱用には個別に対処する。仕事は大変になるが、そのほうが結局のところより健全である。
25. 限界を課すことで創意工夫が促進される場合がある。卓越性は、厄介な状況や、理不尽とも思える状況から生まれることがある。
26. 並外れて困難な問題に取り組むことで、新しい考え方が生まれる。
27. 組織は、それを構成する個人よりも、集団として保守的であり変化を嫌う。基本合意だけで変化が起こることを期待してはならない。メンバーが揃っていても、グループを動かすには、それなりのエネルギーが必要だ。
28. 各部門のアジェンダは違えど、相互依存の目標を持つ部門によって構成される組織が健全な組織である。一つのアジェンダが勝れば、組織はだめになる。
29. 「すばらしいアイデアが生まれるためには、すばらしくない段階が必要」なことを理解しない人から新しいアイデアを守ることが、創造的な環境におけるマネジャーの仕事である。過去ではなく、未来を守ること。
30. 新しい機器の訪れを必ずしも嘆く必要はない。会社の進化を試し、実証するからだ。問題解決のプロセスは社員を結束させ、組織文化を維持させる。
31. 「卓越性」「品質」「優秀」は、自ら言う言葉ではなく、他社から言われるべき言葉である。
32. 間違っても安定を目標にしてはならない。安定よりもバランスのほうが重要である。
33. プロセスと目標を混同してはならない。プロセスをよりよく、より簡潔に、より効率的にする努力は不可欠で、継続しなければならないが、それは目標ではない。すばらしい商品をつくることこそが目標である。
*************************** -
Posted by ブクログ
1.映画では常にヒット作を出し続けるピクサーがどんな会社なのか、内情を知りたくて読みました。
2.ピクサーは誰しもが情熱を持って仕事をしており、自分の創造力を常に発揮しながら映画を制作しています。これは、自分自身の力だけでは衰退してしまったり、削いでしまうことがあります。マネージャーとして、ピクサーがどうあるべきなのか、どうしたいのか、どのような人を採用し、育てていくのかが述べられています。
また、著者自身がどのような経験を経てピクサーを育ててきたのか、周りの人間関係をどのように乗り越えてきたのが述べられています。
3.常に情熱を注げられる組織にすることはとても難しいと感じました。大抵の人はできない理由を探し、「でも、だって、いや」と否定の言葉を繰り返し、指摘することで優越感に浸っています。ですが、それによって与える影響を考えてません。自分に囚われ、創造力が欠落しているしています。
ピクサーは創造力が勝負のお仕事です。いかにして、やる気を出させ、クリエティブな能力を形成していくかが会社の明暗を分けます。
人を基点に置いて物事を進めていく様子をみて、見習いたいと思いましたし、もっと人とコミュニケーションを取って行きたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
【営業マンがモノを売ったときそこに敗者は存在しない】
「営業の神様」と言われるジョー・ジラードの営業論がまとめられた一冊。
恵まれているとはいえない家庭環境から、転職を繰り返し、定職になかなか見つからなかった著者が世界一のセールスマンになるまでの自伝的要素も含まれています。
アフターフォローの徹底やPDCAのサイクルを回すこと等、今日の営業論としては定説のようになっている、営業の基本、まさに教科書的な一冊だと感じました。
個人的に響いたのは、営業に対するマインドセットです。「営業職」に対してマイナスのイメージを持つ人も少なくないと思いますが、本著を読んでいるとジョー・ジラード氏が営業という職業をこよなく愛していること、誇りを持っていることが伝わってきます。
「営業とは戦いである。しかし、営業マンがモノを売ったときそこに敗者は存在しない。これ以上素晴らしい戦いはない。皆が勝者で、敗者は一人もいない。」
営業を新しく始める方、
営業職へのモチベーションが落ち込んでいる方におすすめしたい本です。 -
Posted by ブクログ
NYの飲食業界で働く方々のインタビュー集。シェフだけでなく、肉加工、魚加工のプロフェッショナルの方のインタビューも入っています。全員が口を揃えて言っているのが、若いうちはプライベートを犠牲にして身を粉にして修行しないと大成できないということ。私も食にまつわる仕事に就いてはいますが、ここまでの情熱を持って仕事に取り組めたことはありません。ハングリーになれない私の特質もありますが、やはりNYという場所で一旗上げることの価値を得るために、皆さん努力されておられます。
そして、インタビューの端々に記載されているメニューの価格を読んで思うのが、物価の高さ。アメリカで普通にランチしようとしたら、チップ込みでランチでも最低20ドルくらいになってしまいます。日経平均がバブル後最高値をつけても景気回復を実感できない昨今ですが、ドル換算で株価や物価を考えるととても寂しい状態なのを改めて実感してしまいます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ地球環境を保全し、持続可能な資源利用のもとでの豊かさの実現を考えさせられる。本書ではBOPピラミッドの底辺の40億人の貧困層の需要に応えるビジネスによる対応策が示されている。そこでのキープレイヤーは多国籍企業だが、トップダウン、画一的なビジネスモデルは否定される。40億人がターゲットなのではなく、それぞれの土地、村の生活者に資金・収入をもたらす土着・共創のビジネスであり、それを実現する発明・技術が求められる。
利潤や効率性からの80:20の発想ではなく、薄利多売でもない、BOPのニーズに応え・受け入れられるビジネスにより持続可能な豊かさの実現が可能となる点は理解できた。地球環境の持続可能性からの評価のためには、企業、住民以外の環境NGOなどのチェックと情報発信が欠かせないように感じられる。
12-91 -
Posted by ブクログ
著者の考える「型」や問題への切り込み方は割と好きだが、それを文章として出力してきたときの結果が自分好みじゃなかった。
以下、本書より抜粋。
「私が言っているのは、社員の健康のことだけでなく、長い目で見た彼らの生産性や幸福のことだ。こうした投資は、後々きちんと利益になって返ってくる。ピクサーでは、全社員の仕事と私生活の両立を認識し、支援する柔軟性をつねに持つように徹底している。」
「私がここで説明しようとしている試行錯誤の原則は、科学の分野では昔から重要だとされてきた。科学者は、疑問が浮かぶと、仮説を立て、実験し、分析して結論を引き出す。それをまた最初から繰り返す。その背後にある論法は単純だ。実験は事実の解明が目的であり、それが科学者の理解を少しづつ深める。つまり、だめな結果は一つもない。どんな結果も新しい情報を生み出すからだ。実験によって最初に立てた仮設がまちがっていたことがわかってのなら、早くわかってよかったのだ。手に入れた新事実を基に、次の疑問に取り組めばいい。」
「責任を与え、失敗させ、自ら解決させる。恐れには必ず理由がある。リーダーの仕事はその理由を見つけて対処することだ。マネジメントの仕事は、リスクを防止することではなく、立ち直る力を育てることなのだ。」
「ピートは、制作前の混乱の状態で不安に陥ったスタッフを動かすための、彼なりの方法を持っている。『打ち合わせをしてちると、スタッフが変更にうんざりしてやる気を失っていると感じる時があります。そういうときはだますんです。「本当にやったら大がかりな変更になるけど、試しに頭の中で想像してみて…」とか「このとおりにやろうと思っているわけじゃないけど、ちょっと話だけ聞いてもらえるかな…」などと言いながら。制作に苦労すると思ったらスタッフは新しいアイデアに耳を貸しません。だから話しているだけ、ふざけているだけで、何もしないふりをするんです。そうしているうちに、これだという新しいアイデアが浮かんだら、スタッフもやる気になって、進んで変更に取り組むようになります』」