高木光太郎のレビュー一覧

  • 証言の心理学 記憶を信じる、記憶を疑う

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    人の記憶の脆さと、その脆さに頼らざるを得ない裁判。
    記憶は体験を発酵させ、少しずつ変化させていく熟成庫のようなもの、蓄積されて動かない倉庫ではなく、いろいろな情報を複雑にリンクさせていく開かれたシステムだといいます。
    ウォーターゲート事件でのジョン・ディーンの事例。自民党本部放火事件で「電磁弁」を購入した人物について販売店員の「善意で生まれた」記憶。甲山事件の園児証言に関するフィールド実験。
    いかに、人の記憶が、無意識に悪気なく「変化」して、生まれて、定着してしまうかがわかりました。
    事件からしばらくたって、日常的な出来事について思い出すよう求めて話された「記憶」は、あやしい。
    「じゃあ物証な

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    2021年05月06日
  • 証言の心理学 記憶を信じる、記憶を疑う

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    「記憶は過去の正確な記録ではなく、常に他者との相互作用を通じて作り上げられていくもの」。筆者はこの視座に立って、「証言」という行為を心理学的に分析する。法と心理学の関係について関心がある人はもちろん、実験法を用いない心理学研究のあり方についての示唆にも富んだ本。良書だと思います。

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    2009年10月04日
  • 証言の心理学 記憶を信じる、記憶を疑う

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    会社の飲み会(年配のおじさん多い)は面白い。毎回毎回必ず「例」の話が出てくる。例えば皆んなが受けた地獄の様な研修の思い出話、皆んなが尊敬していた同僚が突然亡くなった後の故人との思い出話。毎回ほぼ同じストーリーで語られ、同じ所で笑いや懐かしさに襲われる。考えてみたら、それ程同じ話を変わらず繰り返せる話者も凄いが、いかにも初耳であるかの様に笑える聞き手も凄い。双方の記憶力の対比を数ヶ月間隔で定期体験している。
    私も同じ研修話をするが、最早何度も話をしてるうちに、自分が体験した事なのか、他人の経験を自分事として話してるのか怪しくなっている。
    それ程に日常的にも周囲とのネットワークで記憶は作られていく

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    2023年03月30日
  • 証言の心理学 記憶を信じる、記憶を疑う

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    記憶という心理学の基礎的な分野が実際にどのように扱われているのか、証言という場面を用いて論じられていた。記憶そのものよりは供述分析の手法にシフトしていた気もしたがなかなか面白かった。心理学という若い学問がこの先どうやって立場を獲得していくかについても考えられるかもしれない。

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    2018年03月31日
  • 証言の心理学 記憶を信じる、記憶を疑う

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    過去は再現も説明もできない。それが出来る立場の人間は地上にはいない。だからそれ以外のところから、遺跡を掘るように慎重に進めなければならない。正解も時間もない世界であると痛感する。

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    2015年12月23日
  • 証言の心理学 記憶を信じる、記憶を疑う

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    裁判において証言をどのように扱うべきか。心理学者による試みを紹介している。
    記憶とは本来脆く、様々な影響を受けて変化するものである。しかし、記憶を頼りにする証言者は「事実」を話すことが求められる。証言の中から事実を探ることのむずかしさが良く理解できた。

    また、裁判において心理学の知見を生かそうと試行錯誤する筆者の真摯な姿勢には学ぶところが大きかった。

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    2013年12月22日
  • 証言の心理学 記憶を信じる、記憶を疑う

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    人間の記憶の脆さや、事実と異なる証言がいかに作られるものか、証言の正しさを考えるうえで参考になる。
    結局のところ、個別の案件について証言が信用できるか否かを断言することは難しいのだが、間違いが入りやすい場面を知っておけば、証言を吟味するときに注意すべき点を押さえることができる。

    また、本書の足利事件についての分析は、控訴審時点で行われていたものであり、当時から自白が相当に疑わしいものであったのに、一見客観的なDNA鑑定に裁判官の判断が引きずられたことがわかり、興味深い。

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    2011年10月14日
  • 証言の心理学 記憶を信じる、記憶を疑う

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    人は嘘をつこうとしていないのに、体験していない出来事を見たり聞いたりしたと証言してしまうことがある。
    証言の聴き手が、それと気づかないうちに虚偽の証言や自白を生み出す手助けをしてしまうこともある。
    人間の記憶は脆く、他者の記憶とのネットワークによって成立している。
    これを法廷という非日常の「現場」に生かすことは果たしてできるのか。
    興味深い実例を交え、心理学研究の最前線をわかりやすく説明する。

    [ 目次 ]
    プロローグ 三つのキーワード
    第1章 記憶の脆さ
    第2章 ネットワークする記憶
    第3章 正解のない世界
    第4章 ギリギリの挑戦―目撃証言への実験心理学アプローチ
    第5章 内

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    2011年03月30日
  • 証言の心理学 記憶を信じる、記憶を疑う

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    10冊目です。

    この本はいかに人の記憶があいまいでかつ不確かなものかということを教えてくれます。例えば普段の生活でも「おとといの
    夕食なんだったっけ?」ということなどよくありますね。その程度であれば当たり前のことのように思えますが記憶の怖いところは
    体験していないことでも勝手に加工されあたかも体験したかのように思ってしまうことです。どういうことかというとあまり覚えていない
    ことについて(前述の夕食のことについてなど)、人から「おとといはカレーじゃなかったっけ?」などと言われてしまうと「あ、そうだったな」
    などと思ってしまうようなことです。これがまだ日常生活の範囲内であればよいのですが犯罪にお

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    2009年10月04日
  • 証言の心理学 記憶を信じる、記憶を疑う

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     記憶というものがいかに脆く、また取り調べや法廷という非日常的なコミュニケーション場面であることもあいまって、いかに事実と離れた創作された事実が生み出されるか、といった問題について述べられている。「法心理学」という分野での研究者のジレンマや、具体的な研究法などの紹介が、実際に起こった事件をもとになされている。序盤は記憶の一般的な性質について、中盤は法心理学という分野の特異性、終盤は主に1990年に起こった「足利事件」の容疑者の供述をめぐる具体的な分析について。
     最近、生徒相手に何してたの、誰がその場を見たの、何て言ったの、なんて警察まがいのことをやることがあって、その証言を聞きながら、記憶が

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    2016年03月08日
  • 証言の心理学 記憶を信じる、記憶を疑う

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    ちょっと古いから今に対応できてないあたりの物足りなさは感じるけど概要としての記憶の問題・証言の問題は把握できるのでよかった。
    微妙に気になったのは何だかんだでこの著者は自分が担当した事件について冤罪だと考えてんのかなーっていう部分があって、そこで本論の部分にも影響を及ぼしてないかだけが心配。

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    2015年11月28日
  • 証言の心理学 記憶を信じる、記憶を疑う

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    ネタバレ

    証言は、はたして正確なのか。
    意図はなくても虚偽の証言をしてしまうことはないのか。

    実証的な研究結果もふまえて解説されている。
    実際の事件の調査なども含められているので、イメージしやすい。

    記憶の脆さ/ネットワークする記憶/正解のない世界

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    2012年05月06日
  • 証言の心理学 記憶を信じる、記憶を疑う

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    記憶とは脆く、他者との信頼の上に成り立つものであるが、法廷における記憶に基づく証言というのは、最初から疑ってかかられる。
    それがいかに我々にとって非日常なものであるかということ、そしていかに我々の記憶自体に影響を与えてしまうかということを論じている。
    例の足利事件についての言説もあり、非常に興味深く読めた。裁判員制度が始まった今、読んでみるのもいいと思う。

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    2009年10月04日
  • 証言の心理学 記憶を信じる、記憶を疑う

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    「証言」を検証することによって、人の記憶の脆さを明らかにする。もともと記憶はいい加減なところがあるのではないか、という漠然とした思いがあった。本書では証言を心理学的に検証することによってそのことを明確にし、記憶が変遷する要因分析を紹介している。結局記憶とは人間の解釈にすぎない不安定なものであり、それを共同想起や外的記憶装置によって補っている。しかしその場合でも解釈・想定・常識・仮設・社会的圧力が入り込んでしまい、たとえ善意の人通しであっても間違いが増幅される可能性があることを示している。「普遍的知識」を持つ心理学者が、「不確かな断片」を手掛かりに過去を再構築することがいかに困難であることか。さ

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    2011年04月26日