佐々木実のレビュー一覧

  • 竹中平蔵 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像
    主に小泉内閣で構造改革を推進してきた竹中平蔵。その辿ってきた道のりを丹念な取材で明らかにしており読み応えがある。なんというしたたかな生きざまかと驚かされ呆れる。
    一点注意。2020年に発行となっているが、その年に文庫版が発売されただけで、もとの単行本は2013年の発行である。実際に購入するまでわから...続きを読む
  • 資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界
    人間を損得勘定のみで動く”ホモ・エコノミクス”と捉えた近代経済学に対して、経済学に人間の心を埋め込もうとした宇沢弘文の生涯。「社会の病を癒したい」という想いで数学を捨てて経済学を志し、その信念を最後まで貫いた生き様には感動した。また、多くの経済学者が出てくるので、様々な経済思想に触れられるのも面白い...続きを読む
  • 竹中平蔵 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像
    「構造改革」「規制緩和」の代表格でもある竹中平蔵。その生き方、生きてきた道標が詳細に著されている。こうした人物が、なぜここまで上り詰めるようになったのか。混迷の時代、アメリカ追従の思考、時代の寵児ともてはやしたマスコミ、熱狂する大衆、そして利用し利用された各界面々。
  • 竹中平蔵 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像
    構造改革とは何か、郵政民営化とは何だったのか。竹中に対して黒幕のようなイメージを抱いていたが、実際はアメリカに憧れる野心高い実務者だと感じた。実務者としての能力は極めて優秀なのだろうが、学者としても政治家としてもモラルに欠ける徹底した実益主義に恐れ入る。
  • 資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界
    もっと早く出会いたかった。

    凄い本。宇沢弘文という学者の生涯を通じて、経済史の変遷を学ぶ事ができる。一般均衡理論から、ケインズ、リカード。市場原理に任せるか、政策介入すべきか、そして更にはベトナム戦争から外部不経済という考えに基づき、公共経済学の分野へ。延長戦で、公害、自動車、カーボンニュートラル...続きを読む
  • 資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界
    600頁の大著だったが、昔先生の著作を読んだ記憶をたどりつつ、わりとさらりと読めた。

    宇沢先生については、時のローマ教皇ヨハネ・パウロ2世から手紙で、"Capitalism are alright?(資本主義は大丈夫なのか?)"と直接問われた経済学者、という説明で十分だろう。

    宇沢先生は、当時の...続きを読む
  • 竹中平蔵 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像
    もはや平成日本の金融史と言っていいのでは。
    これはほんとに読んだほうがいい。

    20世紀末から21世紀現在の日本経済、金融の変遷を
    巨悪竹中平蔵を主人公に描いてます。

  • 竹中平蔵 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像
    端的言ってこの20年間で竹中のやった構造改革は、目立って評価できる結果は残しているのだろうか? 確かに彼と彼らの改革は、抵抗勢力たちの既得権益との戦いであったことは間違いないが、同時に抵抗勢力から奪った利益を自分のものにし、自分が新しい既得権益者の座についているだけではないか? 労働市場の規制緩和を...続きを読む
  • 竹中平蔵 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像
    よく理解してないのになぜか悪い意味で気になる存在
    だったので、よく知りもしないでそういうイメージを持つのは良くないと思い読んでみた。

    実は途中からは少しイメージが変化した(さらには麻生さんに対しても変化した)したのだが権力を持ってから行った改革が結果、彼と彼のお友達をより富ませ、そのかわりに(元々...続きを読む
  • 資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界
    世界的な数理経済学者でありながら、従来の新古典派経済学を徹底して批判し、「社会的共通資本論」を提唱した、宇沢弘文の本格的評伝。
    本人をはじめとする数多の関係者への充実した取材や文献の渉猟に基づいて、宇沢弘文という人間を様々な角度から浮彫りにする優れた伝記だと感じた。大部だが、物語として面白く、スイス...続きを読む
  • 竹中平蔵 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像
    新自由主義的政策を導入してきた竹中平蔵氏の人物像を詳細に描いた書。公共事業拡大派から一転して緊縮財政派に鞍替えするなど、氏の言説は度々変節しているが、それは日本の国益や学問上の正しさを追求した結果などではなく、単に自らの利益最大化のためだったということが、関係者の数々の証言から明らかになる。同僚と共...続きを読む
  • 資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界
    よりよい社会を実現するために研究を続けた経済学者の骨太人生を見事に描き切る。
    戦後の経済学の流れも俯瞰していてとても勉強になる。

    コロナ禍の今なら、どんな発言をしただろうかなど
    考えながら読んだ。

    宮沢喜一や後藤田正晴など、宇沢の見識を理解し
    議論できる政治家がかつてはいたのに
    今は・・・と軽く...続きを読む
  • 資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界
    理論経済学者であった宇沢弘文さんの生涯の軌跡。

    読んでみて、本当に感動した。
    主に戦後だが、まさに20世紀の(理論)経済学を、宇沢弘文という1人物を中心に語ることで、ほぼその流れを理解することができる。それほど、経済学のメインストリームに位置していたということだ。

    特にアメリカだが、20世紀を通...続きを読む
  • 竹中平蔵 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像
    ある意味すごい人。こんなに貪欲に自己利益を追求しながらも、世直しの装いをしっかりとかぶり続け、人々を欺かせ続けられている人はいるだろうか。著者は次書で宇沢弘文の評伝を書いているが、竹中平蔵はあらゆる意味において真逆の存在。
  • 資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界
    社会科学を学ぶ大学生は必ず読んで欲しい一冊。特に経済学部と社会学部、環境やサステナビリティを学ぶの人は必読。

    アメリカ経済学全盛期にその最先端を走った日本人。今現在、後にも先にも日本の経済学者として世界と渡り合えたのはこの人だけ。

    宇沢弘文さんの教え子のスティグリッツといえば、日本の大学のミクロ...続きを読む
  • 資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界
    岩井克人氏「欲望の貨幣論を語る」と読み合わせると理解が深まる
    リーマンから12年、ひたすら金融緩和による景気の拡大を続けてきた世界経済はコロナショックを乗り越えられるかという課題に直面している
    根本的には「資本主義経済体制」と「有限の地球」が共存できるのか?というレベルの段階に来ている
    経済体制の選...続きを読む
  • 竹中平蔵 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像
    ニュースのコメンテーターとして出演しているイメージだったが、もっとしたたかな人だということが分かった。
    政府や政策の裏側は表に出ないことだらけだなと…。
  • 今を生きる思想 宇沢弘文 新たなる資本主義の道を求めて
    人の世には市場に任せてはいけないものがある。
    それらを社会的共通資本としてとらえる。現状とは異なる資本主義の向き合い方だ。どうしてこの考え方が主流にならなかったのか。人間の欲望とはかくも強大ってわけだ。
  • 今を生きる思想 宇沢弘文 新たなる資本主義の道を求めて
    こんな人だったんだとおもろきの1冊。

    宇沢さんといえば、数学が得意で、経済学の科学化に貢献した人。でも、市場原理主義ではなくて、社会資本、公共財といったところにも、議論を広げた人という印象だった。

    が、これによると、もともと数学科だったのが、マルクスにいき、その後、アメリカで行動主義的な経済学者...続きを読む
  • 資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界
    経済学という学問にこれまでどうしても興味を持てなかった。
    世の中の実に多様な側面を、「経済」という一つの視点だけで切り取り、それだけで「良い悪い」を判断している学問だという偏見を持っていたからだ。

    でも本当に優れた経済学者は、決して経済が世の中の良しあしを決定する因子ではなく、
    あくまで人間の幸せ...続きを読む