野口絵美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ(「BOOK」データベースより)
魔法の呪文作りで名高い二つの家が反目しあう、イタリアの小国カプローナ。両家の魔法の力がなぜか弱まって、他国に侵略されそうな危機の中、活路は失われた“天使の歌”をふたたび見出すことしかない。だが両家の大人たちは、互いに相手方を責め、クレストマンシーの「危機は邪悪な大魔法使いのせいだ」という忠告にも耳をかさない。そんなとき、両家の子どもたちトニーノとアンジェリカが、「呼び出しの魔法」に惑わされて行方不明に。「子どもをさらった」と非難しあい、盛大な魔法合戦をくり広げる大人たちをよそに、トニーノの兄パオロとアンジェリカの姉レナータは、力を合わせて弟妹を探し始める。一方トニーノたちは、目覚めてみると、人形の大きさにされ、人形の家に閉じこめられていた…!?「魔法のファンタジーを書かせたら第一人者」「ファンタジーの女王」と評価の高い、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの代表連作「大魔法使いクレストマンシー」の一作。イタリアを舞台に、クレストマンシーと、呪文を作り、歌う人々が活躍するオペラのような異色作。 -
Posted by ブクログ
どうしても馴染めない部分があった。
それは「大家族」というところ。
私はこれが受け付けられない性格なのだ。
大家族がもつ温かさよりも、
無意識のうちに個人を縛り付けようとする
息苦しさが耐えられない。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズは、
実はクレストマンシーのシリーズで、
けっこう親や大人たちの子に対する支配を
描いていると私は思う。
それが今回だと、個々人から一気に
大家族という今まで以上に大きな存在になっている。
ところが今までと違うのは、
物語の前半は母性のマイナスよりも
つながりというプラスの方を出していること。
それが私には受け入れがたかった。
しかしやはり他の本と同じように、
徐々にマイナス面が現れてくる。
先祖たちからの教えに囚われ、
新しい価値観を認めず、
変化を受け入れようとしない。
どころか、そこから抜け出そうとする者を
否定して押しつぶそうとする。
それは物語の結末までずっと続く。
というかもっとも大事な局面で、
全員が重大な問いにさらされる。
ところが他の作品と違い、
今回はダイアナ・ウィン・ジョーンズは
はっきりとした結論を書けていない。
え、どっちなの?というくらい
ぼやけた結末になっている。
それは今までの舞台イギリスのような
はっきりとした物言いの国ではなく、
今回はイタリアという母性的な
何もかも飲み込んでしまう舞台の
呪いだったのかもしれないと思う。
答えをあいまいにするという意味で。
だから正直言って、
せっかくトニーノたちのがんばりで
高まったカタルシスが一気にしぼんでしまった。
物語の中盤から後半にかけて、
トニーノたちが冒険するところは
いつもながらワクワクして楽しかった。
トニーノの分身ともいえるパオロの
葛藤の描き方も好き。
やはりダイアナ・ウィン・ジョーンズは
子どもを描かせたら天下一品だと思う。
そして他の方々とは全く逆で、
この大家族の大人たちがみんな見事なまでに
イヤーな部分が描かれていると思った。
リカルドは典型的だし、おばさんたちも。
そこも著者のうまさだと私は思う。
(おばさんたちのことは良い面も描いていたけれど)