大島渚!?とちょっと驚く。大島渚は終戦の時13歳の多感な時期。その年ごろで価値観の崩壊を目の当たりにしたショックは計り知れない。彼の映画をたくさん見たわけではないけど、基本的に大勢を信じない人だなとは思っていた。
朝まで生テレビで怒鳴ってた姿からは想像できないが、幼い頃はひ弱な少年だったらしい。力が
...続きを読む強い者が正しかった時代に、頭は良くても体が弱ければリーダーにはなれず、その経験も彼に影響を与えただろう。
大島渚を知っている者には色々と感慨深いが、大島渚を全く知らない子どもでも、この本は心に響くと思う。
強く明るくさっぱりとして優しいさかいくんのような子どもはいつの時代も愛されるが、父の戦死で明るさと優しさを失う。さらに敬愛する教師まで出征すると知ったさかいくんのかなしみは胸を抉る。
教師の顔だけで文字のないページの語りかけるものは大きい。息子に向かって語られる言葉は押し付けがましくなく、やさしい。いい文章にぴったりの絵がついた、素晴らしい絵本。