狂実のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
一人暮らしの人が一番怖いのは何なのか。
それはきっと、
「誰かに見られている」という感覚だと思う。
誰もいるはずのない部屋。
プライバシーが守られているはずの聖域。
それが、もし見られていたとしたら。
もし、知らないうちに
部屋へ入られていたとしたら。
『【NEW!!】あなたが出品されました』狂実
メルカリなどのフリマアプリを利用している人ほど、
この小説はあまりにも身近すぎて恐ろしいと思う。
最初に出品されたのは、
主人公のお気に入りの口紅。
ちょっとした傷も、
撮影された背景も見覚えがある。
……この口紅は、自分のものだ。
そうして謎の「M氏」による出品は、
どんどんエスカレートしていく。
お風呂場の髪の毛。プリクラ。そして、個人情報まで。
自分の生活が、
少しずつネット上に切り売りされていく。
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最初は、「ストーカー系の怖い話かな」
と思いながら読んでいたんです。
でも、読み進めるうちに
物語は思いもよらない方向へ進んでいく。
……そっちへ行くのか!となり、ドキドキも最高潮。
モキュメンタリーホラーは大好物で、
これまでも結構読んできたのだけれど、
この作品、切り口がかなり新しい。
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何が秀逸かって、
フリマアプリの商品説明。
たとえば口紅の商品説明には、
「嘘をつく日に塗っていたので、少し穢れています」とある。
汚れじゃなくて、穢れ。
この一文字だけで一気に不穏になるの、ずるい。笑
そして私が毎回楽しみにしていたのが、
フリマアプリ【BuyBye】の出品ジャンル。
作中では出品写真が
ところどころに挿入されるのですが、
髪の毛が「ハンドメイド > 素材・材料 > その他」
に分類されている。
……確かに素材だ。笑
そして残飯は、「ペット用品 > ペットフード」。
もうやめて。笑
この、コミカルなのにちゃんと不気味…
という絶妙なバランスがすごく好きでした。
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怖さとしては、
じわじわと現実が侵食されていくタイプ。
そして何より、
「絶対にこんなことは起こらない」
と言い切れないのが怖い。
フリマアプリ。SNS。写真。位置情報。
私たちは普段、
思っている以上にいろんなものを外に出しているんですよね。
ガチガチのホラー小説は苦手、
という人でも楽しめる一冊だと思います。
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本書は、
著者の狂実さんよりご恵贈いただきました。
ホラー大好物の私としては、もう感謝しかありません……!
ありがとうございました。
次回作も、楽しみにしています。 -
Posted by ブクログ
ネタバレなんだなんだなんだ! この世界には狂人しかいないのか?!
まともな人間ってどういう人のことを言うのかわからなくなってしまうような狂気の世界。いや、今わたしたちが生きているこの世界がそうなりかけているからこそ、正常な状態がわからなくなってしまっているのかもしれない。そんな気づきたくない事実に気づかせてくれる恐ろしい作品です。
私はメルカリ的なフリマサイトを使ったことがない古い人間なのでわかっていない部分もあるんだけど、実際にどんな使われ方したのかわからないような中古?品、なかには使いかけの化粧品とかも本当に出品されているようだ。私だったら絶対に買わないけど、それこそどんな用途を目的としているのかわからないが、買う人が一定数いるから出品されているわけでございますでしょ? それがもう怖い。こんな私の感覚って昭和の頑固オヤジ並に古臭いカビの生えたものなんだろうか。出品者、購入者それぞれが異常者だと言いたいんじゃなくて、なんの疑問も抱かずに物品のやりとりができるのが逆にすごいと思ってる。……もちろん褒めているわけではないです。
それにメルカリユーザーの全員をそのように思っているわけではないですよ。転売ヤーが横行しているのもあってあまりいいイメージを持っていないのは事実ですが……。
まぁこの物語で起こっているような深刻な事態になると思ってはいないけど、自分と近しい関係の人がもしかしたら自室から持ち去ったものを人知れず売買しているっていうのはまったくあり得ない話とも言えないし、そういう可能性を示唆したという点で著者の恐ろしい着眼点が垣間見える。いやマジで実際に行われてるんじゃないの? そういうリアルさがありますよ……。
そんな薄ら寒いストーリーのなかで劇中に出てくる配信者「奇撮隊(きさつたい)」は我々に清涼感ある爽やかな風を送ってくれた。あんな空気のなかでもこのネーミングには笑ってしまった。やるじゃん。
しかし残念ながらその結末にはまったく笑えなかったけど……。
この本を読んだ後にフリマサイトをご利用する際は十分にご注意くださいね。