ちょっと甘めの評価かもしれないけど、鉄道好きと、鉄道好きに伍す知識を得たい人は必読。
タイトルどおり、内容は過去から直近までの日本の鉄道事故(上尾事件から福知山、JR北海道の列車火災まで)、国鉄、西武、新幹線利権、村上ファンドの阪神買収と、幅広い時代を網羅しつつ、なかなかの深さで切り込んでいます。意
...続きを読む外に現代寄りで、三河島事故や桜木町事故はさらりと触れる程度だったけど、深く書けるものを厳選したのかな。
鉄道事故を集めた第1章はドキュメンタリー仕立てで、読んでて臨場感があって引き込まれます。上尾事件のような遥か昔の話も、ここまで鮮やかに書けるのが凄い。リアルタイムで接していた地下鉄サリン事件や福知山線事故も、改めて読む価値あり。著者はこの本を、福知山線事故の調査報告書に触発されて書き始めたとあとがきに書いているけれど、なるほどと納得。
第2章は国鉄の酷さを生々しく記して、第3章は堤康次郎、田中角栄、村上ファンド(+ちょっとだけ五島慶太)と鉄道の関わりを記していて、こちらも面白く読めました。堤さんの鎌倉の墓地の話は別の本で読んで知っていたのですが、日参する社員たちのモチベーションの源をこの本を読んで初めて納得しました。
丁寧な調査とわかりやすく臨場感のある語り口で、ここ数年で読んだ鉄道関係の書籍では頭ひとつ抜け出ています。鉄道好きにはおすすめ。一般の方におすすめして良いものかどうかはわかりません!(笑