村井吉敬のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
これを読む前に「バナナと日本人」が先ですが、この本を先に呼んだので紹介。
エビの本ですがエビの本ではありません。
1970年代から資本主義によるグローバルな経済が行われていたと実感できます。
エビを獲る人々
エビという生き物
エビを育てる人々
エビを加工する人々
エビを売る人、食べる人
1970年代からエビに関わるビジネスは、台湾、中国、東南アジア全域を含んだグローバルなビジネスになっています。
エビという商品一つとっても、これだけの国と、エビを商品として届けるまでにどれだけ多くの人が関わっているのか、読むことで理解できます。
予想以上のスケールの大きさに圧倒されます。
資本主義の露骨な貧富の差や、欧米の容赦ないアグリビジネスのやり方なども見たいならば、「バナナと日本人」がよいと思います。
大学1・2年生の間に読むべき本だと思います。 -
Posted by ブクログ
エビにまつわる色んな話。
これが資本主義だ!ってことがよく分かる本。
日本のエビ産業(国産98%)が自由化でいとも簡単に、外国産87%に変貌していく様子や、零細漁民達が貨幣経済の末端に組み込まれていく様はもはや仕方ないことにすら思える。
一方、エビを輸出する国々にとってはエビ産業が外貨、技術を獲得する貴重な機会になっているのも事実な訳で。
一概に良い悪いが判断できない難しい問題だと思います。
個人的には、日本がエビ輸入国に変わっていく過程がひじょーに興味深く読めた。
低温輸送インフラの整備、各家庭への冷蔵庫普及、商社・食品メーカー・スーパーの販促、外食産業の成長。
色んな要因があるけど、その中でもインフラってとてつもなく大事だなと。
そしてもう一点。
エビについての研究の姿勢に感銘を受けた。
徹底した現場主義で、インターネットが普及していない時代にここまで調べあげるその研究者魂に感服です。
極めるってこういうことを言うんだなー。
ネットや文献だけでささっとレポート書いてしまう自分が何とも愚かしく思えます。
「開発輸入」、「買い付け輸入」など知れてよかったなと思う用語もちらほら。
久々に学ぶことが多く得られた本でした。 -
Posted by ブクログ
日常、何気なく口にしているエビ。日本人はエビが好きだが、どこからこのエビが来ているか考えたことはあるだろうか。限られた人間が口にするエビを供給するために、環境やそこで暮らす人々の生活を破壊している現状を私たちは知らない。何故そこまでして日本人はエビを食べるようになったのかという背景もこの本では知ることができる。エビによる環境破壊・生活破壊があるという現状認識だけにとどまらず、その向こうにある欧米圏の文明というあるひとつのものさしによって振り分けられた搾取が許される側と搾取される側という世界構造にも思いを馳せた。開国以来、黒船の脅威から自分も「搾取する側」の仲間入りをすることで搾取されることから日本は逃れ、それこそが明治政府の目指した「国際的地位の向上」だったのかもしれない。
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Posted by ブクログ
エビの種類やエビ業者の話など、その情報量の多さに感心した。著者は上智大教授であり、ジャーナリストではない。このあくなき好奇心と取材力は評価に値する。著者が述べる通り、エビは日本人にとって重要なモノになりつつある。なぜなら、輸入量世界1位であり、またエビが輸入占める割合が1位である(った)からだ。また、私たち日本人にとってシーフードという言葉から想起される魚介類は、エビであることが多いのではないだろうか。エビの種類などから、エビ産業についての分析まで、この本の射程は広い一方で、著者が上智大の外国語専門であることも重なり、その分析はやや浅いものであることは否めない。例えば、「日本人がエビを輸入することは現地にとって、損にはならない」という商社マンの言葉に対して、慎重な態度をとっていたり、エビ産業における搾取を国内政治の問題あるいはグローバル経済の問題と捉えたりしているが、分析上の物足りなさを感じる。ただ、一介のジャーナリストでもこれほどの情報を調べることが珍しいという意味でも、またエビの問題を考えるきっかけになりえるという意味で、この本は優れている。先程の商社マンの言葉を見て、城山三郎の小説にあった「一流の商社マンは法を破る」という言葉を思い出した。
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Posted by ブクログ
ネタバレ地産地消とかフードマイレージという言葉が気になったので、古いけど何も読まないよりは。
と思って手にとった一冊。
日本人が大好きなエビ。ではそのエビはどうやって私たちのお皿の上にくるのか?
昔はめったに食べられなかったのに、今はなぜこんなにも簡単に手に入るのか?
どういう人が働いていて、どんな形で獲られていて、どんな形で運ばれてくるのか?
を生産者や中間業者に直接コンタクトを取り、生の声でその全貌がまとめられています。
読んだあとは、お皿の上のエビについて深く考えてしまいました。
このまま輸入し続けていいのか?って。
30年前にこの事に危機感をもって調べた著者がスゲーです。 -
Posted by ブクログ
日本で大量消費されているエビについて、その生産現場から消費までの現場と流通を丹念にたどって解説する。筆者のチームが実際に現地へ赴き、インタビューした成果が詰まっている。1では、インドネシアの漁民の声を拾い、日本資本に組み込まれている様子を描く。トロール船は現地に何も残さずに商品としてのエビを収穫していく。乱獲によって資源が枯渇し、養殖ブームが起こっている。2では、エビの生物学的解説や、伝統的漁法から現在の漁法まで紹介する。日本で消費するエビの八割以上が外国産であるという。3では、養殖漁民の仕事と生活や、輸出するまでの流通の仕組みについて紹介する。エビの養殖方法を確立したのは日本である。4では、エビを加工する工場の女工さんたちの労働状況について紹介する。日本の商社や水産会社が深く関わっていることも指摘される。5では、日本のエビ消費動向について。エビが身近なものになったのはごく最近であり、業者と政府が一体となって冷凍食品を普及させた成果であると指摘する。1986年にはすべての食料品の中で輸入額1位になったそうだ。目次 1 エビを獲る人びと―トロール漁の現場 2 エビという生き物―生態・種類・獲られ方 3 エビを育てる人びと―養殖をインドネシア・台湾に見る 4 エビを加工する人びと―調味料づくり・殻剥き・箱詰め 5 エビを売る人、食べる人―この四半世紀に何が起きたか?1988年発行と古くなった本なので現時点とは異なる点もあるだろうが面白く読めた。かつての水産ニッポンが水産物大輸入国になったということは、食料自給率の問題につながってくる。貿易データ、取引相場などの経済指標が数多く紹介されているし、現地の人々の声もリアリティがあって面白い。漁港、工場などの描写は旅行記のような趣もあり、現地の風景をうまく表現している。国際資本に飲み込まれる第三世界という問題指摘も、変な押しつけがましさがなく、共感が持てる。