宮本喜一のレビュー一覧
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「ビジョナリー・カンパニー」の著者の一人を含むチームによる持続的に成功し続ける人たちに関する10年に及ぶ広範な調査プロジェクトの報告。
この問題にアプローチするため、著者は世界200人以上の著名人インタビューを実施する。そのなかには、有名な経営者だけでなく、ジミー・カーターとかの政治家やU2のボノとか、その他さまざまなジャンルでの成功者を含む。
調査の結果は、ある意味、それほど驚くべきものではない。「自分で意義を見出して、情熱をもって取り組み、失敗や他人との議論からも学び、協同する」という、ある意味「ポジティブ・シンキング」系のよくある結論だと思う。結論を要約してもあまり意味はないので、本書を読んで、実際にそういう行動を実践している人たちの言葉を感じるしか無い。
個人的に面白かったのは、そういう調査結果ではなく、調査の方法論であった。「成功」という定義すら分からない漠然としたテーマに対して、インタビュー調査や定量的なアンケート調査、回帰分析など組み合わせて接近していく調査デザインは大変勉強になった。
特に、インタビューについては、事前の質問項目にこだわらず、インタビュイーの話したいことを聞き出していく。それを促すための「探求的」な質問をする。というやり方が、最近、関心をもっている「アプリシアティブ・インクワイアリー」みたいだなと思った。また、相手の議論を外側から解釈するのではなく、相手が自分の話を自分でどう解釈しているのか、を問題とするアプローチは、解釈学的で面白いと思った。
人類学者のクリフォード・ギアーツに「ディープ・プレイ」というバリにおける闘鶏に関する論文があるのだけど、この論文は「これがバリ人が闘鶏について自らが持っている考えである」みたいなところで終わっていて、「バリ人の解釈のうらにある構造」とか、「他の文化との比較」とか、そういう外部からの解釈や理論化を拒絶しているところが、衝撃的だった。この本の方法論はそれに近いと思った。
そして、そうした解釈論と定量分析を組み合わせて、結論に落とし込んでいくところが、いかにもアメリカ的な実証主義だな、と感心した。 -
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イスラエルで自由になる財産は人的資本以外に何もない。通用するのは開拓者だけ。つまり何もない状況に立ち向かい、必死に仕事をする開拓者たちだけだ。理想主義であり、知識人。
イスラエルにおけるハイテクは農業からはじまる。器物は農業生産活動の母体になり、農民は科学者になった。耕作地が少なく、水不足という事情からイスラエルは農業先進国になった。
規模の大きさから寮の優位性が生まれるのに対して、規模が小さいからこそ質の面に集中できるチャンスがある。
専門家とは例外なく、過去の事実を語る専門家だ。これから起こる事象を語れる専門家は一人もいない。これから生まれる未来についての専門家になるためには、経験に取って代わられるビジョンが必要だ。
これから10年の進歩
1. 人工知能
2. 科学分野における発見の爆発的増大(主に中国とインドで)科学者の数が増えて、テクノロジーも発達する
3. ナノテクノロジーの出現。人間の脳の解明によって人間の潜在能力を明らかにし、コミュニケーションの様々な仕組みを理解し、社会活動の課題を我々に教えてくれるはず
イスラエルは経済活動における研究開発費の割合が世界一大きい国。ベンチャーキャピタルの数が世界一。
才能豊かな人たちの物語というだけでなく、粘り強さ、権威に対する疑問を持ち続ける姿勢、そしてどこまでも格式にこだわらない風土の物語。
イスラエルの作家アモス・オズ、
ユダヤ教とイスラエルは常に疑問と議論の文化、つまり解釈や裏解釈、再解釈、反対の解釈などについて自由闊達なやり取りをし続ける文化を育ててきた。ユダヤ文明がユダヤ文明であるのは、誕生したその時からずっと文字通り議論好きであったから。 -
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主に2000年から15年のマツダの歩みを綴った本。
90年代後半、フォードグループとなったマツダが独自路線に舵を切り、フォードグループからの独立まで。といった感じ。
序盤は少々辛かったが、第二章あたりから面白味を増してくる。
ただし、300ページの本に収めるには、マツダにはドラマがありすぎる。個人的には、もっとマツダの社員の声や、ドラマが語られていたら、と思う。
マツダの車がなぜ“楽しい”と感じさせるのか。
どうしてZoom-Zoomであり続けるのか。
本文中で、今はやりの“エコカー”の環境問題に触れているのも面白い。それは先日、マツダディーラーの営業さんが言っていた言葉と全く同じだった。 -
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今をときめく(というかこれまでの苦労がやっと報われた)マツダさん悪戦苦闘の歴史。リーマン以前未だフォードの資本が入っていた頃から今に至るまでの経緯をまとめてある。
表層的な見方だとデザインが良いからだとか、ディーゼル当たって良かったねみたいなことなんだろうけどこれ読むともっともっと深い次元で彼らが日々切磋琢磨していたことがよくわかる。ポイントは2つ
1)組織改革と製品開発
車も工業製品、所詮人が作るものなのでいかに手持ちのリソースで上手くやるか。今まで開発→製造みたいな時間軸で、流れ作業でやっていたことをもう一度見直してもっと上手くシナジーを発揮出来るよう組織を変えていった。選択と集中と言ってしまえばそれまでなんだけど、日本の組織や、日本人が一番苦手とする「既に出来上がってる仕組みを変える」を上手くやったことはもっとスポットライトが当たっても良いと思う。にしてもこれ読む限り、自動車は所謂「摺り合わせ型」。工程が複雑だし良いもの(そして売れるモノ)作るのはホント難しい。ウェブによくいる「家電の次は自動車」みたいな浅いロジック振り回す人たちはこの辺りもう少しよく考えた方が良いと思う。
2)今までの日本車と異なるマーケティング手法
市場を見ながら売れる車を手っ取り早く、安く作るみたいな従来の手法ではなく、あくまで自分たちがやりたい、作りたいものを作っていくというポリシー今まで無かったのでは?他社(他車?)との比較は日本のメーカーは従来半ば偏執的に行っていたが、彼らはどうやらあまり気にしていないらしい。マーケットインでもプロダクトアウトでもなく、ニッチメーカーならではの己のファンに向かってメッセージを発するような手法を、生産技術の改善を通して身につけていったのが興味深い。やはり代理店任せではなくマーケティングは自分で考えないと。 -
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ジョン•F•ケネディの信念触れることができる本。何度も読むべき。そして考えるべき。
著者の暗殺シーンぐらいしか記憶が無かったが、その内面に触れられたことがとても嬉しい。彼が仮にあそこで助かった時、彼しか出来なかったことはたくさんあっただろうと思うととても残念である。しかし、その信念はこうやって本に残ったことはとてもありがたいことである。
政治不信は我々の無知が引き起こしていると改めて思う。なぜなら政治家を選ぶのは我々だからだ。政治家の信念とその行動をつぶさに観察していれば誰を選ぶかは自明なはずだ。仮に自分の利益に反した行動をとったとしてもそれがその政治家の信念であれば仕方が無いと思わねばならないと思った。任せたのが自分だからだ。
自閉症スペクトラムの子供たちのなかには、私情を挟まずに理性でものを見ている子もいる。そして、自分を顧みずに無謀な状況でもその信念を貫く。結局のところ、この特徴は必要なものだと改めて思わされた。
感想を書こうとして思索したら、高河ゆんの「アーシアン」というコミックスを思い出した。主人公たちは彼らの世界の禁忌を当然とは受け入れず、自分の信念で行動している。この本で出てくるのは基本的にむっさいおじさんばかりだがひたむきさ、健気さは負けてはいない。
一方、孫子は、智、信、仁、勇、厳なり、と知識を最優先に考えるが、その根底には当人の価値観があるはずだ。この本に出てくる政治家は、米国の話なのだが、州では無く連邦に身をおいて判断する。しかし、選出したのが州だから利害が合わなかったのだ。
センチメンタルになっても仕方が無いが、冷静かつ理性的に、かつ、地球もしくは宇宙的な視野を持つヒトが政治家にもどんな分野にも必要なのだと思う。自分の目指すものを見失わない信念を持つことと併せて。 -
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ネタバレ・どんな軍隊も臨機応変の価値判断を要求するものです。けれども、そうしたことばだけでは何もわかりません。組織構造に目を向けなければなりません。…アメリカ陸軍における上級史観と先頭に従事する軍人の割合は一対五であるのに対して、IDF(イスラエル国防軍)では一対九になっている。
・NASAはそれ以前にも、何回か発泡剤の剥離を目撃していた。その剥離が過去、問題の発生につながらなかったため、その整備は定期的作業として実施する、というのが上層部の決めたルールだった。したがって、それ以上の議論は全く必要とされなかった。
→コロンビア号の爆発について。スペースシャトルを使いまわすために、作業をルーチン化したかったのだ。
NASAはコロンビアのことを「着陸して向きを変えるとすぐにまた飛び出せる、こんな飛行が簡単にできるボーイング747のようなものだ」と喧伝していたそうだ。しかし実際には、「宇宙飛行は、テクノロジーのイノベーションと非常によく似て、基本的に実験的な試みであって、その心がけで取り組むべきだ。飛行を繰り返すたびに、それを重要なテストであり、そして同時にデータの収集源だと考えるべきだ。過去に実践したことを日常的な作業に応用することではない」
・砂漠で魚を養殖することは道理にかなっている、と説得するのは骨が折れた。―サムエル・アプルバウム教授
・アメリカ軍は普通、役割が決められた航空機を四波にわたって飛行させることによって、作戦の具体的な要件を達成しようとする。たとえば、第一波は敵航空機の防衛空域をくぐり抜けられるように設計された空中哨戒機、これに続いてミサイルを発射してくる敵の対空砲火装置を破壊する第二波、そして第三波は、電子化された軍用機、燃料補給のためのタンカー、そして戦闘の全体像を映し出すレーダー機で構成される。最後の第四波は、攻撃機そのもの、つまり爆弾を積んだ航空機の出番だ。
…イスラエルのシステムでは空対空ミサイルを装備しないで出撃する事はありません。それがどんな作戦であってもです。レバノン南部に攻撃するとなれば、攻撃基地は飛行で二分間の距離に置かれます。そうすれば誰かほかの人が支援に来られるのです。それでも、敵国の領土に空対空ミサイル無しで行くなどということは決してありません。
・分野が全く異なるテクノロジーのマッシュアップ。ミサイルの電子工学技術をカプセル内視鏡に応用したギブン・イメージング、光源・酸素を生む藻・インシュリンを作り出すベータ細胞が揃ったミクロの環境を移植するBeta-O2。発想が、凄い。 -
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日本人にとっては政情不安定な、小国というイメージが強いイスラエル。
人口710万人、四国ほどの国土の大半は砂漠、というこの国は、独創的な技術を持ったベンチャー企業が次々生まれる「起業国家」という側面を持つ。
シスコ、マイクロソフト、グーグルといった企業がイノベーションの中心拠点をイスラエルに置いている事や、たとえ戦火の中であってもインテルのCPUの大半がイスラエルで製造されていることなど、「起業国家」イスラエルの姿は日本人にとっては知らないことが多く、大変刺激的な内容だった。
また、背景として語られるイスラエルの文化や社会制度も日本人からみるととても新鮮。
「予備役」という一生続く徴兵制が、業種横断的な人間関係を組織し、若いころから大変な責務を負う経験を作り出していること、軍隊においても下位のものがとことん上官に意見できる空気が個人個人が状況に応じて臨機応変に対応できる組織力を生み出している事、などである。
日本にとってイスラエルから学ぶべきことは多いと感じる。 -
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ビジョナリーカンパニー1、2に続いて今回も購入。新聞広告に出てたのを見てすぐに購入したのだが、若干敷居が高く今までは本棚の肥やし。今回思い切って読み始めた。
ビジョナリーカンパニーと同じく、調査対象(今回は「人」)に対して様々な側面から調査を行い、そこから導き出した仮説に対して検証を行い結論付けている。ビジョナリーカンパニーの時は企業の活動や数値といった相対的に捉えやすいものが対象であったのに対し、今回は人が対象のためインタビュー形式によるもので、キーワードだけでは判断がつかないものも多く、文脈の中で捉える必要がある。この調査の難しさはここにあるのではないだろうか。ただ様々な分野のビジョナリーピープルにインタビューして回るというのは無茶苦茶刺激的なことだろう。
内容は翻訳の影響もあるのか難しいものであったが、結論としては自分の存在することの意義や自分がなすことの意義を明確に理解し、それに基づいて適切な思考や行動を行なうということになるのだろう。それを様々な分野の人々を例に取りながら解説している。
この本で印象が深かったことをいくつか挙げると、
1.ビジョナリーな人にとって、成功の定義は富や栄誉ではなく、自分が没頭できる生きがいを永続的にできることであること
2.ビジョナリーな人は情熱や愛情をもって自分が生きがいとするものにぶつかっていくこと
3.ビジョナリーな人は失敗から学ぶ姿勢ができていること
いくつになっても人間チャレンジが必要だと思うし、情熱を以ってコトにぶつかる必要があると認識させられる。