佐々木実のレビュー一覧
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アメリカ式新自由主義、環境問題、格差の問題を「社会的共通資本」という視点から論じていく宇沢弘文。机上の理論ではなく水俣病の現場に赴きその現実と向き合って闘い続けたその姿・・・
経済学者でありながら現場で実践し続けるその姿にも私は心打たれました。
若い頃の禅寺での体験が生涯に影響を与えていたことも見逃せません。
とにかくあまりに巨大なスケール!
何をどうお話ししていいのか私も混乱しています。それほど強烈な人生を歩まれています。
ぜひ一人でも多くの方に読んでほしい名著中の名著です。読めばきっと皆さんも頭がスパークすること間違いなしです。こんなにすごい方が日本におられたんだと驚くことでしょ -
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ネタバレ人間を損得勘定のみで動く”ホモ・エコノミクス”と捉えた近代経済学に対して、経済学に人間の心を埋め込もうとした宇沢弘文の生涯。「社会の病を癒したい」という想いで数学を捨てて経済学を志し、その信念を最後まで貫いた生き様には感動した。また、多くの経済学者が出てくるので、様々な経済思想に触れられるのも面白い。
宇沢弘文が日本帰国後に本格的に研究した、”社会的関係資本”については、新自由主義を乗り越えた社会を考える上で重要な概念だと感じた。市場一辺倒でも国家一辺倒でもなく、コモンズが社会的共通資本を担う社会が一つのオルタナティブになるのかもしれない。昨今の”脱成長”にも繋がり、宇沢弘文の思想は今も生き -
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もっと早く出会いたかった。
凄い本。宇沢弘文という学者の生涯を通じて、経済史の変遷を学ぶ事ができる。一般均衡理論から、ケインズ、リカード。市場原理に任せるか、政策介入すべきか、そして更にはベトナム戦争から外部不経済という考えに基づき、公共経済学の分野へ。延長戦で、公害、自動車、カーボンニュートラルまで行き着く。こうした本を学生時代に読んでいたなら、あるいは、公共経済学に興味を持っただろうか。
圧倒的な取材、文献、考察。宇沢弘文と共に生きた数々の学者たち。師弟、ライバル、仲間、犬猿の仲。その一人ひとりまで掘り下げて説明される事で、経済史の転換点が温度感を持ち、深く、ストーリーとして頭に入って -
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600頁の大著だったが、昔先生の著作を読んだ記憶をたどりつつ、わりとさらりと読めた。
宇沢先生については、時のローマ教皇ヨハネ・パウロ2世から手紙で、"Capitalism are alright?(資本主義は大丈夫なのか?)"と直接問われた経済学者、という説明で十分だろう。
宇沢先生は、当時の米英の主流派・新古典派経済学の世界においてもっとも影響力のあった研究者のひとりでありながら(後に新自由主義的な市場万能説を唱える当時の主流派経済学説を批判して、ノーベル経済学賞を受賞するジョセフ・スティグリッツ、ジョージア・アカロフが彼の教え子にあたる)、後年は市場の外にあるシャ -
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端的言ってこの20年間で竹中のやった構造改革は、目立って評価できる結果は残しているのだろうか? 確かに彼と彼らの改革は、抵抗勢力たちの既得権益との戦いであったことは間違いないが、同時に抵抗勢力から奪った利益を自分のものにし、自分が新しい既得権益者の座についているだけではないか? 労働市場の規制緩和を打ち出す政策実行者が人材派遣会社の会長を兼務しているのは公正さを欠いているのではないだろうか? 企業の内部留保が爆上がりし株価も高いが、そのかわりに非正規労働者や低所得者や福祉を受けるべき対象者が負っている負荷はつり合いがとれないくらい不公平な状況になっている。当然国内消費は伸びないからGDPは上が
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世界的な数理経済学者でありながら、従来の新古典派経済学を徹底して批判し、「社会的共通資本論」を提唱した、宇沢弘文の本格的評伝。
本人をはじめとする数多の関係者への充実した取材や文献の渉猟に基づいて、宇沢弘文という人間を様々な角度から浮彫りにする優れた伝記だと感じた。大部だが、物語として面白く、スイスイと読み進めることができた。
宇沢弘文の生涯を振り返ることは、まさに20世紀の経済学史を振り返ることであり、その意味でもとても勉強になった。
昭和天皇から「君!君は、経済、経済というけど、人間の心が大事だと言いたいのだね」と声をかけられたというエピソードが紹介されているが、まさに昭和天皇の言葉は、宇 -
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理論経済学者であった宇沢弘文さんの生涯の軌跡。
読んでみて、本当に感動した。
主に戦後だが、まさに20世紀の(理論)経済学を、宇沢弘文という1人物を中心に語ることで、ほぼその流れを理解することができる。それほど、経済学のメインストリームに位置していたということだ。
特にアメリカだが、20世紀を通して経済学の世界は、古典派 ⇒ ケインズ学派 ⇒ 新古典派 ⇒ ネオリベラリズム(ネオリベ)という流れがある。宇沢先生は新古典派の理論経済学者だが、彼の経歴を通して、ケインズ学派からいかにネオリベラリズムに移行して、現在2020年に至るかが理解できる。
特にネオリベの提唱者、ミルトン・フリードマン -
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社会科学を学ぶ大学生は必ず読んで欲しい一冊。特に経済学部と社会学部、環境やサステナビリティを学ぶの人は必読。
アメリカ経済学全盛期にその最先端を走った日本人。今現在、後にも先にも日本の経済学者として世界と渡り合えたのはこの人だけ。
宇沢弘文さんの教え子のスティグリッツといえば、日本の大学のミクロ、マクロの教科書にも使われているノーベル経済学者。そのスティグリッツや、同じくノーベル経済学者のアマルティア・センが今挑んでいるGDPに代わる幸福度の研究テーマ。
その先行研究ともいえる環境や社会の価値を経済学で扱えるようにする社会的共通資本を打ち出した人。机上の論理でなく、現実に経済学を適応させ -
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岩井克人氏「欲望の貨幣論を語る」と読み合わせると理解が深まる
リーマンから12年、ひたすら金融緩和による景気の拡大を続けてきた世界経済はコロナショックを乗り越えられるかという課題に直面している
根本的には「資本主義経済体制」と「有限の地球」が共存できるのか?というレベルの段階に来ている
経済体制の選択=経済理論の選択である
経済学は科学なのか、政治経済学なのか
現代の経済学を二分して解説 画期的であり判りやすい 革命的過激さ
①不均衡経済動学・・・資本主義経済の本質 ケインズ・宇沢弘文など
②均衡経済学 ・・・主流派経済学シカゴ学派など
資本主義経済の本質は不均衡動学だが、周期的に経済危機