岩瀬博太郎のレビュー一覧
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死因の解明に必要不可欠な解剖。それが異状死の大半に適用されないまま,遺体は火葬されていく。死因不明社会日本の現状を法医学者が訴える本。解剖の実際から諸外国の死因究明制度まで,豊富な実例とともに書かれていて,予備知識がなくても問題ないように工夫されている。
拙速に決めつけられる間違った死因は,犯罪や虐待の見逃し,致死的な製品不具合や感染症の見過ごし,損害保険金や賠償金の誤算定に直結する。「そんなまさか」という感じだけれど,著者の語る死因決定の実際の流れや,力士暴行死事件,湯沸し器CO中毒事件,首都圏連続不審死事件などを眺めていくにつれ,その深刻さが判ってくる。
患者を診て病気を治す通常の医学に対 -
Posted by ブクログ
20人もの死者を出したパロマガス湯沸かし器事件。死亡解剖をしてほしいという両親の願いを一顧だにせず却下した警察。もし最初に警察が最初の事故で原因をきちんと追求しておれば20年間も同じ事故は繰り返されること亡くなった19人は生きていたはず。相撲部屋の頑強な若者の早死にも同じ。警察官には解剖に回すのは手続きが大変で面倒くさい。捜査も大変といったことから、事件を犯罪性なしにしたい気持ちがある。明らかな病死以外はすべて解剖する国であればこのようなことは起こらない。警察へ届けられた遺体の解剖率は日本が5%。オーストラリアが54%でスウェーデンは89%。日本の死因はウソだらけ。あまりに悲しい現実だ。
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ネタバレ日本の死因究明制度に警鐘をならす本。とても勉強になった。
検視の具体的な方法は、CT、解剖、DNA鑑定などわかりやすく説明され、世間を騒がせた事件を例や、海外の制度と比較で解説されているため、一般の人でも問題点が理解できた。
異状死は行政検視だけで事件性の有無がわかるわけがない。
なのに日本では解剖がほとんどおこなわれていない。
それによって、冤罪や犯罪の見逃しが増え、保険金が適正に支払われず、伝染病を察知できないなど、問題点がたくさんある。
日本では死因究明制度が機能していないためである。
日本の制度は複雑になっていることが多々あり、これもその一つであろう。
もっと単純にして運用していか