渡辺政隆のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
殺虫剤、除草剤の毒性、それによる健康被害、自然破壊の実態が突きつけられ、恐ろしいとしか言いようがありませんでした。
何とかして悲惨な現実を世に知らしめ、現状を打開しなければならないという、レイチェル・カーソンの強い信念が文章に溢れていました。かなり前に読んだ「センス・オブ・ワンダー」と共に、心に残りました。
がんに侵されている中での執筆であり、本書出版から1年7か月後に亡くなったことを、解説文を読んで知りました。執筆に心血を注いでいた著者のことを思うと、胸が熱くなり頭が下がります。
自然界の中で、人間は限りなく謙虚でなければならないと、思うことしきりです。 -
Posted by ブクログ
レイチェル・カーソンの『沈黙の春』は、農薬の大量散布による自然や生態系の破壊と健康被害に警鐘を鳴らし、自然保護活動やエコロジー思想に大きな影響を与えたとして非常に有名であるが、新訳が出たことから実際に読んでみることとした。
本書刊行の時代の1950年代から60年代というと、科学/化学の力に魅了されていた時代であり、農薬による害虫駆除が大々的に行われたのもそうしたことからだったのだろう。本書では、鳥や魚その他の動植物に対する被害や、水や土壌の汚染に関する実相が次々と明らかにされていく。そして、農薬会社や行政、あるいは研究費の助成等で企業と利害関係のある研究者などが、農薬がそれらの被害の原因であることを容易に認めなかったことが被害の拡大を招いてしまった。
著者は、害虫駆除について、農薬による化学的防除に対して、天敵を利用した生物的防除の成功例を紹介し、その可能性を称揚している。確かに上手くいった例はあるのだろうが、現地にはいない新しい生物を招き入れるということは、当然ながらその場所の生態系に影響を及ぼすことになるので、思わぬ状況が生じる可能性もある。
いずれにしても、人間が自然を思うがままに管理できるとするのは、人間の傲慢なのであろう。失敗からきちんと学ぶ、本書は多くの例を通して、貴重な教訓を教えてくれる。 -
Posted by ブクログ
ダーウィンとは、あの進化論のダーウィンである。彼が家族の協力を得ながら40年もミミズの研究をしていたとは、恥ずかしながら知らなかった。ダーウィン最後の著書がこの本。
この本によって、ミミズは単なる釣り餌ではない、大地を耕して潤してくれる存在であると、世に知らしめたのだ。
いまだに分からないことも多いミミズだが、ミミズがいなければ、作物は育たない。畑に薬を撒いて除草すると、ミミズも死んでしまい、豊かな畑にはならない。とても大事な存在なのだ。
ダーウィンが実験に使っていたミミズは日本のものより大きいらしいが、巣穴の入り口は葉っぱなどで塞ぎ、寒さをしのいだり、食べ物にしたりする話やローマ時代の遺跡が土に埋もれているのは沢山のミミズが何年もかけて土を掘っているから、など、興味深く読んだ。だんだん可愛く思えてきた。1エーカーに何匹くらい存在するかの予測の数は恐ろしかったのだけど。
また、科学者はこのように実験をくりかえし、予測を確実なものにしていくのか、と感心してしまった。ミミズがどのくらいの土を耕すのか予測するなんて、計算も結果もビックリだった。
時間はかかったが、結論まで読めてよかった。次はミミズ・コンポストにチャレンジしてみよう。
-
Posted by ブクログ
読もうと思った理由
前巻と同じ
気づき
・自然淘汰説が基盤としている考え方は単純である。
個々の新しい変種、最終的には個々の新種が生み出さ
れ維持されるのは、競争相手となる種類よりも何らか
の利点を有しているからである。一方、そうした利点
のない種類は、ほぼ必然的に絶滅することになる
・変化した子孫をたくさん生み出す優勢な種類は、長い
時間をかけて分布を広げていく。そしてその結果とし
て、類縁関係にある変化した子孫が世界を席巻してい
く。一般にその理由は、優勢な種類の子孫が生存闘争
において劣った種のグループにとって代わっていくか
らだと考えればよい
進化論は当時、社会から認められなかったが事実をきちんと理論立てて説明して根拠をもって語っていることがすごいと思いました。 -
Posted by ブクログ
今更ながら人類の歴史的名著を読む。まずは上巻。
なぜ本書が人々の常識を一変させたか、それは一般読者向けに分かり易く書かれたことのほかに、シンプルな主張を徹底的な論理武装で身にまとった点にあろう。本書内で厖大な事例が列挙されているが、彼は帰納的に進化論を導き出しているのではなく、観察と実地調査から既に結論を有しており、その論証としてあらゆる角度・視点から推敲を重ねて丁寧に理論の層を重ねている。そこには反証に対する準備も含まれる。「自然淘汰」が最も有名だが途中変異や本能など充分に検討と熟慮を以って慎重に進化論を温めていたことがわかる。ウォレス氏が手紙を出さなければ、ひょっとすると発表せぬまま亡くなった可能性もあるくらい一点の濁りもないレベルに仕上げようとしていたことが窺える。
我々は「進化論」の概要を押さえ先人の智慧の果実に与れば充分だと思うが、当時の一般人の感覚を追体験する意味で読むと面白いであろう。 -
Posted by ブクログ
言わずと知れた古典。その構成は、第一部(1~5章)で自然淘汰説(自然選択説)を説明し、第二部(6~9章)でその難点を取り上げ、第三部(10~14章)で生物学諸分野の知見が自然淘汰による枝分かれ的進化によって理解できることを示している。
私がこの本を読んだ目的は二つあり、一つ目はダーウィンの入念な論証を追体験することである。これは、種の起源はダーウィン本人による一般人向けの要約書であることから、なるべく専門的な知識なしに容赦のない思考のヒントを得ることができると考えたからである。二つ目はある程度ボリュームのある読書体験をすることである。上下巻合わせて800ページ超もある大著を読み通す経験は今後の読書の幅を広げるうえで重要な意味を持つと考えたからである。
この二つの目的に関しては現代でも種の起源を読むいい理由になると思う。 -
Posted by ブクログ
上巻に続き、とても深い研究書である。150年前に書かれたとは思えないほど、進化論について緻密な研究に基づく詳細な記述がある。驚きの一冊。
「自然は、個々の生物自身の利益になりそうなことならば、膨大な時間をかけてゆっくりとたゆむことなく生物の体のつくり全体に働きかける。そして、どれか一つの種に由来する複数の子孫の生殖機能を、相関作用の法則を通じて変更することができる。つまり、一カ所を変えると、それに応じて次々と別の箇所の変更も進むのだ」p56
「長い目で見ると、同じ地域にすむすべての種はなぜ最終的には変化するのかという理由がわかってくる。変わらない種は絶滅してしまうからなのだ」p129
「自然淘汰説が基盤としている考え方は単純である。個々の新しい変種、最終的には個々の新種が生み出され維持されるのは、競争相手となる種類よりも何らかの利点を有しているからである。一方、そうした利点のない種類は、ほぼ必然的に絶滅することになる。これが基本的な考え方なのだ」p137
「私の学説によれば、ある特定の意味では、新しい種類の生物ほど、高等なはずである。なぜなら個々の新種は生存闘争において、先行する他の種類よりもなにがしかの利点をそなえることで形成されるからである」p164
「小型ほ乳類が野生化した島は、必ず大増殖している」p255 -
Posted by ブクログ
19世紀に書かれたとは思えないほど、動植物についてよく調査・研究され、論理的にまとめられている。正確な論述は、ダーウィンがいかに厳格な人間であったかを伺わせる。生物学の基礎をなす極めて重要な古典だと思う。
「どの生物種でも、生き残れる以上の数の子供が生まれてくる。しかもその結果として、生存闘争が繰り返し起こる。こうした状況下では、自分自身の生存にとって少しでも利益となるような変異をそなえた個体は、たとえそれがいかに小さな変異であっても、複雑で変化しやすい環境下において生き残る可能性が高くなるはずであり、自然によって選抜されることになる(自然淘汰)」p21
「すべての生物は、ある年などに個体数を減らすということがなければ、指数関数的な増加を続けることで、たちまちどんな土地でも養えないほどの数に増大してしまう。このように生存可能な数以上の個体が生産されるため、同種の個体間、他種との個体間、生息する物理環境とのあいだで必ず生存闘争が生じることになる」p123
「すべての動植物は指数関数的に増加する傾向があり、生存可能な場所ならばそこで急速に数を増やすはずなのだが、指数関数的な増加傾向は一生のうちのある段階で起こる大量死によって抑えられているに違いない」p126
「たとえば私はこんな実験をした。縦1m、横60cmの区画を耕して除草し、実生の苗が他の植物の被害を受けずに成長できる準備を整えたのだ。そして、自然に生えてきた野草のすべてに印とつけてその成長を観察した。すると、実生の苗357個体のうちの295個体もが、主にナメクジと昆虫によって食べられてしまった。長期にわたって刈り込まれている芝地を放置して草が生えるにまかせると、勢いのある植物が勢いのない植物を、しかも完全に成長したものまで徐々に圧迫して殺してしまう。実際に芝地の小さな区画(1m×1.2m)を放置したところ、最初に生えていた20種のうちの9種が、他の種の成長の犠牲になった」p130
「われわれはよく茂った土手を覆う草本や低木を見ると、そこに生えている種数や個体数の割合は偶然のなせる業だと考えがちである。しかし、そういう考え方はとんでもない間違いである。どの生物もみな、個体数を増やそうと悪戦苦闘し、他の植物を食べたり、樹木やその種子、実生の苗を食べたり、林床をいち早く覆って若木の成長を妨害する植物を食べたりという関係が繰り広げられてきたのだ」p142
「(生きている化石)それらは、閉じ込めたれた地域に住んでいたおかげで、あまり厳しい競争にさらされなかった。そのため、現在まで生きながらえられたのだ」p194
「地表に生息する無数の生物は、新しい構造を獲得することで互いに闘争し合い、最も適応したものが生き残る。それを可能とする構造上の重要な変更が生じるのは、個体にとって有益な差異を着実に蓄積する自然淘汰の作用なのである」p289
「ミツバチは深遠な数字の問題を具体的に解いている。貴重な鑞の使用を最小限に抑えつつ、最大量の蜜を貯蔵できる形状の巣房を造っているからだ。熟練した職人が適切な道具と測定器を使用しても、この形状の巣房を鑞で正確に造ることは難しいだろうといわれている。ところがミツバチの集団は、暗い巣の中でその仕事を完璧にこなしているのだ」p376
「ダーウィンはイギリスの10ポンド紙幣の肖像となっている」p422
「「種の起源」を読まずして生命を語ることはできない」p423