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女子大生のミナミがフリマアプリで見つけたのは、自室から盗まれた自分の口紅だった。 『嘘をつく日に塗っていたので、少し穢れています』意味深な説明文とともに、謎のアカウント「M氏」によって次々と出品される私物たち。エスカレートする出品と、暴かれていく秘密。見えない悪意に追い詰められ辿り着く、予測不能な真実とは――?
【梨氏コメント】
スターツ出版らしさとホラーらしさが縫い合わされた、この賞ならではの受賞作だと感じました。
作中作と一人称を縦横無尽に往来するこの作品が「モキュメンタリーホラー小説コンテスト」の受賞作に選ばれたことも含めて、著者と出版社の意思を感じます。
今後、この作品を経た作者からどんな怪異譚が生み落とされてしまうのか、楽しみで仕方ありません。
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Posted by ブクログ
一人暮らしの人が一番怖いのは何なのか。
それはきっと、
「誰かに見られている」という感覚だと思う。
誰もいるはずのない部屋。
プライバシーが守られているはずの聖域。
それが、もし見られていたとしたら。
もし、知らないうちに
部屋へ入られていたとしたら。
『【NEW!!】あなたが出品されました』狂実
メルカリなどのフリマアプリを利用している人ほど、
この小説はあまりにも身近すぎて恐ろしいと思う。
最初に出品されたのは、
主人公のお気に入りの口紅。
ちょっとした傷も、
撮影された背景も見覚えがある。
……この口紅は、自分のものだ。
そうして謎の「M氏」による出品は、
どんどんエスカレートしていく。
お風呂場の髪の毛。プリクラ。そして、個人情報まで。
自分の生活が、
少しずつネット上に切り売りされていく。
✧
最初は、「ストーカー系の怖い話かな」
と思いながら読んでいたんです。
でも、読み進めるうちに
物語は思いもよらない方向へ進んでいく。
……そっちへ行くのか!となり、ドキドキも最高潮。
モキュメンタリーホラーは大好物で、
これまでも結構読んできたのだけれど、
この作品、切り口がかなり新しい。
✧
何が秀逸かって、
フリマアプリの商品説明。
たとえば口紅の商品説明には、
「嘘をつく日に塗っていたので、少し穢れています」とある。
汚れじゃなくて、穢れ。
この一文字だけで一気に不穏になるの、ずるい。笑
そして私が毎回楽しみにしていたのが、
フリマアプリ【BuyBye】の出品ジャンル。
作中では出品写真が
ところどころに挿入されるのですが、
髪の毛が「ハンドメイド > 素材・材料 > その他」
に分類されている。
……確かに素材だ。笑
そして残飯は、「ペット用品 > ペットフード」。
もうやめて。笑
この、コミカルなのにちゃんと不気味…
という絶妙なバランスがすごく好きでした。
✧
怖さとしては、
じわじわと現実が侵食されていくタイプ。
そして何より、
「絶対にこんなことは起こらない」
と言い切れないのが怖い。
フリマアプリ。SNS。写真。位置情報。
私たちは普段、
思っている以上にいろんなものを外に出しているんですよね。
ガチガチのホラー小説は苦手、
という人でも楽しめる一冊だと思います。
✧
本書は、
著者の狂実さんよりご恵贈いただきました。
ホラー大好物の私としては、もう感謝しかありません……!
ありがとうございました。
次回作も、楽しみにしています。
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