山口誠のレビュー一覧
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本書は、「おもてなし」に代表される日本型ホスピタリティーの源流を辿ることを目的とするために、日系航空会社の客室乗務員に対するイメージの変遷を事例とした社会学的アプローチの本である。したがって、本書の主題である『客室乗務員の誕生』はおそらく著者の主張の一部であり、本当の狙いはむしろ副題の『「おもてなし」化する日本社会』にあると言える。
本書の貢献は、こうした企画を岩波新書から出版できた点にあるだろう。これまでも、日本の航空史に関する概説書は存在したが、それらはどちらかといえば、交通関係のジャンルに組み込まれていた。岩波新書として出版するためには、そうした実学的分野が他の学術的分野と結びつく点 -
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ネタバレ客室乗務員の誕生
~「おもてなし」化する日本社会
著者:山口誠(獨協大教授)
発行:2020年2月20日
岩波新書
キャビン・アテンダントというのは、和製英語の一種らしい。英語では、Flight AttendantやCabin Crewだそうだ。日本では長らく、女性の客室乗務員をスチュワーデス、男性をパーサーと呼んでいたが、ANAが1988年にキャビン・アテンダント(CA)に、JALが1996年フライト・アテンダントに変更したが、現在、日本全体ではCAと呼ぶのが一般的らしい。
日本初の客室乗務員が飛んだのは、1931年の春。「エアガール」と呼ばれていた。10か月先行したアメリカでは「スチ